【ヒッチコック米時代】 2011.10.27 (Thu)
『北北西に進路を取れ (1959米)』

≪感想≫
『裏窓('54)』 の次または同等に好きな作品。
空港でのロジャーと教授の会話が印象的。すでに観客が知っている物語の情報は、飛行機の爆音で消して二度手間を省く。そもそも教授やヴァンダムが奪い合うフィルムの中身って何? そういう余計な物語設定(マクガフィン)の説明を排して、主人公の冒険につぐ冒険をたたみかけます。
「観客に何を見せるか。観客は何を面白がるか」 にとことん徹したプロフェッショナルのカガミ。 ヒッチのキャリアにおいても集大成、ベートーヴェンでいう 『第九』 のような記念碑的作品になりました。
K・グラントのひげ剃りシ-ンがかわいい。 オークション会場からの脱出法も、さすが喜劇出身のおかしさ。
相手役のE・M・セイントも、とくべつ美人で売ってた人じゃないんだけど、ヒッチにかかれば 「ヒッチコック・ク-ルビューティー」 を代表するひとりに。謎めいたオトナの女っぷりがいいんだよなぁ。
A・ヒッチコック監督第46作 『北北西に進路を取れ (1959米)』
出演/ケイリー・グラント (ロジャー・ソーンヒル)
エヴァ・マリー・セイント (イヴ・ケンドール)
ジェームズ・メイスン (ヴァンダム)
レオ・G・キャロル (教授)
≪あらすじ≫
キャプランという男に間違えられた会社重役ロジャーは、謎の組織に命を狙われたうえ、殺人犯に仕立てられて警察からも追われる身に。事件のカギを握る本物のキャプランを捜して、アメリカ各地を転々とするロジャー。そこで彼は謎の美女イヴと出会う。果たして彼女は敵か味方か・・・?
≪解説≫
平凡な市民が犯罪者と間違われ、警察に追われながらも真犯人を探して冒険する・・・という、ヒッチ作品の重要なスタイル 「巻き込まれ型」 サスペンスの集大成となった傑作。
従来の密室サスペンスを逆手に取った大平原での襲撃シーンや、名勝ラシュモア山での攻防など数々の名場面を生み、ヒッチが理想とした娯楽冒険サスペンスが見事に実を結ぶ。
またJ・メイスンが演じた 「上品で紳士的な悪役」 もヒッチ作品の特徴のひとつ。正義と悪の対決だけでなく、ひとりの美女をめぐる 「恋の対決」 を並行させるストーリーもまた、ヒッチコック話法の集大成といえるだろう。
アカデミー脚本、カラー美術装置、編集賞ノミネート。(無冠。ちなみに同年はあの『ベン・ハー』イヤーだった。)
≪ヒッチはここだ!≫
冒頭、バスに乗り遅れる。名前つきだからすぐわかるぞ。
『NORTH BY NORTHWEST』
製作・監督/アルフレッド・ヒッチコック
脚本/アーネスト・レーマン
撮影/ロバート・バークス
音楽/バーナード・ハーマン
タイトル・デザイン/ソウル・バス (*オープニング映像のこと)
共同制作/ハーバード・コールマン
MGM 136分
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