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【ヒッチコック米時代】 2011.10.01 (Sat)

『鳥 (1963米)』

(ヒッチコック全作品) 
48.『鳥』

 ≪感想≫
 すべてのヒッチコック・ヒロインの中で、本作のティッピ・ヘドレンは 『裏窓』 グレース・ケリーの次に好き。

 「銀幕の中の美女」の域を出なかったイングリッド・バーグマン、より活発に冒険を楽しみながらも、お決まりの結婚観に縛られていたグレース・ケリー(が演じたヒロイン)。 ・・・男性主人公に華を添える存在でしかなかったヒッチ作品のヒロインが、この 『鳥』 では初めて単独主人公なみの活躍を見せる。(ティッピは新人だったので、クレジットは男優R・テイラーの次だが。)

 本作のヒロイン・メラニーは、狙った男に自分から飛びつく一方で、子供や老母は身を挺して守る「責任」も背負っている。当時の価値観ではアバズレ呼ばわりされてはいるが、恋も危機も自分の判断で行動する、りっぱな自立した女だ。(かたや相手役の男性主人公はあくまでチカラ仕事専門で、キャラクターがそこまで肉付けされているわけではない。)
 本作が 「ヒッチコック・タッチ」 の完成型になったように、ティッピ・ヘドレン演じるメラニーも 「ヒッチコック・ヒロイン」 の完成型ではなかっただろうか。

 ・・・そんなヒロインのT・ヘドレンに負けず劣らず、母親役のJ・タンディが美しい。彼女が悲鳴も出ないほど腰砕けに逃げ出す演技は、リアルで怖ろしかった。



 A・ヒッチコック監督第48作 『鳥 (1963米)』

 出演/ティッピ・ヘドレン (メラニー)
     ロッド・テイラー (ミッチ)
     ジェシカ・タンディ (ミッチの母)
     スザンヌ・プレシェット (アニー)
     ヴェロニカ・カートライト (ミッチの妹キャシー)

 ≪あらすじ≫
 西海岸の小さな港町にやってきたメラニーは、新しい恋人ミッチとの再会もそこそこに、一羽のカモメに襲われる。小さな異変は次第に町中に広がり、無垢な鳥たちは人々を恐怖に陥れていく。

 ≪解説≫
 パニック映画の先駆けとなった傑作。 ストーリーは異色ながら、「最小から最大へ」というサスペンス・スリラーの方程式を完成させた円熟の逸品だ。 有名な“ジャングルジム”の演出は、増幅する恐怖とそのプロセスを見せる名人芸の一例。

 “鳥”というテーマは、“列車”“高所恐怖症”と並ぶヒッチの3大キーワードのひとつ。恐怖や冒険の象徴としてしばしば採り上げられている。 (ちなみに青果商だったヒッチの父は養鶏業にも携わっていた。鳥がシメられる様子を日常的に見ていたせいなのかな。)
 音楽はまったくなく、シンセサイザー技術で作られた鳥の鳴き声だけが“終末論”的な恐怖で静かに迫ってくる。――もちろん本作が「この世の終末」を暗示している訳ではない。劇中そういうおばちゃんがいただけ――
 ――なぜ鳥が人を襲うかを明らかにしないが、そこが説教くさくなくてヒッチらしい。 基本設定(マクガフィン)は極力単純にし、訳知り顔の裏設定や裏読みを排するのがヒッチの娯楽哲学だ。

 脚本のE・ハンターは人気作家エド・マクベインの別名。

 ≪ヒッチ近況≫
 前’62年にパラマウントからユニヴァーサル社へ移籍。

 ≪ヒッチはここだ!≫
 冒頭、ペット・ショップから2匹のテリア犬を連れて出てくる。実際にヒッチ家の愛犬らしい。



 『THE BIRD』
                         
 製作・監督/アルフレッド・ヒッチコック
     脚本/エヴァン・ハンター (エド・マクベインの別名義)
     原作/ダフネ・デュ=モーリア
     撮影/ロバート・バークス
 鳥の電子音/レミ・ガスマン、オスカー・サラ
   音楽監督/バーナード・ハーマン

 ユニヴァーサル 120分
 

【続き・・・】

 

 ≪裏話≫
 ヒッチは愛するティッピをかなりイジメたらしい。来る日も来る日もスタッフから鳥を投げつけられたティッピは、ヒッチを恨みに思ったそうだ。ひと昔前のヒッチ回顧のインタビューを見ると、彼女は複雑な表情をしているのが分かる。
 彼女のように、サディスティックな性格だったヒッチの犠牲になった者は少なくない。特に若きイギリス時代は、撮影とは関係ないところでも相当ひどいイタズラを仕掛けていたという。


 
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