【欧州&世界映画】 2015.08.29 (Sat)
ソビエト映画 『ざくろの色』~亜欧の交差点にて

ソビエト時代の映画 『ざくろの色 (1968-71)』 を初めて観ました。
監督はセルゲイ・パラジャーノフという旧ソ連アルメニア人。
オリエンタルな色彩・装飾と平面的な構図は、ちょうどこの辺りを支配していた古いビザンチン絵画のよう。ほとんどセリフもストーリーもない、イメージだけが連続するシュールな世界。
なんだか分からないけど、なんて美しい!! ひとつひとつの絵を切り取って、そのまま壁に並べたい!
むかし洋酒のCMで、怪異な大道芸人たちが砂漠に並ぶ名作 (「サントリー・ローヤル/ランボー編」) がありましたが、もしかしてその元イメージはこれ? これだよ!? (ずっとフェリーニあたりが元ネタだと思ってた。)
黒海とカスピ海に挟まれ、かの 「ノアの箱舟」 がたどり着いた地であるというアルメニア。その末裔が一大王国を築き、ミラノ勅令(313年)に先駆けて世界で初めてキリスト教を国教とした由緒ある国。
そんな、ごく初期のキリスト教文化をそのまま保存したような映像世界からは、そのあと西隣のトルコや南のペルシャ、さらには北のロシア=ソ連といった歴史強国に蹂躙されつづけながら、しぶとく自らの文化と信仰を守り通した 「アルメニア」 という民族の、無言の矜持を感じます。 (少し北には、独立紛争で知られるチェチェンがあることからも、この地がいかに複雑な歴史の火種を抱えているかが分かるだろう。)
パラジャーノフ監督自身、ソビエト共産政府の支配下にあってはこのような作風が理解されるはずもなく、何度も弾圧・投獄されたという「生と魂を苛まれている男」。
前に観た、代表作とされる悲恋劇 『火の馬』 (1964) も美しくて分かりやすいのですが、ぼくは本作のイメージのほうにこそ、電撃が走るような感動をおぼえました。
【続き・・・】
しばしばユダヤと比べられる悲劇と流浪の民族アルメニア。今からちょうど100年前には、トルコによる100万人にも及ぶ民族大虐殺を被っており、あのヒットラーも蛮行の口実・手本にしたという――。
ぼくにとって 「アルメニア」 といえば、TVのクイズ番組でよく出る 「アから始まる国を10コ」 「旧ソ連の構成国を10コ答えよ」 の持ち札くらい。あと美人が多くて有名、とか(亜欧のエキゾチックな顔立ち)。そんなかの国のことを学んでみようという意欲まで湧いてきた。
――共産化を経て、ようやくソ連からの独立を果たしたのが1991年。セルゲイ・パラジャーノフ監督は、故国の悲願を見届けることなくその前年に亡くなったのだそうです。
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アハウ 詩人の血 |
2015.09.02(水) 09:30 | URL |
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