【日本映画】 2010.09.12 (Sun)

高峰×成瀬の 『乱れる ('64東宝)』

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 成瀬巳喜男監督晩年の作 『乱れる』 (1964東宝)
 義理の弟から愛を告げられた未亡人の葛藤を描く。
 主演は高峰秀子、加山雄三


 とにかく高峰秀子さんに参りました! 当時30代後半、一番ぐっとくる。
 役柄は・・・地方のありふれた商店街、新興のスーパーマーケットに押される個人商店の女主人。 戦争中の、たった1週間の夫婦の契りを後生大事に守り、嫁いだ家のために尽くす 「古い」 世代。

 そんな、日々の生活に追われる くたびれかけた女の諦念と、隠しきれない女の匂い・・・。若い義弟から愛を告げられ、戸惑い揺れる心を見事に演じきります。
 そして最後に訪れる、ひたむきに 「家」 を守り通してきた誠意と信頼が、一気に崩れる瞬間!

 あのラストの表情は、なんという色っぽさだろう。
 男を追いかけて走る、走る。・・・でももう追いかけない。(止まっちゃうんだ!) 荒く乱れた息が、すぅーっと引いていく・・・。
 その瞬間の、あの表情! 西洋の開放的な色気とは違う、砕けた貞節のよろいからのぞく一瞬の情念。 初めて見たのはレンタルビデオだったのですが、もう何度も何度も巻き戻しました。


 また相手役、加山雄三さんも思いのほか良かった。
 見る前はアイドル映画の 「若大将」 に偏見があったのですが、一途で無鉄砲で繊細な現代青年のイメージ、とても自然で見事だった。
 もっとも当時人気絶頂のご本人は、この仕事をほとんど覚えていらっしゃらないとか。

 ・・・名作とされる 『めし』 にしろ 『浮雲』 にしろ、もともと成瀬巳喜男監督の男女観は古くさくて肌に合わなかったけど、高峰さんの圧倒的な魅力のおかげで飽きることなく観ることができました。
 次は加山×成瀬の 『乱れ雲 ('67)』 を見てみようかな。


 追記・・・高峰秀子さんは2010年末に亡くなられました。この記事のあとも高峰作品を追いかけていた矢先の訃報でした。映画史の頂きに咲いた名花に合掌。

 
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