【画像一覧】 2014.10.31 (Fri)
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【全世界音楽】 2014.10.28 (Tue)
「アローン・アゲイン」は「また一人」?

あまりにポピュラーすぎる名曲、ギルバート・オサリバンの 『アローン・アゲイン』。1972年。
♪
朝日を浴びながらモーニング・コーヒーでも・・・みたいな、さわやか界を代表する名曲のイメージですが(じっさい朝のTV番組でかかっていた!)、じつはとことんネガティブで暗~い青春を歌っています。
ごく簡単に訳してみました。
この先イヤな気分が続いていたら、
いっそ高い塔から飛び降りてしまおう。
バラバラになる気持ちをみんなに教えてやるんだ。
彼らは口々に言うだろう。
「なんてひどい」 「女の子にすっぽかされたんだ」
「もうこんな所にいられない」 ってみんな帰っていくだろう。
ぼくも結局帰ったけど。
・・・あぁ、またひとり。やっぱりね。
2番になると 「神様なんているのかよ。いてほしい時に何してくれた?」
3番は両親を失った日のことを振り返る。
・・・揺れ動く思春期の心。それはいつ外れるか分からない、もろく危なかしい支えに引っかけただけの振り子のよう。
日本人で原詞を分かって聴いている人、どのくらいいるでしょうか。
ちなみに本国の英米では、同じオサリバンの代表曲でも、もう少し大人になった 『クレア』 のほうが人気なんだそうです。
ところでもうひとつ、この曲には日本語翻訳版も作られているのをご存知でしょうか?
訳詞・なかにし礼、歌・九重佑三子・・・、歌っていただきましょう、その名も 『また一人』!
迷曲珍曲として、伊集院光さんのラジオ企画から生まれたCD 『おバ歌謡』 に収録されています。
「私としたことが あなたに棄てられて・・・」
原曲のゆがんだ暗さからはなんかズレてる、男に捨てられた女の物語。⇒Google検索
でも 「私としたことが」 ってとこからハートをつかまれた。思わずムムッと身構えた。どんな女なんだ?と想像させるところが、いかにも「なかにし」マジック。
死のうとしたところを止めてくれた男と恋したけれど、つまらなくて私はまた一人・・・
ぼくは好き好き! 名・訳詞!
ああなってこうなって、ああしたらこういうことがあったけど・・・。言葉が止まらないからグイグイ引き込まれていくんです。
しかもさらりと後を引かない。「つまらなくて」 男を取っかえひっかえする女の刹那的な生き様は、ザ・なかにしイズム。
「もとの詞とぜんぜん違う」 と笑うのも楽しいけど、原曲どおりにまとめればエライんじゃないんだ。既成のみじかい曲の中にこれだけの新しいドラマ、あぁ作詞家のプロの仕事とはこういうことかと感嘆しました。
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【アカデミー賞全作品】 2014.10.24 (Fri)
『ベン・ハー (1959米)』

