【ヒッチコック米時代】 2012.05.26 (Sat)
『断崖 (1941米)』

≪感想≫
男も世間も知らない気弱なお嬢様と、仕事もできずただ散財するだけの遊び人。どっちもどっちのどうしようもないカップルですが、演じた両優がハマリ役なので何とか興味をつなぎとめました。
J・フォンテーンはこういう線の細い役が本当にピッタリ。 アメリカ初期における真の 「ヒッチコック・ヒロイン」 を体現しているのは、I・バーグマンよりむしろ彼女のほうだ (後のヒッチ&バーグマン3部作はそっくり彼女が演ってもいい)。 一方のグラントは軽妙でイヤみがないのが救いですが、 後述の通りあいまいでラストのインパクトに欠けてしまったのが残念。
一長一短のキャスティング。弱いストーリー。
A・ヒッチコック監督第27作 『断崖 (1941米)』
出演/ケイリー・グラント (ジョン・エイガーズ)
ジョーン・フォンテーン (リナ・マクレイドロー)
ナイジェル・ブルース (友人ビーキー・スウェイト)
サー・セドリック・ハードウィック (父マクレイドロー将軍)
≪あらすじ≫
遊び人の名士ジョンに見初められた将軍の令嬢リナ。ジョンの強引さに戸惑いながらも、やがてはその魅力にひかれ、ふたりはめでたく結婚する。しかしジョンの不可解な言動に、彼女は財産目的で殺されるのではないかと疑い始める。
≪解説 (※ラストに言及)≫
暗闇の階段、K・グラントが運ぶミルクの白さが印象的。ヒッチはグラスの中に豆電球を入れ、毒入りミルクを強調したのだという。 しかし当時はスター俳優が殺人犯など演じなかった時代、上層部からの横やりで結末があいまいになってしまった。
(なお、ヒッチ当初の構想によると--妻は毒入りミルクを飲む前に、母あての手紙を投函するよう夫に託す。自分は間もなく殺されるだろうという、夫の恐るべき正体を暴いた手紙だ。そして妻は毒入りミルクを飲んで死ぬ。夫はのんきに口笛を吹きながら、破滅への手紙をポストに投函して終幕--、というものだったそうだ。)
≪裏話≫
J・フォンテーンがアカデミー主演女優賞を受賞。
B・デイヴィス、 G・ガースン、 B・スタンウィック・・・、並みいる大女優を制してのオスカーは、前年の 『レベッカ』 と 「合わせて一本」 という、製作者セルズニックの宣伝工作がうまく働いた。
この新進女優の受賞を一番悔しがったのが、同時ノミネートされていた彼女の実姉オリヴィア・デ・ハヴィランド。
『風と共に去りぬ』 や『レベッカ』 でもそれぞれの役を競り合ったふたり。姉オリヴィアが悲願の初オスカー受賞('46『遥かなる我が子』)時に、祝福する妹ジョーンを無視したことで姉妹の不和が表面化、大きく騒がれた。
≪ヒッチはここだ!≫
45分過ぎ、女流作家の車が本屋に止まるシーンで、ポストに投函している。
一部の情報では 「序盤、駅前で馬をひいている男もそう」 とあるが、ヒッチがわざわざ馬丁の衣装をつけてまで出たとは思えないし、髪もクセ毛に見えない。
『SUSPICION』
監督/アルフレッド・ヒッチコック
脚本/サムソン・ラファエルソン
ジョーン・ハリソン、アルマ・レヴィル
原作/フランシス・アイルズ
撮影/ハリー・ストラドリング
音楽/フランツ・ワックスマン
製作/デヴィッド・O・セルズニック (ノンクレジット)
RKO 109分
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