【クラシック音楽】 2009.04.29 (Wed)
イ・ムジチの 『四季』 50周年聴きくらべ

『四季』 といえば 「定番中の定番」 の中の定番、≪イ・ムジチ合奏団≫の演奏。ヴァイオリン・ソロはもちろん、初代コンサート・マスターのフェリックス・アーヨ! 世界中でバロック音楽ブームを巻き起こした、永遠の 「クラシック入門編」です。
収録日を見たら 「1959年4月29日」・・・ちょうど今年で50周年だ (・・・おっと、先立つ'55年にモノラルでの録音があったらしい。ソロは同じくアーヨ)。
「イ・ムジチの四季」 の録音は、そのアーヨの旧盤を含めて計6作あるそうです。そこでこの機会に、(アーヨ旧盤を除く) 5つの演奏を聴き比べてみました。
♯♯ フェリックス・アーヨ版 (1959) ♯♯
どこまでも甘く豊潤で、気品ただよう優雅な響き。アーヨ以下、≪イ・ムジチ≫創設のメンバーが当時20歳そこそこというのが信じられない。
古楽器ブーム以前の演奏なので、音色が古めかしいきらいもあるが、それもまた時代の味。ハリウッド往年のテクニカラー映画のような、濃厚な 「うま味」 にあふれている。
そして驚くべきは録音クオリティの高さ。決して 「過去の遺産」 などではなく、現代生活の普段聴きとしてふつうに通用してしまう、当時のフィリップス社の技術力も脱帽ものだ。まったく文字通りの 「不朽の名盤」。
♯♯ ロベルト・ミケルッチ版 (1969) ♯♯
第2代コン・マス。
アーヨ版を塗り替える決定盤として、第2次 「イ・ムジチの四季」 ブームを巻き起こしたもうひとつの歴史的名演。
なるほどアーヨ版とは正反対の、端正で理知的、すらりと骨格が整った完成度の高い演奏。『四季』 の模範的演奏には違いないだろう。・・・が、その後のスマートな古楽器演奏を当たり前に育った現代のぼくには、特にありがたみや引っかかりを感じなかった。
ただアーヨの古さや甘さが好みじゃない、または思い入れがない現代人にはこちらを勧めます。
♯♯ ピーナ・カルミレッリ版 (1982) ♯♯
世代交代後の第4代コン・マス。
音が硬い。みな 「我も我も」 と個を主張しすぎてうるさい。現代的ととらえる向きもあるが、熱心なイ・ムジチ通や一見の客はともかく、その中間の層としては≪イ・ムジチ≫にこんな音を求めていない。
♯♯ フェデリコ・アゴスティーニ版 (1988) ♯♯
第5代コン・マス。
カルミレッリ版ほどではないが音が硬く、どこか自信なさげで神経質。≪イ・ムジチ≫でなくともほかで聴ける音だ。パイプオルガンを加えたところが独自色か。
♯♯ マリアーナ・シルブ版 (1997) ♯♯
第6代コン・マス。
おぉ、室内楽のような繊細さと軽快さ。スマート&コンパクトを求めた古楽器ブーム以後の、時代の嗜好に対するひとつの答えか。第一世代の面影はほとんどないが、粋で親しみやすいのは学者肌の古楽器楽団とは違う≪イ・ムジチ≫ならではの魅力。
全体のパワー不足をメリハリの効いた技術と絶妙なセンスで補っており、『夏』のような激しい曲でもまったく遜色ない。
超有名な 『春』 は、日本の料亭のような無駄のない所作と行きとどいた心配り。宮殿の広間で聴きたいのがアーヨ版なら、このシルブ版は瀟洒な南仏の別荘で独り占めしたいところ。 アーヨ版のような格調高い 「大スタンダード」 にはなれなくとも、そのじつアーヨ版と同じくらい好きになった。
最新版なので、街の小さなCD店でも比較的見つけやすいだろう。
・・・ちなみにぼくが持っているもう1枚のCDは、第3代のコン・マスだった名手サルバトーレ・アッカルドが、特別編成の楽団と演奏したもの (CDの表記が紛らわしく、イ・ムジチと間違えて買ってしまった)。 映画 『クレイマー・クレイマー』 のテーマ曲になったヴィヴァルディ 『マンドリン協奏曲ハ長調 RV.425』 が併録されていて喜んだが、音色が硬くてがっかり。
やっぱり 『四季』 は、楽しく優雅に聴いたほうがいいなあ。カルミレッリ、アゴスティーニ版ファンの方はいかがでしょうか?
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【きょうのごあいさつ】 2009.04.25 (Sat)
にらみあい (副題「その時キャパの手は震えていた」)