≪感想≫
やはり大戦車レースのシーンに尽きます。このシーンだけを観るだけで、1本分の映画のボリュームに匹敵します。なかなか表に出ないアクション監督ヤキマ・カヌットという存在を知り、その名をしかと心に刻みつけられました。
後半部の「キリストによる救済」をテーマにした物語もけっこう面白い。観なおすたびにこの後半部のほうに興味がシフトしています。主役のヘストンにもっと演技力があればと思いますが、彼ほどヒーローを体現する存在感のある役者は、そうそういません。(ちなみにシュワちゃんが世に出た時、「ヘストン2世」と言われたそうだ。)
オスカー度/★★★★
満足度/★★☆
『ベン・ハー (1959米)』
監督/ウィリアム・ワイラー
主演/チャールトン・ヘストン (ベン・ハー)
スティーヴン・ボイド (メッサーラ)
ジャック・ホーキンス (アリアス)
ハヤ・ハラリート (エスター)
ヒュー・グリフィス (商人イルデリム)
≪あらすじ≫
キリスト生誕を迎えたばかりの古代ローマ時代。エルサレムの富豪家に生まれたベン・ハーは、親友メッサーラの謀略により母と妹を殺され、自身は奴隷の身に転落する。過酷な奴隷船の中で司令官アリアスに認められた彼は、その養子となってローマに帰還。宿敵メッサーラの挑戦を受け、大戦車競走の舞台に立つ。
≪解説≫
進境著しいテレビに対抗すべく、大画面の迫力を前面に押し出した大スペクタクル史劇の金字塔。
何といっても壮絶な大戦車レースのシーンは、映画史の頂点に立つ名アクションのひとつ。別働班がイタリアの映画村“チネチッタ”に巨大セットを組み、約15分のシーンを3ヶ月もかけて作りあげた。息を飲むような場面の連続にもかかわらず、人馬ともに死者重傷者はゼロだったそうだ。
原作は19世紀末アメリカの記録的大ベストセラー小説*で、サイレント期にすでに2度映画化されている。(*『風と共に去りぬ』出版までの大記録だったとか。Wikipedia情報)
≪受賞≫
アカデミー作品、監督、主演男優(C・ヘストン)、助演男優(H・グリフィス)、撮影、音楽、美術、編集、音響、衣装、特殊効果賞の計11部門を受賞。 (候補12部門中)
(他の作品賞候補 『或る殺人』 『アンネの日記』 『年上の女』 『尼僧物語』)
計11部門受賞はアカデミー史上最多。後年 『タイタニック('97)』 『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還('03)』 にタイ記録で並ばれたが、長く不滅の大記録として君臨している。ちなみに候補12部門中、逃したのは脚色賞のみ(受賞は『年上の女』)。
大戦車競走シーンの撮影を指揮したのは、ヤキマ・カヌートというスタントの神様。名作西部劇『駅馬車('39)』で、馬から馬に飛びうつるスタントマンといえばご記憶の方も多いだろう。'66年アカデミー名誉賞。
この競走シーンばかり注目されるのは、公開当時から同じ。「それ以外」のドラマ部分を監督して3度目のオスカー(『ミニヴァー夫人』『我等の生涯の最良の年』…)に輝いたワイラー監督は、なんとも複雑な心境だったという。
『BEN HUR』
製作/サム・ジンバリスト
監督/ウィリアム・ワイラー
脚本/カール・タンバーグ
原作/ルー・ウォーレス
撮影/ロバート・L・サーティーズ
音楽/ミクロス・ローザ
美術/ウィリアム・L・ホーニング
編集/ラルフ・E・ウィンターズ、ジョン・D・ダニング
音響/MGM社サウンド部
衣装/エリザベス・ハッフェンデン
特殊効果/A・アーノルド・ギレスピー、ロバート・マクドナルド(視覚)
マイク・ローリー(聴覚)
第2班監督/アンドリュー・マートン(監督)、ヤキマ・カヌート(スタント)
MGM/222分
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【 禁煙物語】 2014.10.19 (Sun)
禁煙物語・特別編 『北の国から』

禁煙21日目 (※2005年3月21日)
3週間経過。すっかりタバコのない生活が普通に。
ただ、「タバコはまずい」 「絶対吸わない」 という否定イメージも薄れてくるので、ごくたまに吸いたくなるといえば、なる。もちろん実行するつもりはない。
日常の誘惑はまず拒絶できるが、「1本くらいなら」・・・いわゆる“1本おばけ”症候群が始まる油断大敵期。
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【アカデミー賞全作品】 2014.10.14 (Tue)
『恋の手ほどき(1958米)』

