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【アカデミー賞全作品】 2015.10.02 (Fri)

『普通の人々 (1980米)』

第53回アカデミー作品賞~~家庭崩壊その2・親子編

53 普通の人々

 ≪感想≫
 ただ優しいだけで力も信念もない父親、自己愛の延長でしか人を愛せない母親、誰にも心を開けず自分ばかりを傷つける息子・・・。
 しかしみんな異常でも悪人でもない。自分が思い描く理想の、普通の人々であろうとするあまり、後戻りができないほど心が固まってしまうのは誰にでもあること。もはや「強い父、優しい母、聞き分けのよい子供」の単純な家族観で片づけられる時代ではないのだ。何不自由のない、愛にあふれた成功者・優等生だからこそ起こる破局は、21世紀の現代でも変わることなく当てはめることができておそろしかった。

 修復の兆しが見えはじめたその瞬間、水を差すように割り込んでくる小さなほころびの数々。入院時の友人カレン (ダイナ・マノフ) の明るい笑顔とその回復ぶりが、彼らの失敗を象徴しているようで心が痛んだ。あれはこたえた。

 オスカー度/★★★
    満足度/★★★



 『普通の人々 (1980米)』

 監督/ロバート・レッドフォード
 主演/ドナルド・サザーランド (カルヴィン・ギャレット)
     メアリー・タイラー・ムーア (ベス・ギャレット)
     ティモシー・ハットン (コンラッド・ギャレット)
     ジャド・ハーシュ (バーガー医師)
     エリザベス・マクガヴァン (ジェニン)

 ≪あらすじ≫
 ある事件以来、冷え切った空気のギャレット家。次男のコンラッドは自殺を図り、著しく不安定な精神状態にあった。あからさまに彼を避ける母ベスと、家族の危機に無力な父カルヴィン。精神科医に通いだしたコンラッドは、一家の誇りだった兄を見殺しにしてしまった罪の意識をぬぐおうとする。

 ≪解説≫
 一見理想的に見える裕福な家庭の苦悩を、真正面からとらえた家族ドラマ。
 かつて古いアメリカ的伝統を変えんと闘った若者たちは、激動の青春を終えて人の親になった。しかし新しい家族の価値観は確立されることはなく、この'80年代も娯楽スペクタクル大作の陰で重く模索され続けていくことになる。怪優D・サザーランドのキャスティングが絶妙。もとはコメディで鳴らした母親役M・T・ムーアの力演も白眉。

 二枚目俳優R・レッドフォードの初監督作。今でこそ、「サンダンス(『明日に向かって撃て』で自身が演じた役名ですね)」を冠する数々の映画事業で重きをなす名製作者だが、その処女作からして実にしっかりとした骨組み。こういう手堅い船出は、後のスター俳優たちが監督転向する際のお手本になった。(この監督賞で初オスカー。2001年にこれらの功績を讃える名誉賞。)



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、助演男優(T・ハットン)、脚色賞の計4部門受賞。(候補6部門中)
 (他の作品賞候補 『レイジング・ブル』 『歌え!ロレッタ/愛のために』 『エレファント・マン』 『テス』)

 授賞式予定の1981年3月30日にレーガン新大統領銃撃事件が起こったため、翌日に延期しての開催。開会のあいさつとして、直前に撮影されていたレーガンの元気な姿が映され、ようやく場の空気がほぐれた様子。

 初監督初受賞のレッドフォードほか、20歳のT・ハットンや助演女優賞メアリー・スティーンバージェン(『メルビンとハワード』。後の『バック・トゥ・ザ・フューチャーⅢ』の女教師役で有名ですね)などデビュー間もないフレッシュな顔が並び、新時代のはじまりを印象づけた。(下に続く…)




 『ORDINARY PEOPLE』

 製作/ロナルド・L・シュワリー
 監督/ロバート・レッドフォード
 脚本/アルヴィン・サージェント
 原作/ジュディス・ゲスト
 撮影/ジョン・ベイリー
 音楽/マーヴィン・ハムリッシュ (テーマ曲/パッヘルベル『カノン』)

 ワイルドウッド=パラマウント/124分
 

【続き・・・】

 

 ◆作品賞候補に白黒作品2本(『レイジング・ブル』 『エレファント・マン』)。15年ぶりという。
 ◆『レイジング・ブル』で実在のボクサーを演じたロバート・デニーロが主演男優賞。「デニーロ・アプローチ」と呼ばれた、鋼鉄の肉体から肥満体まで実に27kgぶんも体型を変えるという壮絶な役作りが話題になった。(『ゴッドファーザーPART2』助演賞以来2つめのオスカー。)

 ◆(…続き) デニーロと主演女優賞シシー・スペイシク(『歌え! ロレッタ 愛のために』)もまだ30代。
 ほか、『エレファント・マン(0/8勝)』デヴィッド・リンチ監督の衝撃メジャー・デビューや、『テス(3勝)』ナスターシャ・キンスキーの鮮烈な美貌、青春映画『フェーム(2勝)』、『スターウォーズ/帝国の逆襲(2勝)』など、'80年代を迎えてより若々しい雰囲気に。


 
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