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【アカデミー賞全作品】 2016.12.03 (Sat)

『シカゴ (2002米)』

第75回アカデミー作品賞~~悪の華ほど美しい

75 シカゴ

 ≪感想≫
 痛快きわまるヴァンプ<悪女>・ミュージカル、とても刺激的で楽しかった!
 空想チックに見せるミュージカル演出や、アイディアとバラエティに富んだ歌は洗練されていて飽きさせない。悪徳弁護士役R・ギアのヘタクソな歌も、図々しくてかえっていい味。なにより、女が男の力を借りずのし上がっていく様は、時代の進歩を感じてスカッとする(R・ギア演じる弁護士は、別に男でなくてもいい)。
 ・・・が、「地味な普通の女の子代表」のはずのゼルウィガーの、演技を超えて「私、キレイでしょ?」と言わんばかりにはウ~ン、ひいた。でもそういう時代なのね。

 オスカー度/★☆☆
    満足度/★★★



 『シカゴ (2002米)』

 監督/ロブ・マーシャル
 主演/レネー・ゼルウィガー (ロキシー・ハート) (※「レニー」表記から改められたそうです)
     キャサリン・ゼタ・ジョーンズ (ヴェルマ・ケリー)
     リチャード・ギア (弁護士ビリー・フリン)
     クイーン・ラティファ (看守長ママ・モートン)
     ジョン・C・ライリー (ロキシーの夫エイモス)

 ≪あらすじ≫
 1920年代のシカゴ。女優を夢見る平凡な主婦ロキシーは、その夢をもてあそんだペテン師の愛人を殺してしまう。収監された刑務所には、同じく殺人を犯してしまったスター女優ヴェルマの姿が・・・。
 すご腕弁護士フリンの宣伝工作で、獄中のヒロインとして世を賑わすヴェルマ。そんな彼女にあこがれるロキシーはフリンを引き込み、ヴェルマを蹴落として一躍時の人になる。

 ≪解説≫
 「ブロードウェイの神様」故ボブ・フォッシーが手がけたミュージカル劇を、現代ブロードウェイの気鋭マーシャルが映画初監督。
 刑務所や裁判所といった修羅場を舞台に、名声欲にとりつかれた女たちの鞘当てを、華麗で洗練された演出で魅せる。俳優たちが吹き替えなしで歌い踊ったことも話題になった。(※ぼくは、CGで体のラインを美しく見せたり、ダンスをブチブチ細かい編集でつなぐくらいなら、堂々と吹き替えを使ったほうがいいと思う。)



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、助演女優(K・Z・ジョーンズ)、美術、音響、編集、衣裳賞の計6部門受賞。(候補12部門中)
 (他の作品賞候補 『ギャング・オブ・ニューヨーク』 『戦場のピアニスト』 『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』 『めぐりあう時間たち』)

 ミュージカル映画は 『オリバー!('68)』 以来35年ぶりの受賞。ただし監督や脚本など主要部門を逃したとおり作品賞としては弱く、またも「本命不在の年」を印象づけた。

 この年の授賞式は、米軍によるイラク侵攻に揺れる中、黒装束のスターたちが相次いで平和を訴える神妙な雰囲気。特に 『ボウリング・フォー・コロンバイン』 で長編ドキュメンタリー賞のマイケル・ムーア監督が、ブッシュ大統領を「インチキ」と罵倒した場面がハイライト、喝采と怒号が交錯した。
 また日本の 『千と千尋の神隠し』 が長編アニメ賞を受賞した年だったが、彼ら海外勢の多くはテロを警戒して、あるいは米政府に抗議して(A・カウリスマキ監督)欠席、総じてさびしい授賞式だった。



 『CHICAGO』

 製作/マーティン・リチャーズ
 監督/ロブ・マーシャル
 脚本/ビル・コンドン
 原作/モーリン・ダラス・ワトキンス
 撮影/ディオン・ビーブ
 音楽監督/ダニー・エルフマン (オリジナル作曲/ジョン・カンダー、作詞/フレッド・エッブ)
 美術/ジョン・マイヤー、装置/ゴードン・シム
 編集/マーティン・ウォルシュ
 音響/デヴィッド・リー、マイケル・ミンクラー、ドミニク・タヴェラ
 衣装/ロブ・マーシャル、コリーン・エイトウッド

 サークルCo.、ゼイダン&メロン・プロ=ミラマックス/113分
 

【続き・・・】

 

 ◆主演女優賞は 『めぐりあう時間たち』 のスター女優ニコール・キッドマンが念願の受賞。作家ヴァージニア・ウルフを演じるため、CGで付け鼻をほどこした役作りはしばらくジョークのネタにされた。
 ◆主演男優賞は 『戦場のピアニスト』 のエイドリアン・ブロディ。29歳の受賞は同賞の史上最年少記録(『グッバイガール('77)』のリチャード・ドレイファスが数か月遅れで同じ29歳受賞の例あり)。受賞の壇上でプレゼンターのハル・ベリー(前年の主演女優賞)の唇を奪うはしゃぎようだった。
 ◆助演男優賞は 『アダプテーション』 の性格俳優クリス・クーパー。

 ◆監督賞は『戦場のピアニスト』の名匠ロマン・ポランスキー。'70年代の少女淫行の罪で、アメリカに入国すれば逮捕される身の上だったため欠席。
 ◆撮影賞のコンラッド・L・ホール(『ロード・トゥ・パーティション』)は、授賞式直前に亡くなったため息子が代わりにオスカーを受け取った。『明日に向かって撃て('69)』 『アメリカン・ビューティー ('00=作品賞)』 に続く3つ目のオスカーだった。
 ◆歌曲賞はヒップホップの新星エミネム。半自伝的映画 『8mile』 と併せて注目を浴びた。
 ◆M・スコセッシ監督、L・ディカプリオ主演の 『ギャング・オブ・ニューヨーク』 は10部門全敗。'85年のS・スピルバーグ監督 『カラーパープル』 11部門全敗に次ぐワースト2位タイ記録。

 ◆新設2年目の長編アニメ映画賞に、宮崎駿監督 『千と千尋の神隠し』 が選ばれた。娼館をほのめかす場所で少女を働かせる話に、よくオスカーを与えたものだと思う。宮崎のビッグネーム先行な感じがした。
 前述のとおり、宮崎ら関係者はイラク戦争下の治安を不安視して式典を欠席した。

 ◆長編ドキュメンタリー映画賞に、異例の大ヒットを記録した 『ボウリング・フォー・コロンバイン』。その風雲児マイケル・ムーア監督のブッシュ批判は、「授賞式に政治を持ち込まない」というルールを破るもので大きな物議をかもした。
 そんな中、リベラルの急先鋒たる女優スーザン・サランドンが、追悼コーナーの進行役として登壇。いつもの政治発言を封印し、無言のピースサインで反戦を訴えたのが何よりも雄弁だった。

 ◆名誉賞にイギリスの名優ピーター・オトゥール。『アラビアのロレンス』 『チップス先生さようなら』など生涯8度のノミネートながら無冠は、アカデミー史上でも有名な記録である。これまでも穴埋めのための名誉賞を断り、あくまで現役での受賞にこだわっていたが、今回穏やかな表情だったのが見ていて救われた(胸中はいざ知らず)。'13年に没。


 
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