【アカデミー賞全作品】 2017.03.14 (Tue)

『ディパーテッド (2006米)』

第79回アカデミー作品賞~~お情けのオスカー

79 ディパーテッド

 ≪感想≫
 ただの荒唐無稽な商業娯楽アクション。脚本はお子様向け(脚色賞だって!?)。娯楽作でもかまわないが、香港のオリジナルのように自分たちの「今」を切り取ったわけでもない。無冠の人気監督への同情だけで、その年の最高賞を取った。アカデミー会員のいい加減な投票は、ハリウッドの低迷と比例して今後も続くだろう。
 受賞の瞬間、下品に指笛を鳴らす若い関係者の醜態が、すべてを象徴していた。

 オスカー度/★☆☆
    満足度/★☆☆



 『ディパーテッド (2006米)』

 監督/マーティン・スコセッシ
 主演/レオナルド・ディカプリオ (ビリー・コスティガン刑事)
      マット・デイモン (コリン・サリヴァン)
      ジャック・ニコルソン (コステロ)
      ベラ・ファミーガ (マドリン)
      マーク・ウォールバーグ (ディグナム刑事)
      マーティン・シーン (クイーナン警部)

 ≪あらすじ≫
 犯罪者一家に生まれた過去を振り払うように優秀な刑事となったビリー。かたやマフィアのボス・コステロに育てられ、その忠実な片腕となったコリン。
 ふたりは警察とマフィア、それぞれ互いの組織に潜入して重きを成すが、やがて対決の時を迎える。

 ≪解説≫
 香港のサスペンス・アクション 『インファナル・アフェア('02)』 をリメイクした娯楽作。香港返還の時代性をからめ、逃れられぬ宿命を大仰に描いたオリジナル版に比べ、これはティーン向けのギャングものに終わっている。製作に人気俳優B・ピッドやJ・アニストンが名を連ねている。



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、脚色賞の計3部門受賞。
 (他の作品賞候補 『バベル』 『硫黄島からの手紙』 『リトル・ミス・サンシャイン』 『クィーン』)

 またも本命不在の中、過去5度候補で無冠そして『ギャング・オブ・ニューヨーク('02)』では10部門全敗など不運だったスコセッシ監督に同情のオスカー。大手ワーナー社による後押しがあり、彼らには身近で理解しやすい内容だったせいもあるが、リメイクの商業娯楽作品の受賞はきわめて異例 (『ベン・ハー』などは時代が離れていた)。新企画を創造できないハリウッドの低落が、あらためて明白になった。
 なお、これまでスコセッシと組んでオスカー獲りに励んできた主演のL・ディカプリオは、同年 『ブラッド・ダイヤモンド』 のほうで主演賞候補になったが、またも残念(3度目)。



 『THE DEPARTED』

 製作/マーティン・スコセッシ、ジェニファー・アニストン、ブラッド・グレイ、グレアム・キング、ブラッド・ピット
     (候補者登録は1部門2名までのため、G・キングのみが受賞。)
 監督/マーティン・スコセッシ
 脚本/ウィリアム・モナハン
 原作/アラン・マック、フェリックス・チョン
 撮影/マイケル・バウハウス
 音楽/ハワード・ショア

 プランB、イニシャル・エンタ、バーティゴ・エンタ=ワーナー/152分
 

【続き・・・】

 

 演技賞はいずれも名演・熱演だったが、またも分かりやすい伝記ものばかり・・・
 ◆主演女優賞は 『クィーン』 のヘレン・ミレン。イギリス演劇界の“デイム”が、いまだ在位で誰もがそのイメージを知る英女王エリザベス2世の苦闘を文句なしに演じた。ヴェネチア映画祭でも最優秀女優賞。
 ◆主演男優賞は 『ラストキング・オブ・スコットランド』 のフォレスト・ウィテカー。アフリカ系きっての実力派が、ウガンダの独裁者アミンを狂気まじりに演じて映画各賞を総なめにした。
 ――なお、イギリスの名優ピーター・オトゥールは『ヴィーナス』 で8度目の主演賞候補だったがまたも落選。(有名な最多記録、'12年に没。)
 ◆助演女優賞は 『ドリームガールズ』 のジェニファー・ハドソン。ダイアナ・ロスのボーカルで知られる女性グループ “スプリームス” 内の確執を題材に、実力がありながらもスター・ボーカル(演ビヨンセ)の引き立て役を強いられたフローレンス・バラード(をモデルにしたキャラクター)を熱演した。本業は歌手で、演技初経験での快挙。
 (※同作はこの年の最多8つのノミネート。歌曲賞候補に3曲入ったことが大きかったが、その賞は『不都合な真実』に獲られた。作品賞の候補にもならなかったことは、黒人文化軽視ではないかと言われた。)
 ◆助演男優賞は 『リトル・ミス・サンシャイン』 のアラン・アーキン。同作はほかオリジナル脚本賞。

 ◆外国語映画賞は、東独時代の監視社会を題材にしたドイツの人間ドラマ 『善き人のためのソナタ』。
 ◆長編ドキュメンタリー賞は、文明がもたらす地球温暖化に警鐘を鳴らしたヒット作 『不都合な真実』。前民主党大統領候補アル・ゴア進行による内容は、かなり恣意的なデータ提示と演出がマユツバものと言われたが、ブッシュ政権下にあって地球温暖化の現実を広く知らしめることには成功した。

 ◆名誉賞はイタリア映画音楽の第一人者エンニオ・モリコーネ。マカロニ・ウェスタンの傑作群から 『アンタッチャブル('87)』 『ニュー・シネマ・パラダイス('88)』 など、耳なじみの曲は数知れず。(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ('84)』の有名な挿入歌『アマポーラ』は別人の作。) 長く無冠だったこともあっての褒賞だったが、'16年に7度目のノミネート 『ヘイトフル・エイト』 で作曲賞受賞。

 ◆日本関連では、C・イーストウッド監督が日米戦を描いた 『硫黄島からの手紙』 が作品賞候補に、『バベル』の菊地凛子が助演女優賞候補に、『もしも昨日が選べたら』の辻一弘というアーティストがメイク賞候補(翌年も候補)に名を連ねた。『硫黄島…』 は全編外国語ながらの作品賞候補(全編日本語としては初)。


 
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