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【『ガラスの仮面』全巻】 2020.01.26 (Sun)

ガラスの仮面第18巻≪女海賊ビアンカ≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第18巻 ≪100万の虹(1)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【『女海賊ビアンカ』】

 マヤ復活の第一歩は、高校の学園祭での一人芝居 『女海賊ビアンカ』 (作者オリジナル)。図書委員草木広子や脚色吉沢ひろしの助力を得ながら、ゼロから芝居を作り上げていく。
 そして本番。古い体育倉庫をそのまま使った粗末な舞台に、ヤジ馬半分で集まった客の生徒たち。しかしすべてを自分の世界にしてしまうマヤの巧みな表現力に、観客は魅了される。
 観客の中には月影の姿も・・・。

 あらすじ・・・400年前のエーゲ海。ヴェネチア貴族の令嬢でありながら、海賊に身をやつしたビアンカ姫の波乱の冒険を描く。


 生徒相手の体育倉庫・・・。「人気スター」 の再起としてはあまりに粗末な舞台だが、立ち直ったマヤには希望と明るさがみなぎっているので、まったくみじめさを感じさせない。むしろ再びはじまる快進撃に心躍らされる。
 ひとり高度成長、歩く 「もはや戦後ではない」。・・・こういうところに本作の主人公・北島マヤの魅力があるのだな、と改めて思った。

 そんな 読者の間でも人気の高いオリジナル劇中劇 『女海賊ビアンカ』 は、もともと作者が別の連載用に温めていた企画なのだとか。
 ただし (お話自体の面白さは別にして、) 膨大なセリフ量と観客の解説量 (「ちっとも不自然じゃないわ」「体育倉庫にいる感じじゃないわ」)・・・ページ内に埋めつくされた 「活字」 に頼るばかりで、「マンガ」 表現としてはお世辞にも上手いとは思えない。
 それでもテーマ (マヤの復活、月影からの自立、観客との真剣勝負) の立てかたや読者心理の誘導などストーリーテリングのうまさは、(失礼ながら)マンガ技術の至らない部分を補って余りあるずば抜けた力量。美内すずえは 「女・梶原一騎」 だ。



 ≪今週の月影先生≫
 月影、マヤたちの自立のため「劇団つきかげ」を離れ、今は大都芸能社主催のアクターズ・スタジオ講師を務めている。


 マヤの再起を喜びながらも、呼吸や所作など演技のミスを矢継ぎ早に指摘する月影の迫力! 一度見ただけでそこまで指摘できる、マヤをもしのぐ 「ガラかめ最大の天才」 のすごみを感じる。「一度しかいわないから よくきいていなさい」 のに一度で理解できたマヤもすごいけど。



 【亜弓の 『ジュリエット』 始動】

 一方、華やかな女優生活を送る亜弓も、マヤ復活の報を機に一人芝居 『ジュリエット』 に着手する。 (「育ちも境遇も丸っきり違うのに、わたしはあの子が理解できる…。もしかしてこの中にいる誰よりも、あの子はわたしの近くにいるのかもしれない…!」


 これまで 「お高くとまった憎まれ役」 から 「目標とすべきライバル」 へと、常に主人公マヤの一歩先を進んでいた亜弓の存在。そろそろ亜弓のほうもマヤから影響を受けるようになり、マヤと表裏一体、「人格の同一化」 しつつあるのが読み取れる。



 【ひとり芝居第2弾 『通り雨』】

 マヤの 『女海賊ビアンカ』 は異例の再演までされる大成功。さらに求められての一人芝居第2弾は、平凡な少女の日常を描いた 『通り雨』 (作者オリジナル)。本番に向けてパントマイムの技術を磨く日々・・・。


 マヤ・・・というより作者からは、地味な題材でも面白いものを描いてみせるという自信と野心が伝わってくる。その意気に脱帽した・・・が、がんばって若い読者層の趣味に合わせたようで、少々こっ恥ずかしい (たぶん作者は 「百恵ちゃん」 派で、「田原俊彦」 や第24巻あとがきの 「コンドーマサヒコくん」 にはあまり興味なさそう)。
 
 
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