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【日本映画】 2007.08.07 (Tue)

市川崑 『炎上』

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シリーズ宮川一夫②/ 市川崑監督 『炎上 ('58)』

市川雷蔵主演、実際の金閣寺放火事件を題材にした、三島由紀夫の小説 『金閣寺』 の映画化です。

 吃音をかかえる内向的な青年溝口(市川雷蔵)が、僧侶だった亡父の遺志により、金堂で名高い驟閣寺に預けられる。誰にも心を開けないまま、比類なき美しさを誇る金堂への憧れをよりどころとする青年。しかし終戦を迎えると、崇拝する金堂は観光客の低俗な視線にさらされていく。
 母への嫌悪や宗教の堕落、そして内なるコンプレックスに破綻した彼は、ついに金堂に火を放つのだった。



ぼくにとっては、'99年のきょう8月7日に亡くなった宮川一夫の追悼企画としてBSで放送され、

「撮影カメラマン・宮川一夫」の偉大さを初めて知った作品。


ワイド画面を生かした、縦横の線の使い方のうまいこと!

屋内のシーンでは、建物の柱や梁でうまく画面を切り取って、広さ狭さをコントロール。

また 冒頭、主人公が寺の山門をくぐるシーンの、遠近法を生かした構図。こもれびの美しさ。

故郷の崖に立つシーンの水平線の位置。どこか不気味なさざ波の陰影。

いずれも一枚絵にして飾っておきたいくらい。


一方、複雑で観念的な主人公の心理を、みごとに映像に収めてみせた 若き市川崑監督も素晴らしい。

主人公が放火するに至った「これ」という理由は明確にしていないが、そこがいい。

原作の大きさに呑まれず、うまく距離を置いて、テーマを客観的に拾い上げたことが成功の秘訣だろう。


そしてそして、主演の雷蔵さん!

難しい役どころながら、作為をまったく感じさせない一世一代の名演!

あの妖艶な美剣士像をすっかり忘れさせるのだからすごい。


また、寺の老師を演じた鴈治郎さん。聖俗あわせ持つ人間性の振れ幅は等身大の大人像と言えるし、

副司役の信欣三さんの、処世と金勘定に長けたイヤミったらしさ、

さらにチョイ役ながら娼婦を演じた中村玉緒さん(まだ10代!)の、すれっからしぶりも強烈だ。

(鼻をポリポリかきながら、「お寺が焼けても焼けんでも よろしやないの」には参った。)


決して簡単な内容ではないが、一級の作り手たちによる一級の仕事にはよどみがない。

「よく切れる包丁ほど指を切らない」と言うように、スパッと心に届くのではないだろうか。


『炎上('58大映)』

監督/市川崑
脚本/和田夏十、長谷部慶治
撮影/宮川一夫
音楽/黛敏郎

主演/市川雷蔵、中村鴈治郎、仲代達矢、北林谷栄



 
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