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【この本!】 2016.08.10 (Wed)

乱歩の白昼夢

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夏ですね。暑いですね。

ぼくは、かげろう舞う炎天下に身を置かれると、決まって江戸川乱歩が読みたくなります。


乱歩といえば名探偵・明智小五郎と怪人二十面相が有名ですが、

ここはやはり初期の大人向け短編がおすすめ。

中でもこの季節にピッタリなのが、幻想ショートショートの 『白昼夢』


 蒸し暑い午後の大通り。店先で「おれは妻を殺した」とふれまわる薬屋。野次馬たちのからかいをよそに、語り手の“私”が店の奥をのぞくと・・・



とくべつ代表作というほどでもない、文庫本では10ページに満たない小品ですが、

ぼくは乱歩といえば この話を思い出します。


乱歩の怪奇ワールドは、ありがちな深夜の墓場より、むしろ炎天下の市中がよく似合う。

くらくらと麻痺していく日常の感覚。いつか来たことがあるような大都会の死角。

じっとりとにじむ汗のように、肌にまとわりついて逃れられない心理の迷宮・・・。


ぼくは 「乱歩生誕100年」 だった1994年を前後して、ほぼ全作読破しました。

彼と出会って以来、にぎやかな街の交差点での信号待ちが、ある意味で一番の恐怖を感じます。

これだけの衆目にさらされながら、乱歩はどんな恐怖を披露してくれるのだろう!?


『白昼夢』 は創元推理文庫 『D坂の殺人事件』 に収録。(上の写真)

併録の 『お勢登場』 『虫』 といった秀作短編も大好き。


このくそ暑い昼下がり、うっかり乱歩作品を手にとって、人間心理の闇に落ちていくのも一興ではないでしょうか。

ただし、予想以上にエロ&グロです。

かつて幼いぼくを悶々とさせ、震え上がらせた歴代の映像化作品が、可愛らしくすら思えます。

だから本音は、お勧めできません・・・。


 この短編集 『D坂の殺人事件』 は、明智初登場の表題作など秀作ぞろい。
 ほか、同じ創元推理文庫の 『江戸川乱歩集』 がお得。『人間椅子』 『屋根裏の散歩者』 『パノラマ島奇譚』 『陰獣』 など長短の代表作が3冊ぶん入って、2冊ぶんのお値段。どちらも 「はじめての乱歩」 にどうぞ。


 
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