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【アメリカ映画】 2020.01.19 (Sun)

静かで熱い社会派映画 『インサイダー』

『インサイダー』

 タバコ業界の不正とその告発者の闘いを追った映画 『インサイダー』。1999年アメリカ。
 1996年に実際に起こった事件を、当事者・企業の実名を用いてリアルかつドラマチックに描く。比較的静かな劇調ながら、とても丁寧な描写の積み重ねが秀逸だった。


 主人公は、大手タバコ会社B&Wの不正を告発する前副社長(演ラッセル・クロウ)と、CBSテレビの看板報道番組 『60ミニッツ』 のプロデューサー(アル・パチーノ)
 巨大資本と政治力を振りかざし、タバコによる健康被害を隠蔽する大手タバコ企業群。
 テレビでの告発を決意した副社長のもとに降りかかる、不気味な妨害・脅迫・誹謗中傷の数々。医療や学資の生活保障は打ち切られ、過去の小さな汚点も掘り起こされ、家庭は疲弊し崩壊していく。
 そんな彼を励まし支援するプロデューサーのパチーノとて、困難は人ごとではない。オンエアーを拒む圧力は、局の買収問題にまで発展して現場のテレビマンたちを板挟みにする。それでも彼は屈することなく、世に伝えるべき事実の公表を目指すのだ。

 疲れきった副社長クロウは時に感情的に振る舞い、単純なミスも犯す。しかし世界の修羅場をくぐり抜けてきたパチーノは慣れたもの。
 「彼らは追い詰められた普通の人々。優雅さを求めるのは酷だ」 (1h25m)
 我々だって当事者になれば混乱はこんなものじゃないだろう。彼の冷静な言葉は一番強く心に響いた。


 物語は一般の娯楽サスペンス映画のように、見せ場のヤマを設けて起伏豊かにあつらえたものではない。しかし巨大権力に立ち向かう者に実際に起こるであろうトラブルや事態の細かな積み重ねで、2時間40分の長尺を飽きさせずに見せる。
 ジャーナリズム精神の理想を体現するパチーノの熱いキャラクターが、この一見地味な映画に情熱的な刺激をもたらしてくれた。
 社会派の実力者マイケル・マン監督の面目躍如。

 ・・・あっ、『60ミニッツ』 の司会者マイク・ウォレスを演じたクリストファー・プラマーって、あの 『サウンド・オブ・ミュージック』 のトラップ大佐だ!

 
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