【ヒッチコック全作品】 2012.12.19 (Wed)
『ジュノーと孔雀 (1930英)』

≪感想≫
舞台劇にそのままカメラを向けただけ。延々ワン・シーンのセリフ劇は、まるまる飛ばせばよかったくらい苦痛だった。 数少ない場面転換時に、機関銃の音をかぶせる演出は印象的だったが、もう少し場面を広げてくださいよ、ヒッチさん。
ただ後半部には、現代でも定番として多用される 「音の演出」 が2か所。目(耳)に止まった。
①裏切り者の息子に追っ手がせまるシーン。罪悪感と命の危機におびえる表情だけ映し、画面の外から葬列の会話や鎮魂歌の 「声」 を容赦なくぶつけて、死の不安を頂点まであおる演出。
②事務所の階段を下りる夫。相続話がつぶれて失意の脳裏に、無邪気にはしゃいでいた頃の会話が再現されるみじめな演出。
・・・前後作品から察するに、これらはおそらくヒッチその人の発明だろう。今では当たり前の演出法でも、当時1930年、トーキー2作目でやってのけた功はすごい。
A・ヒッチコック監督第11作 『ジュノーと孔雀 (1930英)』
出演/サラ・オールグッド (ジュノー)
エドワード・チャップマン (その夫ジョン・ボイル。“孔雀”)
ジョン・ローリー (息子ジョニー)
キャスリーン・オレガン (娘メアリー)
≪あらすじ≫
アイルランド独立戦争に揺れるダブリン。しっかり者の女房ジュノーと、“船長”を気取るぐうたら亭主ボイル。この夫婦に遺産相続の話が舞い込んでくるが、それがもとで、彼らは次々と不幸に見舞われることに・・・。
≪解説≫
当時リアルタイムのアイルランド独立紛争を背景にした、波乱の家庭ドラマ。 アイルランド気質を丁寧に描くと同時に、神をなじるような幕切れはカトリックおよびアイルランドの自己批判とも取れ、イギリスやプロテスタント勢力との紛争下にあっては劇的なものだったのだろう。(ちなみにヒッチもカトリックのアイルランド系イギリス人。)
タイトルは、結婚生活に難儀したかのローマ女神とその飼われ鳥から。
原作はイギリスでは知られた舞台劇だが、もともと映画的ではないうえ自己流にアレンジしづらい有名作品の映画化に、ヒッチは四苦八苦。 公開当時は高い評価を得たが、この原作戯曲と俊英ヒッチの名前先行で、あまり実質を伴ったものではなかったという。
脚色はヒッチ夫妻。
≪ヒッチはここだ!≫
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『JUNO AND THE PAYCOCK』
監督・脚本/アルフレッド・ヒッチコック
脚本/アルマ・レヴィル
原作/ショーン・オケイシー
撮影/ジャック・コックス
製作/ジョン・マックスウェル
ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ社 95分
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