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【日本映画】 2013.12.12 (Thu)

小津安二郎をみたけれど (2)

 ≪(1)のつづき≫ 2013年12月12日、小津安二郎の生誕110年にして没後50年・・・

小津安二郎『生まれてはみたけれど』

 
 『大人の見る絵本/生れてはみたけれど (1932)』
 東京の郊外に越してきた小学生の兄弟。子供から見た社会風刺です。
 約90分のうち、最初の60分は子供たちの日常。 嫌いなガキ大将がいて、逃げまわって、ケンカして泣かされて、虎の威を借りて子分が増えて・・・。子供たちにも彼らの社会があり序列がある。

 ぐっと面白くなるのは後半30分、偉いと思っていた自分たちの父親が、会社の上司に媚びへつらう姿を目撃してから。
 子供たちの失望はもっともですが、序列社会で生きなければならない父親の気持ちも分かり、とても切なくやるせない。
 しかしそこでコレコレこうだと理屈を並べるのではなく、黙って寄り添って、一緒にめしを食って、朝を迎えて・・・。そうやって生活の時間の中で解決する。 話が弱くもあったけど、あぁでもこれが自然なんだなと、後からじんわり染み入るものがありました。

 子供なりの言葉で大人社会の矛盾を衝くお話は、のちの 『お早よう (1959)』 の原型と言えるでしょう。(リンクは過去記事へ。)


 父親役は斎藤達雄さんという、『落第・・・』 でも主役をつとめた小津組初期の常連の人。家庭フィルム映画の中のコミカルな道化ぶりがほんとおかしい! 芸達者だなあ。
 次男坊の役は青木富夫さん。「突貫小僧」 という芸名で人気を博した戦前の名子役で、いかにも庶民丸出しのとぼけた風貌がいい味出してます。『落第・・・』 でも下宿の坊や役。(のちに周防正行監督は、『Shall we ダンス?』 などの常連・竹中直人さんの役名に、「青木富夫」と名付けてオマージュを捧げている。偶然気付いた。)

 舞台になったのは、松竹蒲田があった東急池上線の沿線だとか。品川~大田の東京南部がこんなだだっ広い更地だったとは!

◆ ◇ ◆

 小津安二郎監督 『大学は出たけれど(1929)』 『落第はしたけれど('30)』 『生れてはみたけれど('32)』 の、「けれど」 シリーズ?3作。 出口のない大不況下にありながら、のんきな庶民生活が全編ほほえましく描かれています。
 若者たちの部屋には「HAROLD LLOYD」や「MICHIGAN」っていうハイカラなポスター。わずか10年後には 「敵製言語」 なんて言いだすのにねえ。彼らの何人が戦場に行き、帰ってくるか。
 いずれも罪のないお話だったけど、彼らがたどる歴史を思うと、他にやるべき事あっただろうとひどくバカバカしく見えました。

 
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