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【この本!】 2013.02.18 (Mon)

リチャード3世の骨

リチャード3世(40)
「馬をくれ、かわりに国をくれてやる」

 とあるイギリスの駐車場から、15世紀のイングランド王・リチャード3世の遺骨が発掘されたそうです。

 『リチャード3世』 といえば、シェイクスピアの戯曲としてつとに有名。
 生まれながらの醜い容姿。疑い深く悪だくみに長け、王位に就くためなら肉親だろうが余計な邪魔者を殺しまくった極悪人。シェイクスピア作品、いや西洋文学史に冠たる 「悪」 の代名詞こそ、このリチャード3世です。

 「・・・俺は俺。
  ここに人殺しはいるか? いやいる、この俺だ」


 しかし、おのれの醜さを知り、おのれの野心を笑う彼の“ひとり実況・解説”は、実にかろやかな人間的魅力にあふれています。
 ツギハギの甘い言葉と慈悲のため息をその身にまとえば、「俺は聖者に見えるだろう、悪魔を演じているその時に--」
 言葉の裏表をあやつる巧みな弁舌と、ハンディキャップをものともしない不断の行動力をもってすれば、またたく間にライバルの首は飛び、忠臣は使い捨てられ、女たちは呪われた運命と しとねを共にするほかありません。

◆ ◇ ◆

 実在のリチャード3世(1452-85)は、シェイクスピアからほぼ1世紀前の人。シェイクスピアが生きたチューダー朝は、ヨーク朝のリチャードを滅ぼして始まったので、リチャードを実際以上に悪者に仕立てあげたのだろうとは容易に想像できます。
 だけど、であったとしても、シェイクスピアの圧倒的な筆さばきによって、「悪のスーパースター」 という稀有な魅力を吹きこまれたリチャードは、古今あまたの人々を魅きつけてきました。
 ぼくもそのひとり。 理想の上司・・・は遠慮しておきますが、「あこがれの、尊敬するカリスマ悪役No.1」 です。

 このたび、顔の復元によって 「実はいい人っぽいじゃん」 という声が聞かれますが、いちファンとしては、いまさら優しくイケメンな草食リチャード様なんか見たくもない。
 一世一代の名ゼリフ 「馬をくれ、かわりに国をくれてやる」・・・、結局は悪の限りを尽くして周囲に見限られ、最期はぶざまな三日天下に終わってこそ、われらがリチャード3世なんです。
 

【続き・・・】

 

 シェイクスピア初期の傑作 『リチャード3世』、訳本で読むなら大定番・小田島雄志版。小田島さんの現代的で軽妙な言葉遣いは、この作品のどこか突き放したような滑稽味ととても合っている。松岡版は詳しく丁寧だがまじめすぎる感も。福田版はもう古い。

 映画 『リチャードを探して (1996米)』
 監督・主演アル・パチーノがリチャードに挑戦した半ドキュメンタリー映画。
 「ぜひリチャード3世を演りたいけど、全部作るには力がない」 から、製作風景などを加えて中途半端にごまかしたような作品。 初心者の入門編にはいいだろうし、まさにそっち向けなんだろうが、まったく物足りなかった。

 映画 『リチャード三世 (1955英)』
 オリヴィエのリチャード? あー違う、決定的に違う。いかにも文部省推薦くさかった。


 
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