【京都・奈良&和ふう】 2011.02.25 (Fri)

花散里のかおり


 


よく行くお香の店からサンプルが届きました。

さっそく寝室で焚いてみました。


どこか懐かしい、やさしいサクラの香りがベース。

もうもうと焚きつけるより、煙の糸をサッと引かせた程度がいいかな。

ほのかに尾を引く、残り香のおもしろさ。


かの 『源氏物語』 にも、ちょうど今の季節を舞台に 「香合わせ」 の場面がありました。

  花の香は散りにし枝にとまらねどうつらん袖に浅くしまめや
  (花は散って香りは枝に残っていないけれど、香を焚きつけた袖には深く移っていますよ)

第1部の最後半、『梅枝』 の一節です。


・・・ふわりと広がる慎ましい余韻は、さしずめ 「花散里」 のかおり。

おかげさまでわが家の枕元には、ひと足早く春が来ました。

 
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【日本映画】 2011.02.18 (Fri)

伊丹十三の大傑作 『タンポポ』

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 また伊丹十三監督の大傑作映画 『タンポポ』 を見ました。1985年東宝。
 ずっと前にテレビ放送を録画したビデオ。フジテレビの映画劇場でもよくやっていたので、もう何度目でしょうか。
 流れ者の男が、ホレた女のためにラーメン屋を建て直して去っていく、人呼んで 「ラーメン・ウェスタン」。 その合間に散りばめられた 「食」 にまつわるオムニバス・エピソードも楽しい、極上の 「五目うま煮映画」 です。(予)

 全シーンを語ろうとしたら収拾がつかなくなったので、好きな小エピソードを選んでみました。それでも長くなりました。でもでも発表します。 (でれれれ・・・)


 ≪第1位! 専務とヒラの高級フレンチ・レストラン≫
 高級フレンチ・レストランにやってきた、あるサラリーマンご一行。 ふんぞり返ったお偉方はフレンチなんてチンプンカンプンな中、見るからにダメなヒラ社員 (加藤賢崇) が、「どういうわけか、朝からコルトン・シャルルマーニュが飲みたくて・・・」。
 日本の古い組織人たちの 「舌ビラメ」「ぼくも同じもの」「私も」 はいかにもありそう。 空気を読まない若造を笑うか、空気を読みすぎる年寄りを笑うか、その人の性格が出そうです。
 ウェイター役・橋爪功さんの、ツンとすました表情もおかしい (「さようでございマス」)。 何度見ても吹き出してしまう、一番好きなシーンです。


 ≪第2位! ホームレス風、トロトロ玉子のオムライス≫
 『タンポポ』 の名シーンと言えばこれ。
 グルメなホームレスの集団、そのひとり(ノッポさんこと高見映) が作るトロトロ玉子のオムライスは、当時列島に衝撃(?)が走りました。 半熟オムレツをライスに乗せて、真ん中から開くアイディアはまさに開眼モノ。 映画史上でも1、2をあらそう 「名ごちそう」 です。
 このあと自分でも作っていますが、玉子3つ4つ使わないとうまくいかない。考えたら1個たった10円20円ぽっちなのに、なんてぜいたく~。
 手元のアップ、実際に作っているのは伊丹監督なんだそうです。ずっとプロだと思ってた。


 ≪第3位! 白服の男とその情婦≫
 でも影の第1位は、白服の男 (役所広司) とその情婦 (黒田福美) の、食材を使ったエロいシーンです。 ぜったい 『ナインハーフ』 より 『エマニエル』 よりエロい。 名曲 『マーラーの第5番アダージェット』 がこれまたエロい。
 これら、全編に通底するエロのセンスが絶妙。 大人の諧謔です。


 その他のオムニバス・エピソード

 ≪ラーメン歴40年の先生≫
 冒頭のラーメン講釈。老先生 (大友柳太朗) のもったいつけたお作法が楽しい。演じる大友さんはこの直後・・・。

 ≪スパゲッティのマナー教室≫
 外国のマナーに敏感すぎる日本人を皮肉る。
 講師役の岡田茉莉子さん、お若いころはあだっぽくて小悪魔的で本当に素敵でした。 小津や成瀬作品にみずみずしい生気を与えていた。 伊丹映画の常連としては一転、『マルサの女』 がエグかった。 これぞ女優魂。

 ≪カキを採る海女≫
 海女役の洞口依子さんは当時20歳でしたか。もっと若い、中学生くらいだと思っていた。鮮烈すぎるデビューにドキッとしました。

 ≪歯が痛い男 (藤田敏八)≫
 熟女な歯科医助手がたまらない。
 ソフトクリームを一心不乱になめる男の子は、どこかしらひもじそうで可愛いらしくも哀れ。胸からぶら下げた注意書きの札は、伊丹監督が実際に息子さんにやっていた 「教育法」 だとか。タンポポの息子ター坊が、その実子・池内万平さんです。

