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【JAZZ】 2009.12.09 (Wed)

マイルスの『いつか王子様が』のコルトレーンが

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 クリスマスも近いから、キュートでロマンチックなジャズでも聴こうかと手持ちのCDをかけたのですが、図らずも 「う~ん」 とうならされました。
 ただし演奏というより、プレイヤーたちの人間関係に。

 マイルス・デイヴィス 『 いつか王子様が (Someday My Prince Will Come)』
 1961年。あのディズニー 『白雪姫』 の名曲をフィーチャー。

 当時のマイルスはキャリア前期の集大成 『カインド・オブ・ブルー ('59)』 を発表したあとで、音楽的にはひと休みの時期。
 一時的なメンバー編成、既成の人気曲、ジャケット写真は奥さんのフランシス(黒人女性の白雪姫という挑戦!)・・・。大仕事をやり遂げたあとのマイルスにすれば、軽くポップに流そうか、という仕事だったのでしょうか。

 そんな忘年会ムードを吹き飛ばしたのが、サックスのジョン・コルトレーンその人でした。

 先の 『カインド・オブ・ブルー』 を最後にマイルス一家から卒業していた彼が、師匠のバンドに久々のゲスト出演。
 マイルス(tp)~ハンク・モブレー(ts)~ウィントン・ケリー(p)そしてマイルスと、そこそこウケて格好のつくソロが回されたあと、まったく別次元の、当時最先端かつ超高度なスーパー・プレイを聴かせるのです。

 それはまさに、マイルスたちが 『カインド・・・』 で作り上げたジャズの革命の音。 マイルスは即座に気付いたことでしょう。
 弟分からいとも簡単に超本気モードを出されて、「しまった、やられた」 と思ったか 「今ここでやんなよ」 と思ったかは分かりませんが、(CDの解説にもあるように) マイルスは帰ってきた弟分の大進化にたじろいでいるようにすら聴こえます。 (「自分が本気だしたらモブレーのメンツを潰すから」と渋るコルトレーンを、マイルスが無理に誘ったらしい。)

 しかしそれ以上に気の毒なのが、同じサックスのハンク・モブレー。彼だってハード・バップ系のいい演奏なのに、最先端モードをやられた日にゃ格の差は歴然。彼自身も負けが分かっているのか、張り合おうという気もなし。
 コルトレーンが吹いていない曲では、キュートでロマンティックな娯楽作としてふつうに楽しめるアルバムになっているのが、かえって切なくすら思えます。

 当事者たちは、実際どう思ってたのだろう? つくづく思う、ジャズは生きものなんだなあ!
 「即興」 の妙味は奏者の技量やセンスだけでなく、その瞬間瞬間、プレイヤー間の思惑や人間関係もふくめて左右されるのだと感嘆しきりでした。
 ぼくはこのCDを買ったきり、今までそのへんを聴き逃していた。 ジャズは深い。

 ・・・ところで、そんな複雑にからみ合う思惑を横目に、終始スマートかつ安定した演奏を聴かせるウィントン・ケリーのピアノが素敵です。
 このしれっと顔の落ち着きよう。 実はこの人が一番えらかったかも??

 
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