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【アカデミー賞全作品】 2016.07.20 (Wed)

『イングリッシュ・ペイシェント(1996米)』

第69回アカデミー作品賞~~ハリウッド式“韓流ブーム”?

69 イングリッシュ・ペイシェント

 ≪感想≫
 まさにハリウッド的大人のメロドラマの典型。人物の感情を紡ぐように、じっくり撮りあげるミンゲラ監督の面目躍如('08年に急逝されたとか・・・惜しい!)。演技陣も安心して見ていられます。観客のノスタルジーをくすぐるかのような手法は、日本の“韓流ブーム”に先んじていたと言えそう (アジアでは“プラトニック”じゃないと受けませんが、西洋ではこのくらいがノスタルジーの対象に)。
 ぼくには物足りなく感じたのは、まだ若い証拠か。


 (2016年追記・・・)アカデミー好みの、美しく格調高い雰囲気こそまとっているが、全般的に平凡だった。
 過去と現在を交差させるその洗練度は、当時アジアほか非欧米の名手がずっと先を行っていた。それを中途半端に倣っただけな感じ。

 この時代の女性がさまざまなリスク(身なりや化粧が崩れるだけでも相当なものだろう)を冒してまで不貞の恋に走る決断や、それを知った夫との摩擦(いきなり飛行機で突っ込んでくる)、W・デフォー演じる”親指のない男”の復讐(先にふたり片づけたらしい)・・・などなど、大事な瞬間をみごとに省略して、ぼんやりしたお話を延々と。
 この長尺で「人間」が伝わったのはJ・ビノシュのキャラクターくらいかな。しばらくぶりに観て評価をぐんと下げたのは、ぼくが大人になった証拠か。

 戸田奈津子さんの翻訳も相変わらず杜撰で品がなく、作品の魅力を増す助けになっていない。

 オスカー度/★☆☆
    満足度/★☆☆



 『イングリッシュ・ペイシェント(1996米)』

 監督/アンソニー・ミンゲラ
 主演/レイフ・ファインズ (ラズロ・アルマシー伯爵)
     クリスティン・スコット・トーマス (キャサリン・クリフトン)
     ジュリエット・ビノシュ (看護師ハナ)
     ウィレム・デフォー (デヴィッド・カラヴァッジョ)
     ナヴィーン・アンドリュース (キップ・シン少尉)
     コリン・ファース (キャサリンの夫ジョフリー)

 ≪あらすじ≫
 第二次大戦下の北アフリカ。イギリスの飛行機が撃墜され、全身やけどを負った男が助け出される。
 「イギリス人の患者」と呼ばれたその男アルマシーは、看護師ハナの献身的な看護で記憶を取り戻し、人妻キャサリンとの愛の日々を語り始める。戦場で多くの友を失ったハナも、アルマシーとの触れあいの中で心の傷を癒していく。

 ≪解説≫
 野心的な企画で台頭する新興ミラマックス社が仕掛けた、ノスタルジックかつ官能的なメロドラマ。(同社はこの後、『恋におちたシェイクスピア('98)』 『シカゴ('02)』と作品賞を連発・・・して急に失速。)
 俊英A・ミンゲラ監督が、異国情緒あふれる古典的なメロドラマの雰囲気を洗練された映像で再現、一躍名を馳せた。



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、助演女優(J・ビノシュ)、撮影、音楽、編集、音響、衣装賞の計9部門受賞(候補12部門)。製作のS・ゼインツに、名プロデューサーを讃えるアーヴィング・サルバーグ賞。
 (他の作品賞候補 『シャイン』 『ファーゴ』 『秘密と嘘』 『ザ・エージェント』)

 大プロデューサーのS・ゼインツは 『カッコーの巣の上で('75)』 『アマデウス('84)』 に続く3度目の作品賞。これは、アカデミー特別賞の名前にもなった初期の天才アーヴィング・タルバーグ(『グランド・ホテル('32)』ほか)、20世紀FOX社黄金期の巨星ダリル・F・ザナック(『イヴの総て('50)』ほか)、独立<インディ>系の先駆者サム・スピーゲル(『アラビアのロレンス('62)』ほか)に並ぶタイ記録。

 作品賞候補のうち、ソニー・コロンビア社製作の『ザ・エージェント』以外はすべてインディ系の作品。老舗メジャーの低落と新興勢力の台頭が浮き彫りになった。



 『THE ENGLISH PATIENT』

 製作/ソール・ゼインツ
 監督/アンソニー・ミンゲラ
 脚本/アンソニー・ミンゲラ
 原作/マイケル・オンダーチェ
 撮影/ジョン・シール
 音楽/ガブリエル・ヤーレ
 編集/ウォルター・マーチ
 音響/ウォルター・マーチ、マーク・バーガー、デヴィッド・パーカー、クリス・ニューマン
 衣装/アン・ロス

 ゼインツ=ミラマックス/162分
 

【続き・・・】


◆主演男優賞は 『シャイン』 のジェフリー・ラッシュ。「心の病」に「ピアノ超絶技巧」という、いかにもアカデミー受けする役柄で票を集めた。
◆主演女優賞は『ファーゴ(インディの雄コーエン兄弟監督作)』のフランシス・マクドーマンド。話題の『エビータ』で力演した歌手のマドンナはノミネートすらされず、例年になく華やかさに欠けた。(・・・そのマクドーマンドは、実力より商売優先の俳優起用に 警鐘を鳴らすスピーチ。)
◆助演男優賞は『ザ・エージェント』のキューバ・グッディングJr. 。新鋭エドワード・ノートン(『真実の行方』)や渋いアーミン・ミューラー=スタール(『シャイン』)らを抑えてまさかの受賞。(主演のトム・クルーズ(ノミネート)にはオスカーをあげるほどでもないけど、他賞も含めて話題性に欠けるからアフリカ系の彼にあげとこう、という空気が働いたのかと邪推している。)
◆助演女優賞は、往年の大女優ローレン・バコール(『マンハッタン・ラプソディ』)への初候補・初受賞が期待されたが、妥当な本作『イングリッシュ…』 のJ・ビノシュに落ち着いた。(バコールには'09年に「名誉賞」。)

◆ボクシングの歴史的一戦「キンシャサの奇跡」を追った 『モハメド・アリ/かけがえのない日々』 に長編ドキュメンタリー賞。拳を交えたアリとジョージ・フォアマンがそろって壇上に立ち、この夜一番の喝采を浴びた。


 
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