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【アカデミー賞全作品】 2015.05.21 (Thu)

『ゴッドファーザー (1972米)』

第45回アカデミー作品賞~~ハリウッド新世代の金字塔

45 ゴッドファーザー

 ≪感想≫
 初めて観たのは小学生の頃、テレビ吹き替え版(鈴木瑞穂・野沢那智)にて。全編にただよう重厚な気高さに、圧倒されたとはまさにこのこと。(ちなみにこの時からR・デュヴァルに憧れていました。)
 そして今回も、ワーワー言っていられたのは例の「馬の首」まで。あとは3時間の長尺を本当に忘れてすっかり引き込まれた。

 何かを手に入れる(=守る)たび何かを失っていく・・・、血も涙もない冷酷なドンに上りつめたマイケルの 「因果応報」 は『PARTⅡ』からが本番だが、本作でもしっかり構成されている。それは父ヴィトーとて同じ。万能の正義のヒーローでないからこそ、容赦ない「痛み」や「闇」にさいなまれ、人間としての岐路に立たされる。ヴィトーはそれを克服した。果たしてマイケルはどうだったか・・・?

 人間心理の奥底を掘り起こさんとする若きコッポラの熱意、名キャメラマンG・ウィリスの深遠な映像美、充実した新旧俳優陣の意欲などなどが融合して、これだけの巨編、途切れることなく緊張感を保ち続けた。
 映画史は一度この作品に集約し、また散り広がっていったと言っても過言ではありません。

 オスカー度/★★★★
    満足度/★★★



 『ゴッドファーザー (1972米)』

 監督/フランシス・フォード・コッポラ
 主演/マーロン・ブランド (ヴィトー・コルレオーネ)
      アル・パチーノ (三男マイケル)
      ジェームズ・カーン (長男ソニー)
      ロバート・デュヴァル (トム・ヘイゲン弁護士)
      ダイアン・キートン (マイケルの妻ケイ・アダムス)

 ≪あらすじ≫
 暗黒街の“ゴッドファーザー(名付け親、後見人)”として、ニューヨークに君臨するヴィトー・コルレオーネ。彼はその子供のうち聡明な三男マイケルを可愛がるが、マイケルは父の生き方を否定し、堅気の道を歩もうとしていた。ところがヴィトーが敵に襲われ瀕死の重傷を負うに至って、ついにマイケルも血の抗争に身を投じていく。

 ≪解説≫
 アメリカ映画史の宝とうたわれる名作。マフィアという非情の世界を描きながら、訴えてみせたのは人々が忘れかけていた「家族の絆」であった。
 公開されるや大ヒット、当時の全米興行収入記録を更新。本作の監督に抜擢され、倒産寸前のパラマウント社を救い、落ち目のM・ブランドを蘇らせ、無名のパチーノをスターにし、盟友スピルバーグやルーカスに先がけて世代交代の口火を切ったコッポラが、一躍時代の寵児になった。

 冒頭、幸せな結婚式の裏でうごめくおぞましき陰謀――。庭園の明るい陽光だけでなく、室内の自然な暗さ・影を 場面と心理の動きとして積極的に採用。またこういう「喜」と「悲」、「聖」と「邪」を同時進行させる演出は、コッポラが私淑した黒澤明の影響が感じられる。
 視線や表情にも細かい配慮をし、それだけでも物語を語れるほどひとつひとつに深い意味づけをほどこした。「家族」に触れた場面で顕著。
 マイケルが初めて人を殺す場面――。隠しておいた銃がなかなか見つからない、席では相手の声も耳に入らずたださまよう目線など、新世代パチーノのリアルに徹した演技。そもそもこの「メソッド演技」派の源流としてパチーノ世代が憧れた演技の革命者こそ、本作であらためて圧倒的な存在感を見せつけたM・ブランドその人だった。(ふくみ綿やしゃがれ声がリアルかどうかは別にして。)



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、主演男優(M・ブランド=拒否)、脚色賞の計3部門受賞。(候補10部門中)
 (他の作品賞候補 『キャバレー』 『脱出』 『移民』 『サウンダー』)

 受賞は意外にも3部門のみ。後を追っていた 『キャバレー』 が8部門受賞でにぎわすという一種の逆転現象が起こった。
 M・ブランドが『波止場('54年作品賞)』 に続く2度目の主演賞。ところが、米先住民への差別描写を放置するメディアに抗議するとして受賞を拒否。壇上には彼の代理人という先住民装束の女性が立ち、コメントを読み上げた。受賞拒否は2年前のジョージ・C・スコット(作品賞『パットン大戦車軍団』)に次ぐ事態だったが、あまりに唐突な、賞とは直接関係ないこちらの理由は物議をかもした。
 助演男優賞にはパチーノ、カーン、デュヴァルがトリプル・ノミネートされたが、勝者は『キャバレー』のジョエル・グレー。(2年後の『PARTⅡ』でも別の3男優が同時候補になり、今度はR・デ・ニーロがみごと受賞。)



 『THE GODFATHER』

 製作/アルバート・S・ルディ
 監督/フランシス・フォード・コッポラ
 脚本/マリオ・プーゾ、フランシス・フォード・コッポラ
 原作/マリオ・プーゾ
 撮影/ゴードン・ウィリス
 音楽/ニーノ・ロータ

 パラマウント/175分
 

【続き・・・】

 

 ◆終盤、「聖」の洗礼式と「邪」の大粛清が交差する名場面。ここで洗礼を受けている妹コニーの赤ちゃん役は、コッポラ監督の娘ソフィア・コッポラ(役名は「マイケル・フランシス・リッツィ」という男の子の設定)。18年後の『PARTⅢ』ではマイケルの娘メアリーを演じたことで有名ですね。
 ほかにも実妹タリア・シャイアはもちろんのこと、父カーマイン(マイケル初殺人後にチラッと映るピアノ弾き)や息子ジャン=カルロ少年もいるらしいなど、「コッポラ・ファミリー」が大挙ご相伴。

 ◆N・ロータによる音楽(『ゴッドファーザー愛のテーマ』)はつとに有名だが、もとは彼の別作品からの流用だったことが発覚し、ロータは作曲賞ノミネートを辞退した。(『PARTⅡ』では受賞。)
 ◆その作曲賞を受賞したのは、20年前に製作・公開されたはずのチャップリン 『ライムライト('52)』。 チャップリンが 「赤狩り」 によって長くアメリカを追放されていた影響で、ロサンゼルスにかぎって言えばこの'72年に初めて劇場公開。アカデミー賞の規定にある 「ロサンゼルス市内で一定の規模で公開された作品が対象」 にようやく満たされたため。(チャップリンは前'71年の名誉賞受賞でアメリカに復帰。)

 ◆主演女優賞には黒人の地位向上を反映してか、ダイアナ・ロス(『ビリー・ホリデイ物語』)とシシリー・タイソン(『サウンダー』)のアフリカ系2人が候補に。
 受賞者は『キャバレー』のライザ・ミネリ。オスカーの夢ならず早逝した母ジュディ・ガーランドの雪辱をここに果たした。


 
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