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【ヒッチコック全作品】 2012.12.08 (Sat)

『殺人!(1930英)』

(ヒッチコック全作品) 
12.殺人!

 ≪感想≫
 お話そのものより、映像やトーキー技法など技術的な部分を追うだけで楽しめた。

 冒頭の大騒動だけでも、当時最先端をゆくトーキー技法のオンパレード。
 ・・・夜のしじまをつく女の悲鳴。「ガンガン」「ワンワン」 の騒音と喧騒 (こういう画面外の音の使い方が上手い!)。 ところが死体が発見された瞬間、いっさいの音が消え去り無音に・・・。
 自身の 『恐喝<ゆすり>』 からわずか1年、 にぎやかであれさえばいいとすら思われていたトーキー黎明期において、声の距離感や沈黙の価値に気付いていたヒッチの卓見が光る。

 映像も、影の使い方が不気味だけどかっこよくて、やっぱりサスペンス・スリラーを撮ってるヒッチからは才能がほとばしっている。



 A・ヒッチコック監督第12作 『殺人!』 (1930英)

 出演/ハーバート・マーシャル (サー・ジョン)
     ノラ・ベアリング (ダイアナ)
     フィリス・コンスダム (マーカム)

 ≪あらすじ≫
 女優のダイアナが役者仲間を殺した罪で死刑判決を受ける。陪審員のひとり俳優のジョン卿は、有罪票に投じながらも判決に疑問を抱き、独力で真犯人を捜し始める。

 ≪解説≫
 ヒッチ作品では意外とめずらしい犯人当てミステリー。

 しかしむしろ注目すべきは、湯水のごとくあふれ出るトーキー演出のアイディア。
 たとえば朝のひげ剃りのシーン。今日ではおなじみの、役者が口を動かさず、別録りの音声を重ねて内心を語るという 「モノローグ(独白)」 の手法は世界初。 またラジオの音楽で心理描写を補うのも実験的。そして驚きは、ノックの音が鳴った瞬間、BGMがプツリと切れて「我に返る」表現。これも今では定番となった演出ではないか。ダビング技術などない時代、セリフの録音テープと生の楽団を脇に置いて同時撮影・録音したそうだ。

 その一方、ヒッチ夫妻で担当した脚本の仕上がりが遅れ、セリフやストーリーはチグハグなものに。 ドイツ人役者によるドイツ語トーキー版(『Mary』)も並行して作っており、現場はとにかく大変だったらしい。

 ≪ヒッチはここだ!≫
 60分ごろ、現場宅から出てきたジョン卿らの前を女性と横切る。



  『MURDER!』

 監督/アルフレッド・ヒッチコック
 脚本/アルマ・レヴィル (ヒッチ夫人)
 原作/クレメンス・デーン、ヘレン・シンプソン
 撮影/ジャック・コックス
 製作/ジョン・マックスウェル

 ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャー社 92分

 
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