【このアート!】 2014.05.30 (Fri)
アンリ・ルソーの 「子ども」 絵

(オランジュリー美術館)
異才アンリ・ルソーの 『人形を抱く子ども』。 (「Portrait d'enfant」)
「子ども」~!?
確実におっさん。 女装癖がバレた社長。
抱えた人形はさらにおっさん。社長の秘密を知って、無理やり付き合わされた部長。
左手にはマーガレットの花でしょうか。指でちゃんと持ってるように・・・見えることは見えるか。それより、この不自然な両足の生えかたときたら! おっさんのくせにムートンぽいブーツもなんか腹立つ。
1904~05年ごろということは、最晩年60歳ごろの作品。
アンリ・ルソーは独学で絵画をはじめた、完全なプロではないパリの小役人。
時は、世界規模に産業文明が広がる19世紀末。家に居ながらにして異国情緒* に魅せられていった、「写真」 と 「万博」 と 「機械」 の時代の人。悪趣味とされたエッフェル塔* をいち早く芸術に取り入れたひとりでもあります。
そのヘタウマな絵、最晩年にはそれなりの人気画家になったようですが、ごく初期から評価していた一部のプロの巨匠たちからも、本人の強烈な「天然キャラ」もあって半分笑われていた。(それはたぶん本人も分かっていた。)
しかし、理解者であったピカソやフォービズムやシュルレアリスムに先駆けて、近代・モダニズム絵画の端緒になった。今ではそう位置づけられているのだから、芸術って分からないものです。何より100年の今まで生き残ったというのがスゴイ。
こんな絵なのに 「写実派」 だと言い張る、伝統的な画壇<アカデミー>の権威に弱かった古いミーハーおやじ。
悪いやつに乗せられて金融詐欺の片棒を担ぐ世間知らず。
ずっと年下のプロたちにからかい半分で持ち上げられ、それを受け入れている様は現代の 「いじられキャラ」 「素人いじり」 そのもの。
そして10人近い子供のほとんどと2人の妻を早くに亡くすという、帰るべき家庭にぽっかりと穴が開いてしまった人でした。マーガレットは「誠実」や「貞淑」の象徴であるほか、「安産」の寓意もあるにはあるんだけど、そこまでは勘ぐりすぎか。
いま、この 「こども」 が日本に来ているらしい。(森アーツ「こども展」)
この人はこれでいい、そういう人だからこんな絵でいいんですが、ほかのプロ巨匠たちの「子ども」も、たいして可愛くないところが罪な話です。
アンリ・ルソーの子ども絵といえば、これもインパクト満点ですよ。 とくに人形! (原題は男性詞の「le」だから、上の少女とは別人でしょうか。)
- 関連記事
-
- ウフィツィといえばボッティチェリ
- アンリ・ルソーの 「子ども」 絵
- 水墨画の秋
| このページの上へ↑ |

