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【アカデミー賞全作品】 2016.04.25 (Mon)

『許されざる者 (1992米)』

第65回アカデミー作品賞~~「最後の西部劇」

65 許されざる者

 ≪感想≫
 初めて観たときからあまり感じるものがなかった。あとで「時代遅れの老人の話」というキーワードを教わり、ようやく合点。
 主人公も保安官も、暴力をふるわれた被害者の女たちでさえも、非道さや欺瞞を抱えた「許されざる者」として描くのは結構ですが、目を背けたい醜さを直視するふりをしながら、最後は派手なドンパチそしてぬる~くあいまいな着地で終わった感じ。イーストウッドにしろ北野武にしろ、この頃からあからさまになる「オジサンたちの自分さがし・自分語り」に共感できないとムリ。
 万人に通じる・教える「選ばれたプロ」がつくる時代から、一部の仲間うちや同調者だけで私的な思いを共有しあう「誰でも発信できる」時代へ――。その象徴的な作品と言ったらなんでしょうか。

 オスカー度/★★☆
    満足度/★☆☆



 『許されざる者 (1992米)』

 監督/クリント・イーストウッド
 主演/クリント・イーストウッド (ウィリアム・マーニー)
      ジーン・ハックマン (保安官リトル・ビル・ダゲット)
      モーガン・フリーマン (ネッド・ローガン)
      ジェームズ・ウールヴェット (スコフィールド・キッド)
      リチャード・ハリス (イングリッシュ・ボブ)

 ≪あらすじ≫
 客から手ひどい暴行を受けた娼婦が、老ガンマンのマーニーに復讐を依頼する。彼はかつて冷酷な賞金稼ぎとして恐れられた男。それが今では足を洗い、さびれた農場でつつましく暮らしていた。
 はじめは再び銃を握ることを躊躇するマーニーだったが、小さな子供たちを食わせるため、敵の巣窟へと乗り込んでいく。しかしその町は、治安維持のためなら手段を問わない鬼保安官リトル・ビルがにらみを利かせていた。

 ≪解説≫
 西部劇で名を成したイーストウッドが、みずから「最後の西部劇」と銘打って引導を渡した力作。
 そこにあるのは善悪を越えた非情の世界であり、決して生温かい正義をうたいあげるものではない。時代は、保安官ビルに象徴される「法」による統治に移行し、「決闘」で雌雄を決しようとする主人公は、もはや時代遅れの存在だったのだ。
 アメリカのヒロイズムの原点である「ガンマン=正義のヒーロー」という概念を完全に否定したイーストウッド。まさに「最後の西部劇」と呼ぶにふさわしい。



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、助演男優(G・ハックマン)、編集賞の計4部門受賞。(候補9部門中)
 (他の作品賞候補 『ハワーズ・エンド』 『クライング・ゲーム』 『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』 『ア・フュー・グッドメン』)

 監督業に手を出すスター俳優として、必ずしも評判が良くなかったイーストウッドだったが、ついに公に評価されたことで実力派作家としての地位を確立。以後アカデミー賞の常連として、『ミリオンダラー・ベイビー('04)』で2度目の作品・監督W受賞を果たした。

 アメリカ映画の小粒感と外国映画の大作感――という印象だった (『ハワーズ・エンド(英)』、外国語映画賞『インドシナ(仏)』)。アメリカ話題の伝記大作 『マルコムX』 と 『チャーリー』 は、主演の両男優(デンゼル・ワシントンとロバート・ダウニーJr.)がノミネートされた程度に終わった。



 『UNFORGIVEN』

 製作/クリント・イーストウッド
 監督/クリント・イーストウッド
 脚本/デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
 撮影/ジャック・N・グリーン
 音楽/レニー・ニーハウス
 編集/ジョエル・コックス

 マルパソ=ワーナー/131分
 

【続き・・・】

 

 ◆候補7作目のアル・パチーノが 『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』 で悲願の主演男優賞。この年 『摩天楼を夢みて』 でも助演賞候補に。イーストウッド同様、無冠のスターの賞狙いと「お情け票」感もあったが、たしかに重厚な名演技ではあった。
 ◆主演女優賞はイギリスの実力派エマ・トンプソン(『ハワーズ・エンド』)が貫録の受賞。
 一方、新顔マリッサ・トメイ(『いとこのビニー』)への助演女優賞が意外だった。他の外国勢4候補と比べて、受賞への売り込みが積極的だったのかな?
 (受賞を左右するのは製作者やエージェントの宣伝やムードづくり。日本の解説者からよく指摘される、投票する側の「地元アメリカ人びいき」な意識は、この頃もう薄れていたのではないか。
 ・・・それより、"黒人"スパイク・リー渾身の 『マルコムX』が作品・監督賞の候補にも挙がらなかったほうが問題だ。)

 ◆日本関連ではF・F・コッポラ監督『ドラキュラ』の石岡瑛子に衣装賞。


 
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