【このアート!】 2020.10.02 (Fri)
スペイン絵画 ムリーリョの子ども絵
17世紀スペインの画家ムリーリョ。
宗教画や子供の絵を得意とした、エルグレコ~ベラスケスを継ぐスペイン黄金時代の人ですが、ぼくには子供のころ初めて知った 『蚤をとる少年』 が強烈すぎた。
「日の沈まぬ」黄金時代であろうが、市井の片隅にあふれる子供の貧困という現実。それをなくそうと努力しない限り、いつ、どの国でも変わりありません。大手ルーブル蔵とあって美術全集でよく目にするこの作品が、長くムリーリョのイメージでした。
ひるがえって、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の 『幼い洗礼者聖ヨハネと子羊』 。1660年代の作。

(部分)
バロック調の重厚さの中にも、愛らしく親しみやすい表情。そんな子供たちの「光」も「影」も平等に見つめた作風からは、ムリーリョという人の市民社会に根差した自然体な人柄が伝わります。彼自身、10人以上の子宝に恵まれながら、その半分以上を病で失った人でした。
このあとムリーリョは、スペイン・ハプスブルク朝の衰退と、隣りのフランス・ブルボン朝(ルイ14世)の隆盛――その主役交代に合わせるかのように、重厚なバロック調からロココ調を先取ったようなふわりと柔らかい作風に変わっていきます。(代表作 『無原罪のお宿り』 など)。
なお、作中のヨハネは若きイエスに洗礼をほどこした予言者で、歳の近いイエスとはよく一緒の絵画に登場。羊は彼のトレードマークで、「犠牲」を意味します。ユダヤの王女サロメに首をはねられる壮絶な最期は、G・モローの絵画やO・ワイルドの戯曲で有名ですね。
東京・国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は、予約制で10月半ばまで。作品数は少なめで物足りなかった。画面を潰す照明も考えもの。コロナ禍で開催が危ぶまれたが、延長してくれたのはありがとう。
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子供の頃、家にあった美術の本に載っていたムリリヨの
「聖・・・・・・の昇天」と言う作品に描かれた女性が美しくて、とても気に入って時々見ていました。「・・・・・」の部分は忘れました。
その本には作者は「ムリリヨ」って記されていました。きっとその後「より発音に近い表記」に変えて「ムリーリヨ」になったのでしょう。
その本ですが、先日出張買取の古本屋さんが家に来た次いでに、断捨離として持っていってもらって仕舞いました。美術全集は二束三文にもならず、只の引き取りでした。
この記事を見て、ああ、あの絵の載っていた本だけでも取っておけばよかった・・・と思いましたが後の祭り。
でもこれも断捨離!!