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【ヒッチコック米時代】 2012.01.06 (Fri)

『ダイヤルMを廻せ! (1954米)』

(ヒッチコック全作品) 
39.『ダイヤルMを廻せ!』

 ≪感想≫
 3D撮影やグレース・ケリー初登場などで語られる人気作で、派手なシーンもありますが、ヒッチの演出は意外にもオーソドックス。 そもそも場面がほぼ固定されたセリフ劇で、ヒッチ作品としては地味な設定。それでも緻密に練り上げられた原作の面白さを前面に立てて、自分は基本の映像演出に徹する・・・、セリフや心理の流れに自然に寄り添うその 「基本」 の巧さにうならされるのです。
 前半、夫と同窓生のやり取りなどは作為を感じさせないまま、あれよあれよとその殺害計画に引きずり込まれていきます。「そんなことを言われた相手はどういう顔をするのだろう?」 なんていう観客の興味に忠実に応えるカット割りやカメラワークで、長ゼリフも飽きさせない。
 じつは物語としてはさほど魅かれなかったのですが、文句なしに面白い 『裏窓』 や 『北北西…』 もいいけど、プロの演出の神髄を語るなら本作の方が重要かもしれません。

 それから夫役R・ミランドの名演が光る! その悪だくみの機転にほれぼれ、思わず彼を応援してしまうほど。 ヒッチ作品の特徴である 「知的で紳士的な悪役」 のすばらしい代表例です。
 作家にいみじくも真相を言い当てられた彼はどう切り返すのか。また、陥れられた妻はどうやって冤罪の危機を逃れるのか。それだけに最後、警察の偽装と小細工で一件落着・・・はいまいましく感じました。



 A・ヒッチコック監督39作 『ダイヤルMを廻せ! (1954米)』

 出演/グレース・ケリー (マーゴ・ウェンディス)
     レイ・ミランド (トニー・ウェンディス)
     ロバート・カミングス (作家マーク・ハリデー)
     ジョン・ウィリアムズ (ハバード警部)
     アンソニー・ドーソン (刺客レズケート)

 ≪あらすじ≫
 妻マーゴが推理作家マークと不倫していることを知ったトニーは、彼女を殺して財産を我が物にせんと企む。マーゴは夫が差し向けた刺客に襲われるが、正当防衛で男を殺して危機を逃れる。しかしトニーも後には引けない。暗にマーゴへの容疑をふくらませ、計画的殺人犯に仕立てていく。

 ≪解説≫
 ブロードウェイの大ヒット劇の映画化で、ヒッチはアパートメントの一室内に場面を限定して、舞台劇の雰囲気を再現した。揺れ動く三角関係と二転三転の謎解きは、推理小説を読むような味わい。

 娯楽の王座を脅かすテレビへの対抗策としてハリウッドが打ち出した、立体映像 「3D」 方式を採用。前後に奥行きをもたせた調度品の配置や、ヒロインが手前のハサミに手を伸ばす立体的な動きなどに3D向けの工夫がされている。特殊な撮影法のため、ダイヤルを回す指のカットは巨大なハリボテだとか。
 ・・・ただし業界の3D戦略は軌道に乗らず、ほとんどは通常の方式で劇場公開された。3D版は最新ブルーレイなど一部ソフトで見られる。

 その3Dに合わせて、ヒッチは 『ロープ』 『山羊座のもとに』 以来のカラー撮影 (以後 『間違えられた男』と『サイコ』以外はすべてカラー作品)。 もともとヒッチは3Dに乗り気ではなく、本当は白黒で撮りたかったらしい。3D撮影は色彩・照明などに制約があったそうで、赤みが目立つ色調は野暮ったくてヒッチらしくない。

 ヒッチコック映画最高の「クール・ビューティ」 G・ケリーが初登場!
 はじめヒッチはそこまで彼女に入れ込んでいなかったことと、3D撮影上の制約もあって輪郭が硬く、言うほど美しく撮ってもらってはいない。 それでもいきなりふたりの男との連続キスが、魔性の 「ヒッチコック・ヒロイン」 を体現していてたまらない。 (「不倫」 という不道徳なふたりが最終的に勝利するのも、本作の特徴。)

 ≪ヒッチはここだ!≫
 13分ごろ、同窓会の写真の中にいる。技あり!  映画雑学クイズの定番。



 『DIAL M FOR MURDER』

 製作・監督・脚本/アルフレッド・ヒッチコック
        原作/フレデリック・ノット
        撮影/ロバート・バークス
        音楽/ディミトリ・ティオムキン

        ワーナー 105分
 

【続き・・・】

 

 往年のTV吹き替え版では、鈴木弘子、武藤礼子、二階堂有希子の美女役声優が豪華競演でG・ケリーをアテているらしい。オトナの優雅さ・鈴木さん、明るい艶やかさの武藤さん、(初代峰不二子でも有名な)コケティッシュな小悪魔・二階堂さん・・・。
 ぼくは 『裏窓』 で初めて見た武藤さん派かなあ。全員のバージョンがほしい!

 2時間とない長さなのに途中で 「休憩」 が入るのは、3D映像は観客の目が疲れるからという配慮に加え、ふつう映画館では2台の映写機を交互に回して順にフィルムを入れ替えていたが、3D映画は2台の映写機を同時に回す必要があった。そのため 「休憩」 を置いてフィルム交換の時間を作った、ということだそうだ。



 
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