「寄らば斬る!」
ルンルンと自転車に乗っていたら、チェーンが派手に外れてしまいました。
近くの路地裏に止めてしゃがみ込み、ガチャガチャいじくっていたら、
隣りにいたネコちゃんと目が合いました。
・・・
「肉食系」どうし、低い姿勢でしばしのにらみ合い。
ギラギラ。
写真はそんな瞬間の一枚です。 あとで見たら思いっきりブレまくっていました。
勝負あり。 ぼくの完敗です。
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【 このスポーツ!】 2009.04.17 (Fri)
イチローとジャッキー・ロビンソン
アメリカ時間4月15日、メジャー・リーグのイチロー選手が、張本勲の持つ日本の最多安打記録3085本に並んだのだとか。でもイチローのことだから、それも通過点に過ぎないだろう。あっぱれ。
それより、彼の背番号 「42」 にキョトンとなった。
名選手ケン・グリフィー Jr. が古巣に復帰したそうだから、本来の 「51」 番を譲ったのか? (いやいや、マリナーズの元 「51」 はランディ・ジョンソンだった。)
よくよく見れば、あっちもこっちも敵も味方も 「42」…あっ、そうか! ジャッキー・ロビンソンだ!
第二次大戦直後、「黒人初のメジャーリーガー」 として偉大な足跡を残したジャッキー・ロビンソン。ドジャーズの背番号 「42」 は、今では全メジャー・チーム共通の永久欠番に。
「4月15日」 は、その華やかで過酷な一歩となるメジャー・デビューの記念日だったのだ。
当時白人至上のメジャーと分離されていた 「黒人リーグ」 の中で、単に野球の実力だけなら、伝説的大投手サチェル・ペイジらに次ぐ3番手クラスのものだったらしい (それでも第一級には違いないが。) それよりむしろ、予想される黒人差別にも耐えうる、「右の頬を打たれたら、左の頬を出せ」 という聖書の教えを身をもって実践できる人格と精神力の持ち主だった。
しかし 「禁断」 のメジャーでただひとり、心ない差別の罵声・反感に対して沈黙を貫くのは、不本意でつらいものだったろう。それでも彼は耐え続け、ついに素晴らしい成績と不動の尊敬を獲得した。
そしてその結果として、有色人種にもメジャーへの道が開けたのだから、現代の日本人メジャー・リーガーとも決して無縁ではない。ジャッキー・ロビンソンとはそういう選手だ。
(イチローがそうだとは言わないが、) メジャーで食ってる日本人選手は、もっとロビンソンの功績と積極的に向き合って、広く強く発信したほうがいい。
無知なのか?なんておとなしいんだろう。見る者に夢を与える彼らの仕事は、ただ投げて打つだけではないはずだ。日本にだって、張本勲のような被差別の歴史もあったというのに。
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【 ベランダでメダカ】 2009.04.16 (Thu)
赤ちゃんメダカ、冬越え

昨年の晩秋に生まれたヒメダカです。
体長7mmほど。 稚魚のまま冬を越しました。
まだ 「緋メダカ」 の 「緋色」 は出ていません。
これから急成長して、1歳を迎えるころには親と同じくらい (約3cm) になるでしょう。
今はまだ稚魚用の水槽ですが、体長1cmを超えたら親たちと同居させます。

