【この本!】 2018.12.21 (Fri)
オー・ヘンリーのオチ (再)

旺文社文庫(絶版)
パソコン部屋の隅にひっそりとかけてある、もらいもののカレンダーをめくりました。今年も残すところあと1枚。 振り返れば、こうして月の初めに一枚一枚、無造作に破かれていったのですね。まるで、冬の風に頬をはたかれた落葉のよう。
そこでふと、オー・ヘンリーの短編小説 『最後の一葉』 を思い出しました。
一枚一枚 散っていく落葉と、自身の消えゆく命を重ねあわせる、病床の少女を描いた有名なお話。その結末は言いませんが、O・ヘンリー作品といえば、ウィットに富んだラストのどんでん返しが最大の魅力。ぼくも高校時代、その巧みな話法にひかれて、よく学校の図書館に通ったものです。
そこで久しぶりに、わが家の本棚から彼の短編集を取り出し、パラパラとめくってみました・・・。
『二十年後』 は、再会を誓い合った親友を待つ男の話。 皮肉のきいた人情味がいいですね。
『自動車が待っているあいだに』 は、公園のベンチで出会った令嬢と青年の恋。 むなしく切ないです。
『警官と賛美歌』 『赤い酋長の身代金』 などは、とんだ災難話ですが思わず笑ってしまいます。
そして 『最後の一葉』 と並ぶ代表作 『賢者の贈り物』。
クリスマスの夜、若く貧しい夫婦の、ささやかなプレゼント交換にまつわる心温まるお話。
「夫は金時計を売って妻のためにクシを買い、妻は髪の毛を売って夫の金時計の鎖を買う」
という話、どこかで聞いたことはないでしょうか? 彼らのように心のこもったお祝いを贈り、贈られるとしたら、これほど幸せなことはありません。 真心を尽くすという行為は、見栄や金額の問題ではないことを教えてくれます。
そういえば、季節はちょうどクリスマス。ぼくはこれを機に、O・ヘンリーと出会わせてくれた高校の図書館に、その作品集を寄贈しようかと思っています。以前も母校を訪れた折、何冊か本を持っていきました。 だから今回も、年末に帰省した時にでも・・・。彼の短編集だけだと片手で足りるので、英語版があればそれもつけます。
・・・というのも、実はわが母校の図書館には、オー・ヘンリーの本がないのです!
とても平易で親しみやすい文章とストーリー。 今どきどこの小学校にも置いてある、読書の入門編。 それなのに、かわいい後輩たちが 『最後の一葉』 や 『賢者の贈り物』 に触れることなく3年間を過ごすなんて! 卒業生として、そんな現状を見過ごすわけにはいきません。
決して、良く思われたいとか、カッコつけたいわけではないことをご理解いただきたい。 ぼくを突き動かすのは、純粋な情熱と崇高な使命感のみ。
そう、今こうして手にしている読み古されたオー・ヘンリーの本、その裏表紙に貼られたステッカーを目にするたび、わが母校を想う気持ちは ただただ熱く募るばかりなのです。
「返却期限を守りましょう。○○高等学校図書館」
【続き・・・】

2006年12月のYahoo!ブログに初出の再投稿記事です。
忙しくてなかなか更新できず、すみません!
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クレアチンリン酸 |
2019.01.16(水) 22:07 | URL |
【コメント編集】
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O・ヘンリーとの出会いです。
この話、好きでした。
でもその後、他の作品を読むに至らず・・・でしたが
最近青空文庫で「魔女のパン」を読みました。
完全に引き込まれ「うわ・・・」となりました(笑)