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【日本映画】 2007.07.11 (Wed)

小津安二郎 『浮草』

 シリーズ宮川一夫①/ 小津安二郎監督 『浮草 (1959)』
小津安二郎 『浮草』


 ぼくは、小津安二郎作品があまり好きではありません。
 理由はひとつ、ジジくさいから。だんぜん黒澤明派。
 でも晩年のカラー作品 『浮草』 は、軽妙でつやっぽくて大好きです。

 物語は、ひなびた漁村を訪れた芝居一座の恋のさや当てと人間模様。

 この地に残したひとり息子と再会するのが嬉しくて仕方ない座長だったが、看板女優であるその情婦はおもしろくない。座長を困らせようと、妹分をけしかけて、立派な青年に成長した息子を誘惑させるのだが・・・。


 たまらなく艶っぽい京マチ子姐さんと、チョーかわいい!若尾文子さまの両ヒロインを迎えて、小津作品では珍しくにぎやかで扇情的。
 どしゃ降りの中、軒下のあちらとこちらから 「あほ! ばかたれ! あほ! あほ!」 と 関西弁でいがみあう、鴈治郎さんとマチ子ねえさんの激しさが印象に残ります。
 (若尾さんの郵便局のシーンは、以前S・セガールのうどんCMで使われてたやつ? かわいー!)

 撮影カメラマンは、われらが宮川一夫大先生。
 小津らしからぬ激しいどしゃ降りは宮川のアイディアを採りあげたのだそうで、後に宮川は 「小津さんに気を遣わせて悪いことをした」 と言っていますが、いやいや小津の抑制された作風と、宮川のビビッドな手腕が見事に融合。
 従来の小津ファンはこの関西風味に違和感をおぼえるようですが、これまで小津の魅力が分からなかった関西人にとってはまさに 「新発見」。えもいわれぬ だし加減にため息しきりです。このくらいのピリリがちょうどいい。

 ほか、サンローランの “モンドリアン・ルック”(懐かしい!)を連想させる赤みがかった色調に、アコーディオンが軽快なホームコメディ調の音楽など、絵に描いたようなレトロ風味。小津作品はひととおり観ましたが、こんなに楽しくてうれしくなる作品はありません。
 ええなぁ。ほんまにええわ、です。

『浮草('59大映)』

監督/小津安二郎
脚本/野田高梧、小津安二郎
撮影/宮川一夫
音楽/斎藤高順

主演/中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子、川口浩、杉村春子

 ※1934年の自作 『浮草物語』のリメイク。
 松竹所属の小津が、唯一大映で製作 (大映の巨匠・溝口健二との約束だったそうだ)。大映の名キャメラマン宮川との一期一会のタッグが実現。


 ええわぁ。

 
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