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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.03.04 (Mon)

ガラスの仮面第1巻≪千の仮面を持つ少女≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 単行本コミックス第1巻 ≪千の仮面を持つ少女≫

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 【第1話~北島マヤ登場】

 横浜の小さな食堂で、住みこみ店員の母と暮らす13歳の少女・北島マヤ「けっして美少女ではなく、成績もよくはない一見平凡な少女」 であったが、テレビドラマや演劇にかけては人一倍の関心と情熱を持っていた。
 大好きなお芝居に熱中するあまり、店の手伝いがおろそかになることもしばしば。しかし一度聞いただけのセリフを丸暗記し、チケットを手に入れるためなら極寒の海に飛び込む・・・そんなマヤの情熱と秘めた才能に、かつての大女優・月影千草は女優としての限りない可能性を見出すのだった。


 記念すべき第1話の初試練が「年越しそば120件配達」とは、えらく庶民的。また「疲労・憔悴」を表す目元のタテ線は、今では 『ちびまる子ちゃん』 のようなギャグ表現でしかないので思わずたじろいだ。でも月影の顔の傷やマヤの鬼気迫る表情とあわせて、そういう時代がかったところに独特の迫力があり、何かエライことが始まりそうな予感をさせた。


 【第2話~「おそろしい子!」】

 来たる学校祭で、マヤのクラスは演劇 『国一番の花嫁』(作者オリジナル)を上演することに。マヤ、「笑われ者のビビ」役に決まって落胆するが、月影に励まされて一念発起、夜を徹して役作りに没頭する。


 マヤの公私に大きな影響をもたらす速水真澄と、宿命のライバル姫川亜弓が初登場(&小野寺も)。涼しげな瞳や閉じたまつ毛の筆使いに艶気がある。
 マヤの計り知れぬ才能に興奮した“黒夫人”月影千草の名ゼリフ、「おそろしい子!(オーホホホホホ)」。 こまかなポーズまで丸暗記している、と判断できる貴女もおそろしい。

 貧乏な現実を突きつけられても、そこまでひっ迫したものを感じない。'70年代半ばになると日本も豊かになり、「貧乏」という設定はほとんど形だけのものになっていく。(さらに'80年代に入ると「金持ち」亜弓の方がリアリティのある存在になっていくのもそのため)
 学級会で自分を推薦され、初めて人からほめられたと喜ぶマヤがいじらしい。そして、女優の血に目覚めるラストに感動。われながら王道の演出に弱い。

 ちなみに、役決めの場面で名前が出る「和田慎二」は実在の漫画家 (他の名前は関係者?)。その代表作『スケバン刑事』は'76年1月5日号で『ガラスの仮面』と同時スタートし、ともに『花とゆめ』誌の黄金時代を支えた。


 【第3話~ビビの仮面】

 稽古で時折り光る演技を見せながら、「笑われ者ビビ」の役作りに悩むマヤ。月影はマヤに「ビビの仮面」をかぶるつもりで演じるよう助言する(第2話)。
 上演の日。母は娘の道化役を恥じて見に来てくれない。その時「笑われ者」の気持ちをつかんだマヤは、一世一代の感動的な名演を見せ、大喝采を浴びる。先生には叱られたが、ついにマヤの心に火がついた。(「やりたい! お芝居をやりたい!」


 演出を無視したマヤの演技は後の「舞台あらし」の片鱗・・・とも言えなくもないが、少年少女向けマンガはそうやってはみ出すくらいがちょうどいい。それに、のちに何でもかんでも「白目」演技で片付けてしまうことを思えば、マヤの表情・・・というより作者のマンガ表現のじつに力強いこと!
 最初の1、2、3話は何度読んでも感動する。


 【第4話~劇団オンディーヌと『紅天女』】

 速水真澄の≪大都芸能≫が手がけ、「天才少女」 姫川亜弓も所属する≪劇団オンディーヌ≫。お金がなくて入団できないマヤだったが、即興で 「逃げた小鳥を追うパントマイム」 を演じさせられることに・・・。


 マヤの初恋の人・桜小路優が初登場 (マヤ「マヤのことかばってくれたり、親切でいい人なんだな・・・」)。一方の真澄は、番犬に襲われたマヤの血が服についてどこかうれしそう (「北島マヤといったな・・・」)。 同年代の美少年と地位ある年上の男性、両方から同時に好かれるというのは、女の子にはたまらんだろう。

 本作最大のキーワード、幻の名作劇 『紅天女』 について簡単に語られる。上演権を持つ月影千草は自身を継ぐ演者を育てようとしていること、その上演権を狙う真澄が月影を追い詰めようとしていることなど。


 【第5話~逃げた小鳥のパントマイム】

 逃げた小鳥を追うパントマイム。荒削りながら堂々かつリアルに表現してみせるマヤ。その才能に気づいた亜弓もまた、返礼代わりに見事な演技を見せつける。マヤと亜弓、お互い強烈な印象を植えつけあう。


 宿命のライバル姫川亜弓。主人公と正反対の「お金持ち」「名門のサラブレッド」「天才」なライバルは、初登場時は傲慢で横柄な悪役キャラになりがちだが、亜弓はしっかりマヤの才能を見抜いて一応の礼を尽くしている。連載前にちゃんと物語とキャラクターを練り上げた証拠だろう (もっとも当時の読者には、亜弓が典型的な悪役に見えたそうだ)。
 追記・・・当の作者も 「亜弓=悪役」 とみなしていたが、第4巻 『たけくらべ』 あたりで亜弓の魅力に気付き方向転換したのだとか。へぇ~、そうだったのか・・・。


 【第6話~「劇団つきかげ」始動】

 「いいえ! あたし…あたし、女優になります!」
 家出したマヤ、新たに発足した≪劇団つきかげ≫の特待生として月影に弟子入り。
 真澄による「月影つぶし」の予感やマヤ母の乱入(月影に熱湯をぶっかける!)を経て、月影はマヤに女優として生きる道を教え諭す (「あなたは千の仮面をもっている」)。


 青木麗水無月さやから、≪劇団つきかげ≫の良き仲間が初登場。
 劇団のバックについているという青柳ナントカ。あまり気持ちの入った設定ではないなと思っていたら、案の定フェードアウトしていった。劇団運営はお金がかかりますよ、ってことだけか。
 

【続き・・・】


 本ブログの前身であるYahoo!ブログがサービス終了ということで、もくじにリンクだけ貼っていた全巻レビュー記事を改めてFC2に投稿していきます。不定期。
 全50巻近くあるので、投稿完成は年単位になるかと思います。美内先生とどっちが終わるの早いか、乞うご期待!


 
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