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【日本映画】 2008.02.25 (Mon)

溝口健二 『雨月物語』

シリーズ宮川一夫⑤/溝口健二監督『雨月物語』

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(C) 角川大映


きょう'08年2月25日は、日本映画を代表する名キャメラマン宮川一夫の生誕100周年記念日。

歴史に残るそうそうたる名作群を支えた映像の名手だが、最大の代表作といえば

溝口健二監督の 『雨月物語』 (1953大映)に尽きる。


怪奇幻想物語の古典を題材にしたモノクロの映像美は、日本映画のひとつの頂点だ。

戦国の世、それぞれの欲望に翻弄される2組の夫婦の物語・・・。

とくに主人公(森雅之)が謎の美女(京マチ子)に溺れていく 「朽木屋敷」 の場は、

どこをとっても幻想美の極み。

ひと部屋ひと部屋 灯かりがくべられていく奥行きのある照明の演出、

どこかモダンな市松模様のふすまや、錦糸の1本1本まで映えようかという きらびやかな衣装、

そしてそして、ふたりが戯れる外庭の超俗とした空気感! (写真)


それは 「伝統的な和」 の美というより、国内外の最新技術を貪欲に取り入れた映画職人たちの

ほとばしる才気のフィルターを通した 「進化する和」 の美。

(日本的というなら、もっと俗気たっぷりのチャンバラ劇や人情現代劇のほうがふさわしい)

照明 岡本健一、美術 伊藤熹朔、衣装 甲斐庄楠音、そして撮影 宮川一夫…、

鬼才・名匠たちによる 「ほんもの」 の技だ。


もうひとつの名場面 「霧の琵琶湖」 での、深い霧の中から小舟が浮き上がるように現れる瞬間は、

えもいわれぬ幽玄の魔術に言葉を失ってしまう。


脚本は 「活字過多」、主演の田中絹代はお上品すぎ・・・

必ずしも物語にはのめりこめなかったのだが、たしかな素養の上に成り立つ

名匠たちの最高の仕事は、ただ見ているだけで眼福、目の肥やし。

と同時に、ヘンに欧米化したわれわれ現代日本人にはヘンにありがたく感じて、少し苦笑いだ。


 『雨月物語 (1953大映京都)』
 製作/永田雅一
 監督/溝口健二
 脚本/川口松太郎、依田義賢
 原作/上田秋成
 撮影/宮川一夫
 音楽/早坂文雄
 主演/森雅之、田中絹代、小沢栄、水戸光子、京マチ子


 
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