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【この本!】 2012.07.10 (Tue)

はじめてのドストエフスキー

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新潮文庫・原卓也訳
 
 たまたま縁あって、ドストエフスキーの2大傑作、『罪と罰』 と 『カラマーゾフの兄弟』 の映画版を観ました。

 もとのロシア文字が読めないので、ロシア文学はまったくの門外漢。 独特の土臭さも好きじゃなかった。10代の頃ざっと読んで、話は知っている程度です。

 映画版は、どちらもソ連時代の製作。
 『罪と罰 (1970)』は気取ったソビエト官僚的で退屈だったけど (有名な、ラスコーリニコフが大地に接吻する前に 「完」。えっ…?)、 『カラマーゾフの兄弟 (1969)』 はロシア色フルスロットルがかえって新鮮で、ぐいぐい引き込まれました。

*  *  *


 のっけからカラマーゾフ父子の罵詈雑言合戦。 「殺してやる!」「3歩の決闘だ!」
 俳優陣の、飢えた熊のように獰猛でいかめしい演技にビビりまくりました。 大迫力の 「歩く人間5.1サラウンド」!

 下劣で好色な老富豪カラマーゾフの一家を舞台に、父を憎む荒くれ者の長男、神をも否定するインテリの次男、信心深く純粋な三男・・・。
 ・・・この中のひとりが、その手をドス黒い血に染めてしまいます。そこからが俄然おもしろく! 推理・法廷劇としても読まれている事になるほど納得。

 でも一番の印象は、骨肉をむしばむ憎悪や裏切りを止めるすべを持たない、宗教の無力でした。

 りっぱな聖人も死ねば腐臭を放つ、あたり前の現実。
 また劇中、あらゆる場面であらゆる人が胸に十字を切りますが、無責任な傍観者でしかない大衆は、目の前の悲劇を何ひとつ解決できません。

 しかし一番の戦慄は、だからと言って 「神さえいなくなればすべてが許される」 とばかり、自らを≪選ばれた者≫と気取る独善の暴走。 その怖ろしさは時代も洋の東西も、神のあるなしも問わず歴史が証明している通りです。

*  *  *


 果ての知れない大平原に叩きつける、圧倒的な風、風、雪、雪・・・。この過酷きわまる大地で生まれた文豪の神と人間観は、やっぱりスケールが違うとゾッとする思いでした。

 とりあえず、いつ買ったかも思い出せないわが家の新潮文庫をひっぱり出してみました。すっかりホコリをかぶっていたけど、また読んでみるかなぁ・・・。これだけのページ数、勇気ないなぁ・・・。
 (実は 『罪と罰』、つい半年前に挫折したばかりです。)

 
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