【この本!】 2009.10.24 (Sat)
『アルプスの少女ハイジ』 原作

今あちこちで再放送している名作アニメ 『アルプスの少女ハイジ』 に夢中です。
作ったのは高畑勲、宮崎駿、小田部羊一、富野喜幸、脚本の佐々木守に音楽の渡辺岳夫・・・、今となっては笑ってしまうほどのドリーム・チーム。そりゃおもしろいにきまってる。
大人になって初めて見て感心したのは、「うれしい、悲しい」 を分かりやすく伝えるナレーション(沢田敏子)。 子どもの素直な気持ちを、見ている子どもに確実に届けようと努める物語って、ありそうでなかなかない。
杉山佳寿子、宮内幸平、小原乃梨子・・・声優陣の個性的で達者な演技も、じんと心にしみ入ります。
そしてこのたび、ヨハンナ・スピリの原作本も読んでみました。(上田真而子訳・岩波少年文庫)
原題は 『ハイジの修行と遍歴時代』。 ゲーテの教養小説 『ウィルヘルム・マイスター』 にならったのだろう。
遠く日本の子供を夢中にさせたアルプスの暮らしもですが、あくまでハイジの 「人生の修行」 がメイン。宗教色も前面に出ていて、「過去」 のあるおじいさんの改悛と神への帰依がハイライトになっています。
スピリ(シュピリ)自身、牧師と教師の家に育った人らしいので、このままだとかなり保守的。でもひとつひとつのセリフや情景は、元気いっぱいのアニメと重ね合わすことができて楽しかった。
ちなみにクララが立ちあがる有名な場面。 原作のクララはさすがのゲルマン魂(?)、自己主張もしっかりとした子で、それほど人生に悲観・消極的じゃありません。アニメの 「クララのばか!いくじなし!」 というハイジの叫びは、やっぱりというべきか、当時の日本のスポ根アニメ的演出でした (でもこっちのほうがずぅっとドラマチック)。
最後に、世界各国で放送されたアニメの 『ハイジ』 を調べていたら、ものすごい代物を発見!
アラビア語版ハイジの主題歌。
【YouTube】 hidi arabic - opening
・・・あ、あまりの荒技に言葉を失いました。複数の同じ投稿があるので、決して担がれてるわけじゃないようです。「おわりのうた」 はもっとスゴイぞ!
ほか、各国でいくらかアレンジされた 『HEIDI』 は、それぞれ微妙に 「惜しい!」 ところが笑えます。
いや、ご当地ヨーロッパのほうが正しいのかもしれませんが、日本ほどアニメに質の高い投資をしていないので、やっぱりコケてしまいました。
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