≪感想≫
旧時代のシンデレラ・ストーリーを面白半分で懐かしむには、罪はないでしょう。男の子が単純な戦闘ヒーローを好むようなものです。しかしぼくは今日的な目線でしか見られないので、自我がなく終始受け身のヒロインなどまるっきり・・・でした。恋に気付いて恋を歌うのは相手役の青年。ヒロインは開始20分までアップにすら映されません。
いわば「おじいちゃんが幼い孫娘のために作ったお姫さま映画」。中間の年齢層の感覚がバッサリ抜けています。
オスカー度/★☆☆ (あきらかに巨星A・フリードへの「退職金」賞)
満足度/★☆☆
『恋の手ほどき(1958米)』
監督/ヴィンセント・ミネリ
主演/レスリー・キャロン (ジジ)
ルイ・ジュールダン (ガストン・ラシュイユ)
モーリス・シュヴァリエ (ガストンの叔父オノレイ)
ハーミオン・ジンゴールド (ジジの祖母アルヴァレ夫人)
イザベル・ジーンズ (その妹、ジジの大叔母アリシア)
≪あらすじ≫
19世紀末の花の都パリ。大叔母のもとで花嫁修業をしている少女ジジは、恋など無縁のおてんば娘。パリきってのプレイボーイとして鳴らす名士ガストンも、彼女にとっては気兼ねのない友人のひとりに過ぎなかった。しかしそんなふたりも、恋に気付く瞬間が訪れる。
≪解説≫
『巴里のアメリカ人』 『雨に唄えば』 『イースター・パレード』 など、MGMミュージカルの黄金時代を築き上げた大プロデューサー、アーサー・フリードの引退記念作。同時にその古き良き黄金時代の終焉でもあった。
原作のブロードウェイ劇は、女優オードリー・ヘップバーンの出世作として有名。
≪受賞≫
アカデミー作品、監督、脚色、撮影、ミュージカル音楽、主題歌、美術、編集、衣装賞の計9部門を受賞。(候補9部門中) M・シュヴァリエに助演賞がわりの特別賞。
(他の作品賞候補 『手錠のまゝの脱獄』 『旅路』 『熱いトタン屋根の猫』 『メイム叔母さん』)
ノミネート9部門全受賞というのは初めての快挙 (のちに 『ラスト・エンペラー('87)』 も全9部門で、『ロード・オブ・ザ・リング('04)』 は全11部門で達成)。「9勝」も 『風と共に去りぬ』 ほかの8勝を抜く新記録 (翌年 『ベン・ハー』 が11勝で更新)。
強力なライバルがいなかった幸運もあるが、事前に 「MGMの巨星A・フリードの引退作」 と銘打っただけあって、明らかに慰労の意味がこめられた大勝利であった。
演技4部門に誰ひとりノミネートすらされていないのも極めて異例。フランスの御大シュバリエへの特別賞はその穴埋めと言われている。
『GIGI』
製作/アーサー・フリード
監督/ヴィンセント・ミネリ
脚本/アラン・J・ラーナー
原作/ガブリエル・コレット
撮影/ジョセフ・ルッテンバーグ
音楽/アンドレ・プレヴィン(音楽監督)
主題歌/フレドリック・ロウ(作曲)、アラン・J・ラーナー(作詞)
美術/ウィリアム・A・ホーニング、プレストン・エイムズ
ヘンリー・グレイス、キーオ・グリーソン
編集/アドリアンヌ・ファザン
衣装/セシル・ビートン
フリード=MGM/116分
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【この本!】 2014.10.10 (Fri)
秋の漢詩をどうぞ

白居易 『新秋』
西風飄一葉 西風がひとひらの葉をひるがえし
庭前颯已涼 庭先をさっと涼しく吹き抜ける
風池明月水 風の池には月明かりの水面
衰蓮白露房 枯れゆく蓮には白露をつけた房が
其奈江南夜 あぁ、江南の夜をどうしたものか
綿綿自此長 ただ綿々と夜が長くなっていくだけだ
・・・秋、日に日に早まっていく夕暮れ。
気が付くといつも空は暗く、夏好きなぼくにはこの上なくさびしい時間帯です。 涼しくていいかな、くらいに思っていた秋が、いつからか恨めしく思うようになりました。
ここぞとばかり主役を気取る、月の澄んだ明かりもなぐさめにはなりません。
同じ白居易の 『暮立』 より、最後の一節・・・
大抵四時心総苦 たいていは四季それぞれに物悲しさを感じるものだが、
就中腸断是秋天 中でも断腸の思いにさせられるのはまさに秋だ。
冬至を過ぎればこっちのもの。それまではいっそ、夜なら夜で沈んでほしい秋の夕暮れです。
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【 禁煙物語】 2014.10.06 (Mon)
禁煙物語・総集編

禁煙はじめの1ヶ月(※2005年3月)の様子を簡単にまとめたものです。
これはぼくの場合であって、すべての方に当てはまるわけではありません。
簡易テストによると、ぼくのニコチン依存は軽度。肉体的より精神的な依存のほうが高かったようです。
1~3日目/「吸わない」という習慣の急変に戸惑う。何かにつけ、ついタバコを手探ってしまう。
肉体的にはつらいが、禁煙の志のほうが勝る。
4日目/猛烈な禁断症状。肉体的なニコチン欲より、「もう吸えない」という精神的な強迫感!
5~6日目/ピークを乗り越え、どんより倦怠期。
7~8日目/一週間がたち、禁煙に慣れてくる一方で、初期の志が薄れる要注意期。
2週目/タバコを忘れる時間が増えるが、初期の志が薄れているだけに、まだまだ一日の節目
(食後、仕事後)の誘惑。
3週目/すっかりタバコのない生活が普通に。たまに思い出しても平気。
ただ、何らかの強いきっかけ次第で手を出すかも、と思う油断大敵期。
1ヶ月/禁煙に最終日はない。肝に銘じよ。
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【アカデミー賞全作品】 2014.10.02 (Thu)
『戦場にかける橋 (1957英米)』

