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【JAZZ】 2019.03.10 (Sun)

『パンゲア』マイルス・デイヴィス『アガルタ』

『アガルタ』
『アガルタ (1975)』

 1975年2月1日、大阪――。昼夜2部のライブを2作に分けて録音した、“ジャズの帝王”マイルス・デイヴィスのアルバム 『パンゲア』『アガルタ』

 当時としては画期的な、編集のハサミが入らない「ノーカット」でライブの高揚と熱狂を完全収録。電子楽器を取り入れて過激に進化した(――同時に多くのファンを戸惑わせた――)「エレクトリック・マイルス」時代の集大成となった。


 ぼくは 『デコイ('84)』 や 『TUTU('86)』 などもっと後の作品からマイルスに入ったはずなのに、これら「電子マイルス」に親しめるようになったのはごく最近のこと。パンゲア&アガルタも、CDを買ったはいいが棚に眠ること幾年月・・・。

 ・・・晴れて今回、冒頭の力強いドラムのリズムに一発で引き込まれた。電子マイルスがやりたかったのはリズムではないという指摘(下記の参考文献)もあるようだが、やっぱりリズムのカッコよさ、サイドを固める若手たちの荒れ狂う――しかし意外と計算された――新しい音の洪水だ。

 マイルスご本人の演奏はというと、交通事故の後遺症や麻薬中毒、来日時の風邪引きなどでコンディションは最悪。そのトランペットは「ワウ・ペダル」で音色を増幅させてはいるが力はなく、これならむしろ無いほうがいいくらい。(なお、この日はオルガンも演奏。)

 それより音楽全体の指揮者として前人未踏、「ジャズ」の枠を飛び出して「ファンク」「フュージョン」そして「ヒップホップ」誕生へと今まさに道を切り拓いていく、その一歩一歩にこそ不朽の価値があるというものだ。


 満身創痍のマイルスは、本作を最後にしばらく半引退状態に追い込まれてしまう。
 '80年代に復活を遂げたエレクトリック・マイルス晩年の作品群は、時代がひと回りした今聴くと、ことのほか落ち着いて聴けるから不思議。マイルスの播いた種がようやく実り、新しい音楽への違和感やアレルギーを払拭してくれたのだろう。

 ぼくが 『パンゲア』 『アガルタ』 という巨大な“地殻変動”を本当に理解するには、もう少し時間がかかりそうだ。それでも今、音のマグマに身をまかせて忘我の境地で楽しめたのは、ひとつ進化したってところか。
 

【続き・・・】


 中山康樹著 『マイルス・デイヴィス『アガルタ』『パンゲア』の真実』(河出書房新社、2011年)は、来日公演や録音に至った当時の内幕に詳しく、たいへん勉強になった。ただ両作の音楽的思想・真価・聴きどころを伝えるという点では、かつて電子マイルスを酷評した古い評論家への酷評ばかりで物足りなかった。

 
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