【このアート!】 2008.05.27 (Tue)
東大寺の四天王

広目天(参考)
奈良・仏像めぐりの旅、最後はいよいよ東大寺の四天王と何度目かの再会です。
東の法華堂から西の戒壇院へと、広い広い東大寺を横断。
中央に鎮座まします大仏さんには目もくれず、1km弱を7分で突っ切りました。
東大寺戒壇院 『四天王像』
奈良時代、天平文化を代表する傑作中の傑作。
木彫りや鋳造より自由度が高い、「塑造」 と呼ばれる粘土作り。まるで生きているかのようにリアルな肉づき。
黎明期の飛鳥・白鳳時代と 「ロマン派」 の平安時代にはさまれた奈良・天平の仏は、
「古典」として完成された普遍の美。 ベ-トーヴェンの交響曲がぴったり合いそう。
重厚な甲冑に身を固めた威圧感たっぷりの 「持国天」 は、有名な第5番 『運命』 の第1楽章。
感情を殺して静かに宝塔を掲げた 「多聞天」 は、第3番 『英雄』 の第2楽章 「葬送行進曲」。
筆を携えて遠くを見すえる哲学的な 「広目天」 は、第7番の沈鬱な第2楽章。
まなじりを決して敵を恫喝する憤怒の 「増長天」 は、第6番 『田園』 より嵐の第4楽章。
その近寄りがたい厳しい表情、一分のスキも無駄もないたたずまいは、
相次ぐ天変地異など国情不安に見舞われ、お世辞にも 「花の都」 とは言いがたかった平城京の、
のっぴきならない人心を反映しているかのようです。
曇り日の夕暮れ前、堂内に差した灰色の光が、厳粛な雰囲気をいっそう盛り上げてくれました。
・・・こうして、分刻みで練り上げた強行スケジュールも滞りなく終了。
帰りは近鉄奈良駅まで、奈良公園の杜を歩きました。今度は1km弱をゆっくりと。
久しぶりに精神集中したので、いくらか疲れました。
エキナカのカフェで頼んだ、普段は食べないケーキが特別おいしかったです。
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