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【アカデミー賞全作品】 2013.11.05 (Tue)

『或る夜の出来事 (1934米)』

第7回アカデミー作品賞~~ボーイ・ミーツ・ガール革命!

07 或る夜の出来事

 ≪感想≫
 この上なく大好きな作品! 古典として戴かれながら、今なお若くみずみずしい息づかい。
 はじめは悪態をつきながらも、最後にはやさしく力強くヒロインを包みこむゲーブルに、嫉妬にも似たあこがれを抱いたものです。
 “ジェリコの壁”やコルベールのヒッチハイクなど名シーンは数あれど、主人公がずっと抑えていた恋心をぶちまける、エリーの父との男同士のやり取りにしびれる。そこから糸が切れたように恋にまい進するカタルシス感も痛快でした。
 そのゲーブルと丁々発止のイガミ合いを繰り広げるコルベールも、「世間知らずのお嬢様」という設定ながら、横綱相撲のような堂々たる演技。

 金の力に屈した婚約者と、金持ちを嫌悪して必要経費しか請求しなかった主人公。大恐慌の時代に、白黒を「カネ」の問題に集約したのは左派のキャプラらしい味付け。

 オスカー度/★★★
    満足度/★★★



  『或る夜の出来事 (1934米)』

  監督/フランク・キャプラ
  主演/クラーク・ゲーブル (ピーター・ウォーン)
       クローデット・コルベール (エリー・アンドリュース)
       ウォルター・コノリー (エリーの父)

 ≪あらすじ≫
 あるプレイボーイとの結婚を父親に反対されたエリー嬢は、監視の目を盗んで家出し、愛する人の待つN.Y.へと向かう。彼女はその途中、失業中の新聞記者ピーターと出会う。
 この娘が行方不明の富豪令嬢だと知ったピーターは、特ダネをねらってエリーに近づくが、奇妙な珍道中をつづけるうち、ふたりの間に恋が芽生えていく・・・。

 ≪解説≫
 赤字続きの弱小スタジオが、新進の監督と俳優を起用した苦肉の小品だったが、粋で小気味よいスタイルが“スクリューボール・コメディ”と呼ばれて大当たり。ハリウッドの恋愛喜劇路線を開拓し、一躍コロンビア社をメジャーにのし上げ、キャプラはアメリカの国民的監督に大出世、主演の両優も大スターの仲間入りを果たすという、起死回生の歴史的名作になった。
 キャプラ監督が得意とした、男を尻に敷くような 「強い女」 像も、新時代の興奮にあふれていた。 世代交代を果たして映画史の流れを変えたという点で、後の『ゴッドファーザー』に匹敵する功績を残したと言えるだろう。



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、男優、女優、脚色賞の計5部門受賞。
 (他の作品賞候補 『影なき男』 『クレオパトラ』 『奇傑パンチョ』 『コンチネンタル』 『これがアメリカ艦隊』 『白い蘭』 『恋の一夜』 『お姫様大行進』 『ロスチャイルド』 『模倣の人生』 『ホワイト・パレード』)

 この主要5部門を独占した初めての快挙(後に『カッコーの巣の上で('75)』 『羊たちの沈黙('91)』も達成。なお俳優部門が主演と助演に分かれるのは'36年から)。 弱小会社の無印候補作とあって、アカデミー会員たちが会社間のしがらみにとらわれず票を入れやすかった事情もあるらしい。

 このあとアカデミー協会会長(1935~38年)を務めたキャプラ監督。投票権を持つアカデミー会員を200⇒1200人に増やすなど、従来のひと握りの経営者による独断専行を改めた功績は大きい。



  『IT HAPPENED ONE NIGHT』

  監督/フランク・キャプラ
  脚本/ロバート・リスキン (キャプラ作品を支えた名パートナー)
  原作/サミュエル・H・ホプキンス
  撮影/ジョセフ・ウォーカー
  音楽/ルイス・シルヴァース
  製作/ハリー・コーン、フランク・キャプラ

  コロンビア/105分
 

【続き・・・】


 ◆本作のコルベールはたしかに素晴らしかったが、女優賞の大本命とされたのは『痴人の愛』で新時代の悪女を演じたベティ・デイヴィスの方だった。
 デイヴィスは一躍トップスターになるが、所属するワーナーではなくライバルのRKO社作品だったため、ワーナーから露骨な妨害を受けてノミネートすら叶わず。それにはハリウッド内外から批判や抗議デモが出るほどの騒動となり、「ノミネートはされないが彼女に投票してもいい」という異常事態にまで発展。まだ業界内の寄り合いの延長だったアカデミー賞が改革・開放されるきっかけとなった。
 彼女は翌年 『青春の抗議』で念願のオスカーを受けるが、この騒動の「穴埋め」であることは明白で、その表情に喜びはなかった。
 アメリカ映画史を代表する大女優として駆け上がっていくデイヴィスは、'38年に『黒蘭の女』でも主演女優賞を受賞。'41年には女性として初めてアカデミー協会会長に選ばれる(事務局と対立してすぐに辞任)。


 
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