FC2ブログ

【アカデミー賞全作品】 2014.02.22 (Sat)

『ミニヴァー夫人 (1942米)』

第15回アカデミー作品賞~~女たちの世界大戦

15 ミニヴァー夫人

 ≪感想 (ラストに言及)≫
 たまの浪費に浮かれる夫妻、上っ面の社会主義にかぶれる年頃の息子、封建階級にしがみついてふんぞり返っている少女の祖母・・・。誰もが完全な人間ではないし、理想の社会というわけでもない。描かれるのは、ごく平凡な人々のごく平凡な営み。それがとてもきめ細やかで丁寧。
 名手ぞろいとあって、さすがに質の高いドラマ。感心しながら観ていたのだが、ラスト、戦意高揚をあおるスピーチで一気に冷めた。

 ミニヴァー夫人のファーストネームがないのも、「個」から「家」へ、「家」から「国」へと、平凡な(だったはずの)国民像を抽象化・理想化して、国家一丸、戦争にまい進させたかったのだろう。
 「戦争っていやーねー、でも祖国がんばれ」で始まり、大切なものを失ってあのドイツ兵と同じ呪いの言葉を吐く 「平凡な」 一市民。 時勢に流されるだけの、ぼんやりしたノンポリ・無党派層の因果を思った。

 オスカー度/★★★
    満足度/★★☆



 『ミニヴァー夫人 (1942米)』

 監督/ウィリアム・ワイラー
 主演/グリア・ガースン (ミニヴァー夫人)
      ウォルター・ピジョン (夫クレム・ミニヴァー)
      テレサ・ライト (キャロル・ベルドン)
      リチャード・ネイ (長男ヴィンセント・ミニヴァー)

 ≪あらすじ≫
 ロンドン郊外で、つつましくも平穏に暮らすミニヴァー夫人とその一家。夏休みに帰省した長男ヴィンは、近所の名家の娘キャロルと恋に落ちる。しかし時代は第2次大戦に突入、ヴィンは出征し、夫クレムも軍の支援に赴く。こうして銃後を任された夫人たちは、懸命に家を守るのだが・・・。

 ≪解説≫
 戦争を女性の視線から追ったドラマ。大女優G・ガースンが力強く生きるヒロインを熱演、英首相チャーチルをして「この映画がイギリス国民を救った」と言わしめたとか。公開当時は戦時国債購入のメッセージが巻末に付せられていたなど、戦時を反映した作りになっている。
 ガースンはこの大戦中、5年連続を含む6回も候補に(プラス戦後に1回の生涯7度ノミネート。歴代11位タイ)。 また助演女優賞のT・ライトは、同年 『打撃王』 でも主演女優賞にノミネート。この時代を代表する娘役。



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、主演女優(G・ガースン)、助演女優(T・ライト)、脚色、モノクロ撮影賞の計6部門を受賞。(候補12部門中)
 (他の作品賞候補 『打撃王』 『心の旅路』 『偉大なるアンバーソン家の人々』 『嵐の青春』 『まだら服の笛吹き』 『町の噂』 『ウェイク諸島』 『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』 『四十九度線』)

 巨匠への階段を駆け上がるワイラー監督が初めての受賞 (のち 『我等の生涯の最良の年('46)』 『ベン・ハー('59)』 と計3度の作品&監督賞)。 前年の愛憎劇 『偽りの花園('41)』 が、有力作のひとつとされながら戦下の時勢に合わず9部門全敗*。明けて本作は、まさに時流に乗って悲願の栄誉に輝いた。(*S・スピルバーグ監督 『カラーパープル('84)』 が11部門で、H・ロス監督 『愛と喝采の日々('77)』 とM・スコセッシ監督 『ギャング・オブ・ニューヨーク('02)』 が10部門全敗などの例がある。)

 主演女優賞のG・ガースンは、受賞の壇上で5分半もスピーチ。うんざりの記録として語り継がれている。(1時間も…という話もあるけど、それは式後の記者会見でしたっけ?)



  『MRS.MINIVER』

 製作/シドニー・フランクリン
 監督/ウィリアム・ワイラー
 脚本/アーサー・ウィンペリス、ジョージ・フローシェル
     ジェームズ・ヒルトン、クローディン・ウエスト

 原作/ジャン・ストルーガー
 撮影/ジョセフ・ルッテンバーグ
 音楽/ハーバート・ストザート

 MGM/134分

 
関連記事
20:34  |  アカデミー賞全作品  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

*Comment

コメントを投稿する (ログイン不要/コメントは承認後に表示されます)

URL  未記入でもOK
コメント
パスワード  あなたの編集・削除用。適当な文字を。
内緒  管理人だけに表示
 

▲PageTop