【ヒッチコック全作品】 2012.08.02 (Thu)
『バルカン超特急 (1938英)』

≪感想≫
シンプルな構成、テンポの良い展開、あふれるユーモア、バラエティに富んだ登場人物たち。 誰にでも分かる誰にでも楽しい、娯楽映画のカガミ。何度も見たのに今回も90分があっという間だった。
物語構成は分かりやすく3部。まず、カンヅメにされた山岳ホテルの珍騒動で、登場人物たちの人となりが紹介される。そこへ忍び寄る殺しの影が、何事かと気を引き締めさせる。
それからいよいよ、列車内に消えた老婦人の怪。設定じたいが面白いし、それぞれに「理由」がある登場人物たちの個性がしっかり効いていて無理がない。
そしてクライマックスの銃撃戦。 架空の国という設定ながら、時代は第2次大戦前夜。強大な敵にもひるまない勇敢な戦いぶりには、ただのドンパチではない意義や興奮が当時こめられていたのだろう。
小道具使いなど細かい演出は意外と粗っぽかったが、楽しむにはじゅうぶんだった。
A・ヒッチコック監督第22作 『バルカン超特急 (1938英)』
出演/マーガレット・ロックウッド (アイリス・ヘンダーソン)
マイケル・レッドグレイヴ (ギルバート)
メイ・ウィッティ (フロイ)
ノーントン・ウェイン (英国人カルディコット)
バジル・ラドフォード (英国人チャーターズ)
ポール・ルーカス (ハルツ博士)
≪あらすじ≫
東欧バルカン山脈の小さな駅。雪で立ち往生をくらった旅行客が泊まるホテルで、人知れず男が殺される。翌朝、英国貴族の令嬢アイリス、青年音楽家ギルバートらさまざまな人たちを乗せて列車は出発するが、同乗した老婦人フロイがこつ然と姿を消す。アイリスは周囲にフロイの行方を尋ねてまわるが、皆が皆その存在すら知らないと言う・・・。
≪解説≫
イギリス時代の代表作のひとつ。 翌年の渡米を控えて、ヒッチの名声をさらに高めた。
謎に満ちたストーリーが実に奇想天外で楽しく、英米では後に幾度となくリメイクされている。(水野晴郎さんのあの怪作も、本作が元ネタだとか!?)
後のイギリス映画界の御大M・レッドグレイヴが映画初出演 (若い! 3人の子ヴァネッサ、コリン、リンもそろって名優に)。 また、息の合った英国人コンビは、実際この役名で活躍していた喜劇コンビだそうだ。
≪ヒッチはここだ!≫
90分、列車が到着した物語終盤、ロンドン駅のホームをタバコを吸いながら歩いている。ちょこんと肩をすくめて。
『THE LADY VANISHES』
監督/アルフレッド・ヒッチコック
脚色/シドニー・ギリアット、フランク・ローンダー (コンビで主筆)
アルマ・レヴィル (ヒッチ夫人。夫妻は細かい直し)
原作/エセル・リナ・ホワイト
撮影/ジャック・コックス
音楽/ルイ・レヴィ
製作/エドワード・ブラック
ゲインズボロー・プロ 97分
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