【ヒッチコック米時代】 2011.08.13 (Sat)
『ファミリー・プロット (1976米)』

≪感想≫
'70年代的なキッチュで品のない色彩。イギリス的な暗さ。
説明調の長たらしいセリフ。見栄えのしない地味な俳優の、工夫のないカットバック (切り返し) が延々と続く。この演出の単調さに一番失望した。
後半の暴走車アクションは、ヒッチお得意の 「スクリーン・プロセス (背景合成)」 なばかりにかえって興をそぐ。コメディタッチがなおさらしらける。
・・・いかにも腰の重い年寄りが作った映画。もはやヒッチコックの時代じゃないことがよく伝わった。
'70年代は 『ゾンビ』 『エクソシスト』 『オーメン』 などオカルトものが大流行し、「ヒッチコックの後継者」 を自認するスピルバーグが彗星のごとく現れた時代。 老ヒッチはそれに乗っかった感じ。 若者の流行を上っ面だけ真似しようとする老人のみっともなさが透けて見える。そもそもオカルト、ホラーの先鞭を付けたのが 『サイコ』 (1960) だったというのに。
A・ヒッチコック監督第53作(遺作) 『ファミリー・プロット (1976米)』
出演/バーバラ・ハリス (ブランチ)
ブルース・ダーン (ジョージ)
ウィリアム・ディヴェーン (アダムソン)
カレン・ブラック (アダムソンの情婦フラン)
≪あらすじ≫
インチキ霊媒師のブランチは、富豪レインバード夫人から生き別れになった甥の捜索を依頼される。ほどなく宝石商アダムソンがその人であると突き止めるが、アダムソンの正体は世間を騒がせる連続誘拐犯だった。そんな裏の顔を知らないブランチと恋人ジョージは、自ら死地に飛びこんでいく。
≪解説≫
ヒッチの遺作。
'79年、米映画協会AFIから功労賞。スピーチでは長年支えてくれた 「4人の協力者」・・・編集者、脚本家、一家の母親そして名コックであった妻アルマ・レヴィルに感謝を捧げた。
同年、英エリザベス女王より“ナイト”の称号を賜る。
またこの頃ヒッチを回顧・再評価する映画イベントが各地で催され、軒並み盛況。 ヒッチ本人はもちろん、I・バーグマン、G・ケリー公妃らも駆けつけて華を添える。
一方で最晩年は心身ともに衰弱し、オフィスは名ばかりの開店休業同然という寂しいものだった。 本作の製作にあたっては、往年の冴えと老衰・無気力が交互に現れ、ずいぶんムラがあったという。
1980年4月29日、サー・アルフレッド・ジョセフ・ヒッチコックは、ハリウッドにて80年の生涯を終える。机の上には次作『みじかい夜』の企画書が未完のまま置かれていた。
≪ヒッチはここだ!≫
40分、役所オフィスのすりガラスの向こう、シルエットで。 職員に難クセをつけているよう? 名著 『ヒッチコック・トリュフォー/定本・映画術』 の表紙にもなっている。
『FAMILY PLOT』
製作・監督/アルフレッド・ヒッチコック
脚本/アーネスト・レーマン
原作/ヴィクター・カニング
撮影/レナード・G・サウス
音楽/ジョン・ウィリアムズ
ユニヴァーサル 121分
【続き・・・】
小原乃梨子&山田康雄のTV吹き替え版があるそうだが、せめてそっちで観たかった!
またライザ・ミネリ、イーストウッドかパチーノ、バート・レイノルズ、フェイ・ダナウェイなどが主演4人の候補に挙がったそうだが、誰かひとりでも観たかった! (出演料が高いうえ、言いなりにならないスターの起用をヒッチが拒んだ。女性スターもヒッチのセクハラを嫌って出たがらなかった。)
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