【ニュース&カルチャー】 2013.10.22 (Tue)
キャパをかじる

今2013年10月22日は、写真家ロバート・キャパの生誕100年だそう。
ノルマンディ上陸作戦に従軍した緊迫の瞬間が有名。(上の写真)
「その時、キャパの手は震えていた」 の見出し文句で知られる歴史的一枚だが、画像がブレているのは、実はフィルム移送・現像時の作業ミスでした・・・というのは知る人ぞ知る裏話。
「ジャーナリズムの真実なんて後づけか」
この件でキャパが嫌いになって、それきりだった。
でも先日のテレビの特集で、キャパのもうひとつの神話を暴いていてとても面白かった。
「出世作 『崩れ落ちる兵士』 はヤラセか?」
そこで注目されたのは、キャパの恋人であり世界初の女性戦場カメラマンのゲルダ・タロー。
今まさに撃たれて死なんとするこの兵士は、実はただ訓練中に足を滑らせただけでは? しかもこれを撮ったのは、キャパの≪ライカ≫(画面が長方形)ではなくゲルダのカメラ≪ローライ≫(画面が正方形)では・・・?
「ロバート・キャパ」 という架空のキャラクターを創造し、恋人のユダヤ系ハンガリー青年 「エンドレ・フリードマン」 との二人三脚で世に出たゲルダは、しかし成功の一歩手前で戦場に死んだ。
残された 「もうひとりのキャパ」 ことエンドレは、真実をねじ曲げたうえ、恋人の作品を横取りして名を成した、というのだ。
真偽はともかく、その後のキャパは、死に急ぐかのように世界の戦場に身を投じていく。
ゲルダ・タローの幻影、「神様ロバート・キャパ」の虚影に近づかんとするあまりの行動だったとは、多くの人が指摘しているとおり。そして最期はインドシナの戦場で地雷を踏み、40歳の若さで死んだ。
飛び交う銃弾の嵐に飛び込み、味方兵を撮るため敵兵に背中をさらすなんて、並みの次元を超えた話だ。 また人間ロバート・キャパの素顔はじつに魅力的だし、大きくなりすぎた虚像の影でもがき続けた 「エンドレ・フリードマン」 の実像は悲壮きわまる迫力がある。
ただジャーナリズムをゆがめてもいい、とは話が違う。
死後、その名はまるで神格化されたのはご存知の通り。実像が虚像に追いついた。それは彼の望みだったのだろうか。
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