FC2ブログ

【アカデミー賞全作品】 2014.11.29 (Sat)

『ウェストサイド物語 (1961米)』

 第34回アカデミー作品賞~~怒って踊って恋する若者たち

34 ウェストサイド物語

 ≪感想≫
 時代にそってミュージカル映画を追っていくと、いかに本作が規格外の躍動感にあふれていたかを実感できます。当時はちょうど、戦後生まれのベビー・ブーム世代が思春期に入る頃。パワーがハンパじゃない。
 カメラも上から下から、躍動します。整然とした摩天楼からうす汚れた下町へ・・・、N.Y.の空撮から指パッチンにポンポンポンと寄るopシーンからゾクゾクもの(ワイズ監督は『サウンドオブミュージック』でもっとすごいことやりましたね)。そして例のチャキリスたちのダンス! 低い位置から仰ぎ見るさまは、舞台劇場にいるかのような奥行き感。それがカメラの目の前まで迫ってくるのだから。映画と舞台劇の良さをぜいたくに見せてくれます。
 作曲バーンスタインがつくる中南米のリズムも好き。一方で、古典を題材にしたお話は安心感があるけど、今となっては新味に欠けるのが乗りきれなかった理由です。

 オスカー度/★★★★
    満足度/★★☆



 『ウェストサイド物語 (1961米)』

 監督/ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ
 主演/ナタリー・ウッド (マリア)
      リチャード・ベイマー (トニー)
      ジョージ・チャキリス (ベルナルド)
      ラス・タンブリン (リフ)
      リタ・モレノ (アニタ)

 ≪あらすじ≫
 リフ率いる“ジェッツ”とベルナルド率いる“シャークス”、両ギャング団が対立するニューヨークの下町ウェストサイド。一触即発の中で催されたダンス・パーティで、リフの兄貴分トニーとベルナルドの妹マリアが恋に落ちる。人目を忍んで愛を歌うふたり。しかし両派の抗争は激化の一途をたどる。

 ≪解説≫
 舞踏家ロビンズ、作曲バーンスタイン、監督ワイズ・・・、英米の名手が結集したN.Y.版 『ロミオとジュリエット』。
 有名な 『トゥナイト』 をはじめとする名曲群、スタジオを飛び出しての市街ロケ、ダンスを体のパーツごとにとらえる大胆なカメラ、若さの暴力的な爆発・・・すべてが従来のスケールを超えるダイナミズムにあふれ、ミュージカル俳優のバイブルに。ハリウッド伝統のMGMミュージカルを完全に過去のものに追いやった。
 またイタリア系*にヒスパニック(プエルトリコ)という、不当な差別を受けてきた少数派移民の社会とその対立を、娯楽の前面に据えたのも挑戦的だった。(*原作ではジェット団はポーランド系。)



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督(ワイズとロビンズ)、助演男優(G・チャキリス)、助演女優(R・モレノ)、撮影、ミュージカル音楽、美術、編集、音響、衣装賞の計10部門を受賞。(候補11部門中) またロビンズの振り付けに対して名誉賞。
 (他の作品賞候補 『ニュルンベルグ裁判』 『ハスラー』 『ナバロンの要塞』 『ファニー』)

 『ベン・ハー('59)』11勝に次ぐ2ケタ勝利。最大のライバルであった硬派歴史政治劇 『ニュルンベルグ裁判』 (2/13勝)を圧倒した。逃したのは脚色賞のみ(勝者は「ニュルンベルグ」)

 主要部門は初めてづくし。ふたりの監督の受賞は史上初(ほか'07年コーエン兄弟の例あり)
 演技賞の4人はみな 「初ノミネート初受賞」。 うち主演女優賞はイタリアの人気女優ソフィア・ローレン(『ふたりの女』)、主演男優賞は独墺のマクシミリアン・シェル(『ニュルンベルグ裁判』)と欧州勢がW制覇。ローレンにいたっては非英語映画で初の演技賞。
 またプエルトリコ人のR・モレノはヒスパニック系初の演技賞(プエルトリコはアメリカの自治領。助演男優チャキリスはギリシャ移民2世)



 『WEST SIDE STORY』

 製作/ソウル・チャップリン
 監督/ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ
 脚本/アーネスト・レーマン
 原作/ロバート・E・グリフィス
 撮影/ダニエル・L・ファッブ
 音楽/レナード・バーンスタイン(作曲)
     ソール・チャップリンほか(音楽監督)
 美術/ボリス・リーヴェン、ヴィクターA・ギャンガリン
 編集/トーマス・スタンフォード
 音響/フレッド・ヘインズ
 衣装/アイリーン・シャラフ

 ミリッシュ、B&P=ユナイト/151分
 

【続き・・・】

 
 ◆11部門候補中、唯一の敗者アーネスト・レーマン(脚色賞候補)。彼はほかに 『王様と私』 『北北西に進路を取れ』 『サウンド・オブ・ミュージック』 などそうそうたる傑作を手掛けた名手だが、生涯5度の候補で意外にも無冠。2001年に名誉賞が贈られた。(ぼくは当時式典中継を見ていて、名誉賞は当然だけどオスカー未勝利と知って驚いた。2001年時点でご存命なのにもびっくりした。生没1915~2005年。)
 ◆この時代の慣例として、役者の多くは吹き替え歌手が立てられた。ヒロイン役のN・ウッドは自分の歌声がまったく使われないと知って大いに憤慨したという。ちなみに彼女の吹き替えを務めたのは、マーニ・ニクソンという知る人ぞ知るスタジオ・シンガー。(後日 『マイ・フェア・レディ('64)』 『サウンド・オブ・ミュージック('65)』 の項で詳しく。)

 
関連記事
11:14  |  アカデミー賞全作品  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

*Comment

コメントを投稿する (ログイン不要/コメントは承認後に表示されます)

URL  未記入でもOK
コメント
パスワード  あなたの編集・削除用。適当な文字を。
内緒  管理人だけに表示
 

▲PageTop