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【『ガラスの仮面』全巻】 2020.03.03 (Tue)

ガラスの仮面第20巻≪聖唐人登場~姫川亜弓物語≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第20巻 ≪100万の虹 (3)≫
 コミックス表紙は、亜弓が初の単独ショットで。本巻の後半には彼女の生い立ちが付され、いよいよ「W主役」としての存在感を増していく。

ガラスの仮面20巻

 【聖唐人初登場!】

 一ツ星学園演劇部 『わが作品No.707 いとしのオランピア』 開演 (「一つの成功は またつぎの舞台の幕を開く…!」)。 客演のマヤ見たさに満杯になる大ホール。マヤ、ほんの脇役ながらコミカルなお手伝いロボット「ルル」の演技で大喝采。冷淡だった部員たちも、マヤの技量とプロ意識に一目を置くようになる。

 (あらすじ・・・若き天才コペリウス博士によって、身投げした伯爵令嬢オランピアに生き写しのロボットが作られるが、歯車ひとつ足りなかったためとんでもないお転婆に。博士は欠陥ロボットだと悟られないようあれこれ奔走する。)

 楽屋に届けられた 「紫のバラ」。その贈り主を追いかけるマヤの前に現れた謎の男・聖唐人は、「紫のバラのひと」 とマヤの架け橋になることを約束する。


 学園内のアマチュア演劇ながら、マヤの復活の足取りは順調。悪人顔の 「白目」 部長(『アメトーーク!』のガラかめ回で土田晃之さんがコスプレしてた人…2020年追記)も、ほとんどいい人で終わる。今はリハビリ期なのでしばらく不幸話はいらない、ということだろう。

 大都芸能の 「影」 にして “紫のバラのひと” の代理人・聖唐人 (ひじり からと) が初登場! 水城秘書だけでなく、男の立場からも真澄の恋心を後押ししていく。マヤと真澄の恋物語が本格的に始まろうとしているのが分かる。



 【亜弓のひとり芝居 『ジュリエット』】

 亜弓の一人芝居 『ジュリエット』 公演。みごとなパントマイムで観客を魅了。
 (『ロミオとジュリエット』あらすじ…モンタギュー家とキャピュレット家が争う伊ヴェローナ。敵同士でありながら愛し合ってしまったロミオとジュリエットの悲劇。)

 マヤ、真澄に連れられて観劇するも、さらに開いた亜弓との実力差・女優キャリアの差にがく然とする。月影、自信喪失のマヤを 「荒療治」 とばかり叱咤。マヤもそれにこたえて自分なりの解釈で『ジュリエット』の演技を再現してみせる。不器用ながらも天性のカンを発揮 (亜弓 「マヤ…! わたしはあなたの本能がこわい…!」 月影 「北島マヤ…あの子は天才よ…!」)。

 亜弓、史上最年少のアカデミー芸術大賞を受賞。月影、『紅天女』 主演候補の条件として、マヤにも 「2年以内に芸術大賞か主演女優賞」 を課す。
 マヤ、高校卒業。これまでの支援のお礼として、「紫のバラのひと」 に卒業証書を贈る。


 読者には、亜弓が何もないところに座る 「空気いす」 のパントマイムがとても印象的だったようだ。亜弓の演技はとても絵になるのに、物語説明の活字過多なのが残念。
 「亜弓さんの 『ジュリエット』 をあたしが…?」 の マヤ・真澄・月影の3ショット絵が、以後しばらくコミックスの人物紹介用に使われている。・・・が、絵としては凡庸。なぜこんな絵を・・・?

 高校卒業という区切りに合わせて、「2年以内の受賞」 という新しい試練が主人公マヤに課される。また月影や亜弓の口から、「マヤはじつは天才」という仕掛けが示されはじめる。
 会見の場でのマヤへの冷笑と、卒業式での学友たちの盛大な見送り――周囲の好対照な態度が、「才能は誰もが認めるけど、芸能スキャンダルの後遺症にあえいでいる」今のマヤの立ち位置をよく表している。美内先生はこういう「立ち位置」の描写が上手い。(・・・けど、それが40巻以降の停滞・迷走の原因になっているかもしれない。…2020年追記)



 【姫川亜弓物語】

 姫川亜弓の生い立ちを描くショート・ストーリー…
 映画監督と女優の間に生まれたサラブレッドという家柄におぼれず、自分自身の実力を認めさせるため、人知れず血のにじむような努力を重ねてきたこと。 母・歌子から聞かされた幻の名作 『紅天女』 を演じるため、女優になろうと決意したこと。
 そして、唯一無二のライバル北島マヤに堂々と勝ってはじめて、『紅天女』 の座をつかもうという決意…。

 「わたしは努力して ひとのいう “天才” になっていたにすぎないわ…!」
 「ほんとうの天才は…北島マヤ あの子…!」


 「天才型=平凡な北島マヤ」「努力型=華やかな姫川亜弓」 という逆転の図式が、亜弓の言葉を借りて初めて明示される! そういう設定だったら面白いな、と思っていたことをやってくれて、読み終えたあと拍手拍手!
 すごい。作者・美内すずえ先生を尊敬した。

 '80年代に入ると日本はすっかり豊かになり、マンガの主人公も マヤのように貧乏・無芸からはい上がる雑草タイプに代わって、生まれつき家庭環境や技量に恵まれているタイプが主流になっていく (ぼくの知る限りですが 『北斗の拳』『キャプテン翼』…。『キン肉マン』 は王子さまだし、≪花とゆめ≫誌の同期といえば『パタリロ』も!)。
 とくに女の子にとって、豊かで恵まれた境遇ながら、自己を磨くため人知れず努力する姫川亜弓は、素直に共感・共鳴できるヒロイン像でしょう。その支持拡大に乗って、亜弓を描く作者の筆もなめらかです。
 一方、何でもありの 「天才」 であったばかりに、亜弓人気に押されはじめるマヤ・・・。昔は人並み外れた 「金持ち」 が特別でしたが、今は人並み外れた 「才能」 が特別な時代。。一部の読者からは、「天才マヤは自分と同じじゃない、向こう側の人」 と思われはじめているのがむずかしいところです。
 (文庫版12巻もおわり)

 
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