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【ヒッチコック全作品】 2012.08.13 (Mon)

『第3逃亡者 (1937英)』

(ヒッチコック全作品) 
21.第三逃亡者

 ≪感想≫
 「巻き込まれ型」の冒険劇はヒッチコック的なテーマの典型なのだが、主演の男女が文字通り「ヤング・アンド・イノセント」すぎて、とても話が軽く感じた (3年前の『暗殺者の家』では娘役だったピルビームはこの時18歳)。 スリルの中の軽妙なやり取りは、ケーリー・グラントくらいのオトナじゃないと似合わない。
 それでも冒頭、死体が発見された瞬間、カモメの映像をはさむセンスがかっこいい。踏切や炭鉱でのカー・スタントも「おっ」と思わせた。最後のクレーン撮影もしかり。 全体的に見せ場には欠くけれど、テンポはいいので退屈せず観ることができた。



 A・ヒッチコック監督第21作 『第3逃亡者 (1937英)』

 出演/デリック・デマーニー (ロバート)
     ノヴァ・ピルビーム (エリカ)
     パーシー・マーモント (エリカの父バーゴイン大佐)
     エドワード・リグビー (ウィルじいさん)
     ジョージ・カーズン (被害者の夫ガイ)

 ≪あらすじ≫
 偶然にも愛人の水死体を発見したため、殺人犯として逮捕されたロバート。しかし裁判所の混乱に乗じて逃亡、そこで警察署長の娘エリカと出会う。若く無邪気な彼女はロバートの無実を信じ、ともに真犯人を探して奔走する。

 ≪解説≫
 無実の罪で追われる主人公が真犯人を探して冒険する、ヒッチ初期の“巻き込まれ型”サスペンス。 若い男女に個性的な悪役・・・、渡米後に似た構成で練り直されたのが 『逃走迷路('42)』
 クライマックスのクレーン撮影がお見事。カメラが探索者の目となってさまよいながら、ググッと物語の核心にクローズアップするという映像表現は、このとき発明されたのだとか。

 ・・・ところで、邦題の意味は何だ? 『第三の男 ('49英-'52日)』 か? それともナチスの 「第三帝国」 に乗ったのか?(前'36年ベルリン五輪、同'37年日独伊防共協定。 日本劇場初公開は1977年。)

 ≪裏話≫
 この撮影時、ヒッチが契約していたゴーモン・ブリティッシュ社は、経営不振により製作部門を廃して配給事業のみに。ヒッチ育ての親マイケル・バルコンは社を去り、売れっ子のヒッチも身の割り振りを迫られる。
 撮影後の同'37年8月、ヒッチ一家は初めてアメリカを旅行。そこでハリウッド各社からオファーを受け、翌年、若き辣腕プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニック (『キングコング』 『風と共に去りぬ』 そして 『レベッカ』) と契約を交わす。

 ≪ヒッチはここだ!≫
 15分、裁判所の入り口で、小さなカメラをかまえてオロオロしている記者。



 『YOUNG AND INNOCENT』

 監督/アルフレッド・ヒッチコック
 脚本/チャールズ・ベネット
      エドウィン・グリーンウッド、アンソニー・アームストロング
 原作/ジョセフィン・テイ
 撮影/バーナード・ノゥルズ
 音楽/ルイ・レヴィ
 製作/エドワード・ブラック

 ゲインズボロー製作、ゴーモン・ブリティッシュ配給 84分
 
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