【クラシック音楽】 2011.12.22 (Thu)
クレンペラーの『荘厳ミサ曲』

ベートーヴェン 『荘厳ミサ曲 (ミサ・ソレムニス)』
オットー・クレンペラー指揮、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団・合唱団
エリザベート・ゼーダーシュトレーム
マルガ・ヘフゲン
ワルデマール・クメント
マルッティ・タルヴェラ
録音1965年/CD発売1996年/EMI
巨星の指揮による歴史的名演だが、オケには特別な厚みを感じないし、ソロ歌手たちは声をこねくり回しすぎ。有名な大曲 『グローリア』 などは他の演奏の方がいい・・・。
・・・でもこの、ハラにどしりとくる振動は何なんだろう!? 無我の境地からズバッと斬り込む剣豪のような、殺気にも似た異様な圧力。緊張感。
録音エンジニアのお手柄なんだろうか。良かったのは1996年発売の2枚組CDで、「アビーロードなんとか技術」でリマスターされたという2002年発売の新盤は、音がシャリシャリと安っぽかった。 あるいは音が良すぎて等身大があらわになったか。
ぼくが最初に買ったバーンスタイン&コンセルトヘボウ版(1978)は、厚み・風格・完成度の高さ・・・どこをとってもどこからも文句が出ないであろう歴史的名演。壮麗な 『グローリア』 を聴くならこっちだ。 ただ完璧・優等生すぎたのかどうか、ぼくはさほど魅かれなかった。
ベートーヴェン晩年の大作 『ミサ・ソレムニス』 は、「交響曲第10番」 とも呼べるような交響楽的な構築力をきかせる一方で、『ファウスト』 第2部のゲーテそっくり!な、自身の内的・外的世界の集大成を複雑緻密に極めすぎていて、今までなかなか取っつきにくいところがあった。
そんなもともと興味のない曲を惹きつけたのは、「もう古いよ」と思っていた老匠の、厳格なカリスマでぐいぐい引っ張る もうひとつの 「歴史的名演」 だった。
合唱団に☆×5。
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