≪感想≫
捕虜収容所が舞台とあって、敵味方が言葉を交わし、思いをぶつけ合う。これを描くにはそれぞれの人間性を掘り下げなければなりません。本作から伝わる「戦争のむなしさ」は、そんな人間が人間たるゆえの結果です。
(2014年追記・・・)英米日、三者三様のキャラクターはシンプルで分かりやすかった。飽きることなくしっかり引きつけられた良い映画だったが、何度観てもとくべつ面白い話だとは思わない。
自分たちの誇りを保つためとはいえ、敵国の橋をまじめに造ろうという英軍将校の考えが理解できない。(劇中でも指摘されているとおり) わざと手抜きして損害を与える「後方かく乱」のほうが捕虜にとって立派な任務だ。実際の捕虜虐待や地獄のジャングル生活を思うと・・・まったくのおとぎ話に映った。
オスカー度/★★★
満足度/★★☆
『戦場にかける橋 (1957英米)』
監督/デヴィッド・リーン
主演/アレック・ギネス (ニコルソン英軍大佐)
早川雪洲 (斉藤大佐)
ウィリアム・ホールデン (シアーズ米軍中佐)
ジャック・ホーキンス (ウォーデン英軍少佐)
ジェームズ・ドナルド (軍医クリプトン少佐)
≪あらすじ≫
第二次大戦下、タイとビルマを結ぶ“泰緬鉄道”の建設を急ぐ日本軍の斉藤大佐は、連合軍捕虜たちにクワイ河にかける橋の建設を命じる。しかし英軍のニコルソン大佐は、将校の強制労働はジュネーブ協定に反するとしてこれを拒否。
独房での過酷な罰に耐えるニコルソン。ついに根負けした斉藤はあらためて協力を請い、英軍主導のもと橋の建設が着手される。しかし連合軍本部では、ひそかに脱走した米兵シアーズの手引きで、完成した橋の爆破計画が進められていた。
≪解説≫
声高な反戦思想より、戦争のむなしさを訴える戦争映画の名作。火花を散らす騎士道と武士道、その精神論争を冷ややかに見つめる米軍将校・・・3者3様の軍人気質が興味深い。
大戦終結から10余年、東西冷戦、朝鮮戦争、奇跡の復興・・・。アメリカの日本観も変わり、両国の関係強化が重要視されたこの時代、ただ「敵国日本は悪かった」ではすまされない描き方が求められたのだろう。(同年 『サヨナラ』 で助演女優賞の日本人ミヨシ梅木も、まったくの「日米友好賞」。)
・・・ただし実体験をもとに原作を著したP・ブールは、生ぬるい収容所の描写に怒り心頭だったとか。もうひとつの代表作 『猿の惑星』のサルは日本人がモデルと言われている。
テーマ曲 『クワイ河マーチ』 の爽快な口笛があまりにも有名。正題は英国のマーチ王アルフォードが1911年に作曲した 『ボギー大佐』 という曲。
≪受賞≫
アカデミー作品、監督、主演男優(A・ギネス)、脚色、撮影、音楽、編集賞の計7部門を受賞。(候補8部門中)
(他の作品賞候補 『十二人の怒れる男』 『サヨナラ』 『情婦』 『青春物語』)
同じく日本を舞台にした 『サヨナラ』 (4/10勝)とオスカーを争った。
イギリスの巨匠D・リーン監督がアメリカ人以外で初の監督賞。
実際の脚本家C・フォアマンとM・ウィルソンが 「赤狩り」 で名前を外されたため、原作だけのP・ブールがクレジットされてそのまま受賞した。 正脚本家ふたりの死後、あらためて賞が贈られた。
『THE BRIDGE ON THE RIVER KWAI』
製作/サム・スピーゲル
監督/デヴィッド・リーン
脚本/ピエール・ブール (実際の執筆カール・フォアマン、マイケル・ウィルソン)
原作/ピエール・ブール
撮影/ジャック・ヒルデヤード
音楽/マルコム・アーノルド (『クワイ河マーチ』原曲はケネス・アルフォード作 『ボギー大佐』)
編集/ピーター・テイラー
ホライズン=コロンビア/155分
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