【アカデミー賞全作品】 2015.03.19 (Thu)
『オリバー!(1968英)』

≪感想 (ネタバレあり)≫
'58年作品賞『恋の手ほどき』同様、旧世紀の古いお話。古典世界を懐かしむには構わないが、「ただ運命に流されて生き、実は良家の血筋でした。めでたし」では今の子供への教訓にもならない。
色彩はいかにもイギリス的な地味さだが、皮肉にも主要人物と関係ない群集シーンは良かった。音楽もそこだけ、80年代イギリス・ミュージカル黄金時代の原形を思わせた。
オスカー度/★☆☆ (老匠C・リードへの「年金」賞)
満足度/★☆☆
『オリバー!(1968英)』
監督/キャロル・リード
主演/マーク・レスター (オリヴァー・ツイスト)
ロン・ムーディ (親方ファイギン)
ジャック・ワイルド (ドジャー)
オリヴァー・リード (ビル・サイクス)
シャニ・ウォリス (ナンシー)
≪あらすじ≫
19世紀初頭のロンドン。孤児院を追われた少年オリバー・ツイストは、ファイギン親方の少年スリ団に拾われる。ドジャーたち孤児仲間や悪漢サイクスに囲まれた刺激的な日々。ところが、ある名士と裁判沙汰になったことから、彼の運命は変わりはじめる。
≪解説≫
イギリスの国民的作家ディケンズの 『オリバー・ツイスト』 のミュージカル劇を、同国の巨匠C・リード監督が映画化。
3年後に 『小さな恋のメロディ』 で再共演するM・レスターとJ・ワイルド(助演男優賞ノミネート)が愛らしい。レスター8歳はともかく、ワイルドは当時16歳! ・・・ってことは 『…メロディ』の時は19歳だった!
≪受賞≫
アカデミー作品、監督、美術、ミュージカル音楽、音響賞の計5部門受賞。振り付けのオナ・ホワイトに名誉賞。(候補11部門中)
(他の作品賞候補 『ロミオとジュリエット』 『ファニー・ガール』 『冬のライオン』 『レーチェル・レーチェル』)
ヴェトナム反戦運動にキング牧師暗殺・・・、現実世界が混迷を極め、この賞も本命不在と言われた中、ネーム・バリューのある巨匠の大作に落ち着いた。キャロル・リードと言えば思い出されるのがデヴィッド・リーン(『戦場にかける橋』 『アラビアのロレンス』)。イギリスを代表する2大巨匠でありながら、オスカーの数では水をあけられたリードへの慰労といった面が大きい。
この年もイギリス関連が目立つ。
『OLIVER!』
製作/ジョン・ウルフ
監督/キャロル・リード
脚本/ヴァーノン・ハリス
原作/チャールズ・ディケンズ
撮影/オズワルド・モリス
音楽/ライオネル・バート (作詞・作曲)
ジョン・グリーン (音楽監督)
美術/ジョン・ボックス、テレンス・マーシュ
ヴァーノン・ディクソン (装置)
音響/シェパートン社サウンド部
振付/オナ・ホワイト
ロミュラス=コロンビア/146分
【続き・・・】
◆主演女優賞は 『冬のライオン』キャサリン・ヘプバーンと 『ファニー・ガール』バーブラ・ストライサンドのふたりが同時受賞。全3030票のうちピッタリ同票で並ぶミラクルに、プレゼンターのI・バーグマンはじめ会場は驚きに包まれた。(投票総数が少なかった最初期の男優賞にもあったらしい。)
ヘプバーンは3度目のオスカー。・・・さらに 『黄昏('81)』 で前人未踏、生涯4度の主演賞。
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