【ニュース&カルチャー】 2018.05.07 (Mon)

秀作ドキュ③『ラーマのつぶやき(NHK)』


テレビジョン(10)

 このところ、社会派の優れたテレビ・ドキュメンタリー番組を観たので、その最後3作目です。


 ETV特集 『ラーマのつぶやき (NHK)』
 週末深夜の骨太ドキュ枠から。

 内戦のシリアから日本に「難民」として逃れてきた一家に密着。16歳の長女ラーマさんの目線で、ようやく得た命の平穏と、異国の地に生きる不安の日々が描かれる。

 明るく屈託のないラーマさん。来日して数年、友達とカラオケで歌い、宿題を教える姿はどこにでもいる女子高生そのものだ。
 しかしその胸中は・・・。自分と家族が抱える問題に押しつぶされそうになりながらも、ひとつひとつ率直に丁寧に語る姿からは、とても聡明な人だと伝わってきた。


 無知無責任に「俺たちの税金で養われている」と浴びせかけるほど、彼らが置かれた環境は甘くない。難民とて生計を立てて自立していかねばならないのはどこも同じ。
 日本語が覚えられない夫に代わって、衣料店で働く自分の収入で一家を支えなければならないお母さんにのしかかる重圧。普段はほがらかなお母さんから唐突にあふれだす涙には心が痛んだ。

 また、「日本人家庭に1泊ステイしたい」というお母さんの提案に、かたくなに反対するお父さん。ラーマさんから、女性の外泊を認めない母国の文化が語られる。このお父さんは決して封建的な専制家長などではない。心を閉ざし、家に引きこもる彼ら難民の深い喪失感・絶望感も、ラーマさんの代弁なくして知りえなかっただろう。異邦人の苦難に何となくは同情できても、個々の環境や価値観の違いにどこまで気づき、寄り添えるか。
 それでも周囲の日本人たちはごく自然体で優しい。料理教室の講師として招かれ、大好評を得た元・5ッ星総料理長のお父さん。少しずつ日本社会に心を開いていく様子にひとまず、ほんのひとまずながらホッとした。


 ラーマさんの 「難民指定されたからといって幸せとは限らない」 という言葉には、受け入れる側の国民としてじくじたる思いがした。

 難民認定されるのが年に1ケタ、ようやく10数人に乗せた程度の「難民鎖国」日本。彼らを受け入れる意欲・能力の貧弱さだけでなく、世界に出たい人を送り出す手続きも煩雑だ。
 せめて世界に難民を生む元凶となったり、この国から逃げたくなるような国づくりの無きよう。

 ・・・本放送からすでに1ヵ月、遅くなってごめんなさい。NHKだからいつかまたやってくれるかな。

 
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