 ≪カマンベールの老婆≫
 店に並ぶモモやらパンやらチーズやら、指でグニグニ押してまわる老婆 (原泉) と、その店主 (津川雅彦) の攻防。 セリフなしの追いかけっこがバカバカしくておかしい。

 ≪サギ師と老教授≫
 サギ師にカモられる 「教授」 役の中村伸郎さんは、黒澤映画の名作 『生きる』 のイヤミな上司が印象的な、インテリ&ブルジョワ系の名脇役でした。 ハマリ役を逆手にとっていて、クラシック映画ファンはさらにニヤリ。

 ≪母ちゃんが作った最後のごはん≫
 いまわの際の妻 (三田和代) が夫 (井川比佐志) に励まされ、最後の気力を振り絞ってごはんを作る。
 「母ちゃん、寝るな! めしを作れ!」
 母として妻として最期のつとめ。 家族が食べるのを見届け、静かに事切れる母ちゃん・・・。 ひっきりなしに鳴り響く電車と踏切の騒音が残酷。できればビデオを早送りしたい、観るのがとてもつらいシーンです。

 ≪おっぱいを飲む赤ちゃん≫
 大団円のエンディング。 食の原点ですね。かわいい赤ちゃん。



 本当に何度見てもおもしろい! 「伊丹十三」 という人の真の教養深さと真のIQの高さというものを感じさせてくれる、優れたユーモアとセンスに脱帽することしきりです。


 
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【アメリカ映画】 2011.02.08 (Tue)

ジョン・バリーの 『007』

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(手持ちの007主題歌集CD。TOCP-7439)


数々の名作映画を支えた作曲家のジョン・バリーさんが亡くなられた。


ジョン・バリーといえば、ふたつのアカデミー賞作品 『愛と哀しみの果て.』 や

『ダンス・ウィズ・ウルブス.』 など、どこまでも甘美で雄大なオーケストラ曲が有名。

彼が紡ぎ出す大自然の美しさにあらがえる人はまずいないだろう。 万人に愛される至高の調べ。



それからジョン・バリーというなら、何といっても 『007』 シリーズの主題歌!

(有名なテーマの作曲はモンティ・ノーマン)

『ゴールドフィンガー』 (歌シャーリー・バッシー) や 『黄金銃を持つ男』 (歌ルル) のような、

ゴリゴリでギトギトなムード・ソウルも、ジョン・バリーもうひとつの顔。


「ざ・まーん・うぃず・ざ・ごーるでん、がぁハァ~~・・・んナ!」 !!


ぼくは 「大自然派」 のジョン・バリーから入ったので、これが同じジョン・バリーか、

同姓同名の別人じゃないかと、最初は本気で目と耳を疑ったものだ。

でも聴けば聴くほどクセになってしまう脂身の魔力。

モーリス・ビンダーのタイトルデザイン(op映像)と併せて、映画史に輝く最高!のオープニング群だ。



その一方で、第13作 『オクトパシー』 の主題歌 『オール・タイム・ハイ』 (歌リタ・クーリッジ) は、

シリーズでも特にお気に入りのバラード。

(『私を愛したスパイ』 作曲の都会派M・ハムリッシュと比べて) メロディはいたって素朴だが、伴奏ストリングスの美しさ、

地平線の彼方まで視界が開けるようなイマジネーションは、これぞジョン・バリーの真骨頂。


「We're an all time high (私たち、いつだって 「ハイ」 な気分だわ)」


愛の未来を歌っているのに、どこか昔語りのような切ない旋律。

だけど果てしなく優しいジョン・バリーの名品を、今はレクイエム代わりに聴いています。


1月30日、享年77歳。 どうぞ安らかに・・・。

 
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【このアート!】 2011.02.01 (Tue)

琳派ビッグ・スリー

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東京丸の内・出光美術館の 『琳派芸術』 展に行ってきた。

本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳の 「琳派ビッグ3」 の競演に大興奮。


まずは、洗練を極めた光悦の書と、泰然とした宗達の墨絵のコラボ。

今回は両巨星の真髄・・・というほどではなかったが、食前酒と呼ぶには何たるフルボディ。


そしていよいよ 「琳派」 の大成者・光琳の登場。


目玉のひとつ 『紅白梅図屏風』 は有名な国宝指定のほうではなく、「伝・光琳作」 の品だが、 

その躍動する造形・筆づかいは遠くにいてもハッと目を引くほど、名品の中でも群を抜く存在感。

圧縮した霊感が一気に放電するような、若々しい才気のほとばしりを感じた。(ポスター上部の梅)



もうすぐ展示替えがあり、ビッグ3の継承者・酒井抱一が本格参戦だそうだ。

宗達の大作 『風神雷神図屏風』 を模写したものもお目見えだとか。


「琳派」 の体系がよく伝わってとても勉強になった。

 
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