【この本!】 2011.11.13 (Sun)
いとしの新明解国語辞典

(*第6版以降はふつーの辞書に。面白くない。)
読書の秋。
向学のお供に 『新明解国語辞典』 が重宝しています。 第1、4、5版。 同じ本を3冊も揃えたのはわけがあります。
三省堂 『新明解国語辞典』 といえば、独断と偏見に満ちた孤高の語釈が特徴。 いたいけな青少年学習者に、「虚偽と欺瞞とが充満し、毎日が試練の連続と言える」 実社会を生き抜くためのありがたい薫陶を授けてくれる魂の名著なのです。
ぼくが好きなのは・・・
こうぼく 【公僕】
〔権力を行使するのではなく〕 国民に奉仕する者としての公務員の称。 〔ただし実情は、理想とは程遠い〕 (~第5版)
ひとこと多いと言われようとも、書かずにはいられないこの強烈な権力批判精神! しかしこれこそ真の文化人のあるべき姿でした。 編集主幹・山田忠雄先生 (第1~5版) の鋭い眼識が光ります。
ほか、露骨に ”合体したい” と願う 「恋愛」 や、”飼い殺しの施設” と切り捨てる 「動物園」、 そのつくり方を懇切丁寧におしえてくれる 「火炎瓶」 などがネタとして有名。
一方で、かたよった価値観の代表例とされる 「なまじ」 の項目の用例文。 不適当な表現を削除するのではなく、それをひねって自らネタにしてしまうこの図々しさ・・・いや見事な返し技に、事の本質を忘れて感心すらしてしまいました。
くわしくは、新明解ブームに火をつけた両著・・・
赤瀬川原平 『新解さんの謎』
夏石鈴子(鈴木マキコ) 『新解さんの読み方』
・・・そして研究サイト 『新明解国語辞典を読む』 がとても面白いので、ぜひご覧になってください。
笑える項目は山ほどあるのですが、いちいち書き出すのはめんどくさい。(本当は二番煎じになるので。) 手っ取り早くこれら本家本元でぞんぶんにご堪能あれ。
ずぼら -な -に [口頭]
(なすべき仕事を果たさず)生活態度にしまりの無い様子。 「あいつは近ごろ--になってきた」
うるせー。
ぐうたら -な -に [口頭]
なまけて、のらくらしている様子(人)。 「--な夫にあいそを尽かす」
・・・ひ~うそです、すてないで~。
【続き・・・】
『新明解』 そのものもおすすめしたいところですが、編集主幹の山田忠雄さん没後の第6版以降は、毒のないふつうの国語辞典になってしまったのがつくづく残念。 ぜひとも伝説の第1~5版をセットで復刻してほしい。
すべて 【凡て】
「大企業にとっては、消費者は--客のはずです」 「管理者の言うことは-- 〔=批判を抜きにして、とにかく〕 聞け」
いいから聞け、ぜったい売れるから。
すべて 【凡て】
「悲しいことに社会常識の欠けた若造には--吸収できなかった」 「あの人は金カネが--だと思っている」
- 関連記事
-
- はじめてのドストエフスキー
- いとしの新明解国語辞典
- 陶淵明 『酒を止む』
| このページの上へ↑ |