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【アメリカ映画】 2016.02.13 (Sat)

隠れ名作 『暴力脱獄 (1967米)』

『暴力脱獄』


 ポール・ニューマン主演、1967年のアメリカ映画 『暴力脱獄』 をはじめて観ました。実はどんな内容かも知りませんでした・・・。


 酔って街のパーキング・メーターを壊しまくった罪で、片田舎の刑務所に入れられたルークという男。
 古参の囚人たちは小ナマイキなルークが気に食わないが、やられても立ち上がるルークの根性と人柄に魅せられていく――



 ・・・とまで言えば、まぁ日本の番長マンガによくある話。
 ◆ストイックさ・豪快さを突きつめる日本流と違って、どこか柔軟・柔和な主人公のキャラクターが新鮮だった。
 ◆殴られても立ち上がる主人公に親分(G・ケネディ)が根負けするシーンは、のび太とジャイアンの一騎打ち 『さようならドラえもん』 の巻を思い出す。
 ◆「ゆで玉子50個大食い」のエピソードは、短いカットを矢継ぎ早につなぐ編集がムダに!かっこいい。最後ぶったおれた「十字架のキリスト」のようなポーズには、大げさすぎて笑った。


 ――最愛の母の死をきっかけに、ルークは何度も脱獄を図る。
 1度目、失敗。2度目、失敗。はじめは温情を見せていた看守による懲罰も、次第に苛烈なものに変わっていく。
 「改心しました」と泣いて看守の足にすがりつくルーク。これまで何度も立ち上がってきた彼が見せる醜態に失望し、背を向ける囚人仲間たち――



 「パーキングメーター破壊」「看守の杖」「十字架のキリスト」といったキーワードが、管理社会や権威・権力者への抵抗のシンボルとして浮かび上がる。
 と同時に、彼は無軌道なだけのアウトローではないし、強靭なヒーローを描きたいわけでもない。ルークという男とその物語の本質がだんだん見えてきた。

 「本当に参っていた。ただ"改心"しなかっただけ」

 若者の反抗・挫折を生々しく描いた 「アメリカン・ニューシネマ」 は 『俺たちに明日はない』 が始まりとされていますが、同じ1967年の本作にもその萌芽が見てとれます。


 ――そして三たびの脱獄。ところがすぐ、ルークは逃げるのをやめてしまう。
 無人の教会で、「神などいない」としたうえで、神に向かって訴えかける。不安と不透明の人生、自分にどうしろと言うのか・・・。



 社会を覆う、言いようのない生きづらさ、きな臭さ。
 主人公その人は頭のいい、行く先々で一目置かれるデキる奴ではあるが、自身は本当に何をやりたいのか見つけあぐねているような男。それでも、道まよい抗いながらも自分の言葉で訴えることに、われわれ現代人にこそ届く説得力がありました。無分別で破滅的なボニー&クライドとは違う、より21世紀的なアンチヒーロー像。

 そして最後のセリフ「俺たちは意思疎通に欠けてい・・・」。 究極の「意思疎通の欠如」 によって、この騒動は結末を見る。この瞬間は少なからずショックだった。最後の数10分は考えさせられた・・・。


 日本ではあまりメジャーではない本作。 『暴力脱獄』 というB級バイオレンスのような邦題で損しているという声がもっぱら。(原題はポーカーでいう「妙手」のことだが、今どきの「原題そのままの邦題」だったら、それはそれで芸がないだろうなあ。)
 いや、ヘンに内容を知らず、期待しなかったぶん、胸にグサリとくるものがあった。10代のころに観ておきたかった!
 

【続き・・・】

 

 『COOL HAND LUKE (1967米)』

 監督/スチュアート・ローゼンバーグ
 脚本/ ドン・ピアース(原作)、フランク・ピアソン
 主演/ポール・ニューマン
      ジョージ・ケネディ

 囚人の親分格を演じたG・ケネディにアカデミー助演男優賞。
 真の代表作と呼ぶにふさわしいニューマンも主演男優賞にノミネートされた(4度目)が、ライバルが『夜の大捜査線』ロッド・スタイガー(受賞者)、『招かれざる客』スペンサー・トレイシー、『俺たちに明日はない』ウォーレン・ベイティ、『卒業』ダスティン・ホフマンという歴史的名演ばかり! あまりに相手が悪すぎた・・・。


 
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21:28  |  アメリカ映画  |  コメント(2)  |  EDIT  |  上へ↑

*Comment

■Re: 隠れ名作 『暴力脱獄 (1967米)』

初めまして。
プロフィールのお言葉が気に入りました。
この映画、見てみたいですね。

ポールニューマン懐かしいです。

レインマン、ラストエンペラーも好きです。

坂本龍一にチョットだけ似ていると云われたことが有ります。
前の髪型が似ていたのかな~
プルートパパ |  2016.02.14(日) 21:33 |  URL |  【コメント編集】

■Re: 隠れ名作 『暴力脱獄 (1967米)』

卵を食べるシーンはこっちも気持ち悪くなるようなシーンでした。

記憶に残る好きな映画の一本です♪
☆中央競馬銀行☆ |  2016.02.20(土) 23:19 |  URL |  【コメント編集】

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