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【★特別企画★】 2019.07.07 (Sun)

目黒のYOSHI-GYU

 創作 『目黒のYOSHI-GYU』 (落語 『目黒のさんま』 より)
トランプ(シルエット)

 ご身分の高いアメリカの方々は、下々の日本の生活はご存じありません。ですから常々少しでも知りたいと思っております。

 天候に恵まれた初秋の日。大統領がご家来を連れて、G20サミットをかねて来日なさいました。お江戸は目黒に着かれたのはお昼近くのこと。
 近くの店から、YOSHI-GYUのいい匂いが漂っております。その時、ご家来が 「かような腹ぺこの折りには、YOSHI-GYUのメガ盛りを食したい」 と言ったのを聞きつけた大統領、「自分もぜひYOSHI-GYUというものを食してみたい」 とご家来に所望しました。

 さあ困ったご家来衆。 「YOSHI-GYUとは低所得者層向けのファストフードでございますゆえ、閣下のお口に入りますような馳走ではございません」 と言ったものの、大統領のお言いつけではしかたがない。 何とか駅前店の学生アルバイトに頼んで、ホテルのロイヤルスイートまで配達してもらうことにした。
 大統領は、生まれてはじめてのYOSHI-GYUがすっかり気にいられた。お腹が空いていたことも合わさって忘れられない味になってしまった。ところがアメリカに帰っても、食卓にYOSHI-GYUのようなB級めしは出てきません。

 そんなある日のこと、ふたたび日本のおよばれでお出掛けになりますと、「何かお好みのお料理はございますでしょうか。何なりとお申し付けくださいまし」 という日本の首相の申し出に、すかさずYOSHI-GYUを注文した。
 首相は驚いて、伊勢松坂から最上級の牛肉を取り寄せた。しかしこのように脂が多いものをさしあげて、もしもお体にさわっては一大事と、十分に蒸したうえ、しょうゆつゆを丁寧に抜いて、だしがらの様になったYOSHI-GYUを出した。

「なに、これがYOSHI-GYUと申すか。フェイクではないのか? たしか、もっと甘辛くボリューム満点だったはずじゃが・・・」
 脂が抜けてパサパサの牛丼がおいしいはずがありません。
「このYOSHI-GYU、いずれより取りよせたのじゃ?」
「松坂A5のシャトーブリアンにござります」
「あっ、それはいかん。YOSHI-GYUは目黒にかぎる」



 原文は 「目黒のさんま」 検索で上位にあった 「『古典落語(上)』興津要編 講談社文庫」 版がシンプルで短かったので拝借しました。

 次回は、『時そば』 ならぬ 『時オスプレイ』 をお贈りいたします。(気が向いたら。)
 おあとがよろしいようで。


 
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