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【アカデミー賞全作品】 2016.11.13 (Sun)

『ビューティフル・マインド(2001米)』

第74回アカデミー作品賞~~ドリームワークス3連覇

74 ビューティフル・マインド

 ≪感想≫
 数学者の話なので知のスパイスが効いた専門的な切り口を期待したのだが、数学の魅力や作り手の数学的センスが伝わってこなかった。上っ面のフンイキだけの日本語訳だからなおさら(例の戸田さんっすよ)。単なる闘病もの、夫婦愛に感動して泣きたい、という人にはいいかもしれない。

 (※以下ネタバレ)アンフェアな「夢オチ」を使われて、本作との信頼関係を失いました。「もしかしてこれも幻?」などと乗ってあげるほど優しい客ばかりじゃない。結局「あっ、そう」で終わりました。

 オスカー度/★☆☆(DW社の熱心な賞獲り運動あっての勝利)
    満足度/★☆☆



 『ビューティフル・マインド(2001米)』

 監督/ロン・ハワード
 主演/ラッセル・クロウ (ジョン・ナッシュ)
      ジェニファー・コネリー (アリシア・ナッシュ)
      エド・ハリス (諜報員パーチャー)
      クリストファー・プラマー (口ーゼン医師)
      ポール・ベタニー (学友チャールズ)

 ≪あらすじ≫
 周りから変人あつかいされながら、全米屈指の数学者として成功を収めた天才ジョン・ナッシュ。しかし時代は東西冷戦下。その才能に目をつけた諜報員バーチャーから、ソ連の暗号の解読を依頼される。これがもとで何者かに命を狙われるようになったナッシュは、ついに精神に異常をきたしてしまう。彼は妻アリシアの献身的な愛に支えられ、病と闘いながら研究を続ける。

 ≪解説≫
 病を乗り越え、“ゲーム理論”を確立してノーベル賞を受賞した数学者ジョン・F・ナッシュの半生を描く(物語はかなり美化されているらしい。少なくとも本作によって、彼のことをもっと知りたいと思わせなかった)。前年の『グラディエーター』に続く主演賞連覇はならなかったが、当時人気絶頂のクロウがこの難役を力演。



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、助演女優(J・コネリー)、脚色賞の計4部門受賞。
 (他の作品賞候補 『ロード・オブ・ザ・リング』 『ムーラン・ルージュ』 『イン・ザ・ベッド・ルーム』 『ゴスフォード・パーク』)

 『アメリカン・ビューティー』 『グラディエーター』に続く作品賞3連覇を狙うドリームワークス社。本命不在の中、彼らの旺盛なオスカー獲り運動が快挙に導いた。商業作品でありながら賞も狙った戦略は、'88年作品賞 『レインマン』に似ているかも。
 子役俳優から出発し、アメリカの骨太な世界を描いてヒットを飛ばすハワード監督への褒賞の意味も込められていた。また、かつてアイドル女優として人気を博したJ・コネリーは、このオスカーで再起を果たした。

 最大の対抗馬であった最多13部門候補の 『ロード・オブ・ザ・リング』 は、三部作の1とあって「今はおあずけ」な扱いだった。技術系部門での4勝にとどまる。

 9.11同時多発テロが明けたこの年の授賞式には、オスカー常連でありながら反ハリウッドの代表格ウディ・アレンがサプライズ・ゲストとして初登場、愛するニューヨークの復興を訴えた。この場面と黒人俳優のW受賞(後述)がハイライトシーンだったか。



 『A BEAUTIFUL MIND』

 製作/ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード
 監督/ロン・ハワード
 脚本/アキヴァ・ゴールズマン
 原作/シルヴィア・ネイサー
 撮影/ロジャー・ディキンス
 音楽/ジェームズ・ホーナー

 ドリームワークス/134分
 

【続き・・・】

 

 ◆男女の両主演賞はデンゼル・ワシントン(『トレーニング・デイ』 )とハル・ベリー(『チョコレート』)、アフリカ系俳優が初めてW受賞。
 シドニー・ポワチエ以来の悲願を果たした主演男優賞ワシントンは、くしくもこの年の名誉賞を授かった大先輩ポワチエとエール交換。新旧 “優等生” の落ち着いた大人の振る舞いはさすがだった。一方、アフリカ系初の主演女優賞に大興奮のベリーは、長々と感謝のスピーチをして困らせた。

 そんな演技部門は、ヒット作・話題作の本命陣は残念――
 オスカー2つめ('89年『グローリア』助演賞)のワシントンは実力面では申し分ないが、作品賞のラッセル・クロウ、『アリ』であの偉人を力演した同じ黒人スターのウィル・スミス、『アイ・アム・サム』で世界中の涙をさそったショーン・ペンなど強敵を向こうに回し、珍しい悪役での受賞は大きなサプライズと言えた。
 主演女優賞部門も、『ムーラン・ルージュ』 のスター女優ニコール・キッドマンが旺盛な宣伝で本命とされていた。
 ◆助演男優賞はイギリスの小品 『アイリス』 のジム・ブロードベンド。ここも、大ヒット作 『ロード・オブ・ザ・リング』 で老賢者ガンダルフを演じたイアン・マッケランの受賞が期待されていた。
 ◆外国語映画賞も、社会現象にまでなったフランスの 『アメリ』 ではなく、悲劇のボスニア紛争をおかしくも厳しく風刺した同国作 『ノー・マンズ・ランド』 が手堅く選ばれた。

 ◆この年から新たに「長編アニメ映画賞」が創設。栄えある第1回はドリームワークス社の 『シュレック』 に贈られた。技術・芸術面では優勢とされた、飛ぶ鳥を落とす勢いのピクサー社による 『モンスターズ・インク』 をかわしての受賞だった。(このあたりも政治・宣伝力が受賞を左右するといわれるゆえん。)

 ◆前述のとおり、人種差別を乗り越えハリウッドに大きな地位を築いた黒人俳優シドニー・ポワチエに 「名誉賞」。1963年 『野のユリ』でアフリカ系初の主演男優賞のほか、1957年の3作 『夜の大捜査線(作品賞)』 『招かれざる客』 『いつも心に太陽を』 は、いずれもオスカーにふさわしい充実した名演だった。(なのにひとつもノミネートされず!)
 その知的で上品な物腰や役柄は、闘争の時代にはソフトすぎると同胞から批判を浴びることもあったが、彼なくして黒人映画人の歴史は切り拓かれなかっただろう。それだけに近年、ふたたび人種マイノリティーのノミネートが少なくなっているのが懸念される。


 
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