そばのプランターでは、アホでも育つパンジーやビオラが花盛り。
「ゴーヤの水耕栽培」 プロジェクトもまもなく始動・・・。
今年のベランダ再開発計画は着々と進行中です。
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【なつやすみにっき】 2009.04.13 (Mon)
はるやすみにっき ③
4がつ13にち (げつようび) はれ
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【エンタメ&テレビ】 2009.04.12 (Sun)
『鉄腕DASH!』今度は海岸!
きょうの日テレ 『ザ!鉄腕!DASH !!』 のスペシャルで、東京湾の汚れた浜辺を再生する
≪DASH海岸≫ という新企画がはじまりました。
横浜の、船着きドックの跡地のような小さな一角。
TOKIOの面々が、ゴミとヘドロとフジツボだらけの浅瀬に砂を入れ、
環境を整え、生態系を甦らせるのだそうです。
わくわく。
同じ日曜夜の 『素敵な宇宙船地球号 (テレ朝)』 でも、ベトナムのドブ川を浄化する新企画が
スタートしたばかり。 こういう 「再生」 ものはわくわくします。
ぼくの座右の書 ゲーテの 『ファウスト』 で、この世のあらゆる知的欲求を満たした主人公ファウストが
人生の最後に取り組んだのも、小さな土地を得ての 「究極の理想郷づくり」 でした。
これって古今東西・万国共通、「男のロマン」 なのか??
先輩企画の ≪DASH村≫ だって、10年ほど前に始まった時はこんなにハマるとは思わなかった。
ぼくは2年目のコメ作りからぜんぶ録画保存していますが、その間世間では 「農業ブーム」 が起こり、
ジャニーズのTOKIOは (幸か不幸か) おっさん層にとってもアイドルになったんだそうです。
…放送は不定期ですか。せめて 「村、海、村…」 と隔週ローテーションにしてほしい!
あと、「村」 より都心に近くなったので、リーダーと山口くん以外のメンバーも、たまには顔を出してください。
あとあと、これからの時期、河口部からの鉄砲水には気を付けてね。
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【JAZZ】 2009.04.10 (Fri)
ジャズの風雲児、逝く。
故フレディ・ハバードと盟友ハービー・ハンコック
去る2008年12月29日、ジャズ・トランペッターのフレディ・ハバードが亡くなった。享年70。
ハバードといえば何といっても1970年代、ハービー・ハンコックらと組んだ ≪VSOPクインテット≫ での熱演が白眉。 『ライヴ・イン・USA 』 ('77) や豪雨の来日公演 『アンダー・ザ・スカイ伝説』 ('79)は、ジャズ史上でも重要な名演中の名演だ。
そして、VSOP結成のきっかけとなったライブ盤 『ニューポートの追想』 ('76)。ハービーが大きく振りかぶったジャケット写真は、小さいころ父のレコードで見たぼくの 「ジャズ原体験」 なので、特別な印象が残っている (写真右)。
ハービー・ハンコック (ピアノ)
ウィエン・ショーター (サックス)
トニー・ウィリアムズ (ドラムス)
ロン・カーター (ベース)
and フレディ・ハバード (トランペット)
このライブ、本来は ≪マイルス・デイヴィス・グループ≫ 公演のはずだった。が、不調のマイルスの代役としてハバードが抜擢され、大成功を収めてそのまま大看板マイルスに取って代わったというのだから後生おそるべし。 うるさい?御大が抜けたことで若手どうし、アコースティック・ジャズの現在進行形をのびのびと、そしてガツンと突きつけてみせた。
とくにマイルス門下のジャズ・エリート集団に、いい意味での 「俗っぽさ」 を加えたのがハバードだった。 燃えるように荒々しく、しかし一音一音が輝かんばかりの超絶技巧は、言うならば 「ジャズ北斗百裂拳」。
盟友ハービーの歴史的名盤 『処女航海』 ('65)は、そんなハバードの真骨頂。夭折の天才トランペッターの後継を競った ≪ポスト・クリフォード・ブラウン≫ の面目躍如だ。
一方で、自身のリーダー作 『オープン・セサミ』 や 『レッド・クレイ』 がややマイナー扱いなのは、彼のそういう俗っぽさが敬遠され、特に日本では埋もれてしまったのかもしれない。
しかし、育ての親アート・ブレイキー親父や 出来た弟ハービーの下なら、一世一代の天才を解放させる…。どこか頼りないけど憎めない、そんな 「寅さん」 のようなフレディ・ハバード、ぼくは大好きでした。
どうぞ安らかに…。
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【★特別企画★】 2009.04.07 (Tue)
花粉戦士ガンダム≪鼻・戦士≫編

人類が花粉症に悩まされるようになって、すでに半世紀。
人々はそこでくしゃみをし、鼻をかみ、そして死んでいった・・・。
花粉世紀2009 (ツー・ダブル・オー・ナイン)、東京の裏側・奥多摩のスギ林は ≪カフン軍≫ を名乗り、東京都民にアレルギー戦争を挑んできた。 この戦いで、総人口の3割を花粉症に至らしめた。
人々は、みずからの行為に恐怖した・・・。
『鼻・戦士~パブロンに散る!』
鼻、ふるえる鼻
それは花粉症
口の中も燃えつきて
ぬれるティッシュも土にかえる
「えぇい、赤鼻が・・・!」
奥多摩をはしる杉の木の列
黒くゆがんで真っ黄に燃える!

「紙 足りるのかよぅ・・・!!」
鼻、いのちの鼻
鼻血の色は、ごみ箱に捨てて
新たな薬を飲むか
生き残る≪鼻・戦士≫たち・・・

「ミハルル3錠、俺はもう鼻たらさないぜ。
お前みたいな子を増やさないために、花粉症を叩く・・・
・・・徹底的にな!」
死にゆく鼻毛たちは、守るべき粘膜たちに
死にゆく粘膜たちは、愛する鼻炎薬へ
何を飲むのか、何が効くのか
I pray, pray to cut down the CEDAR WOODS!!
それは、花粉症ゆえの悲しい出来事であったかもしれない。しかし、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがキチャナイと誰が言うのか。
次回、『ニュータイプ、ストナ・リニ』
君は、生き延びることができるか?

「奴だ、奴が来たんだ!赤い花粉のヒノキだ!」
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【『ガラスの仮面』全巻】 2009.04.01 (Wed)
『ガラスの仮面』幻の名場面を発掘(APrilfool通信)
『ガラスの仮面』 幻の名場面を発掘 (APrilfool通信)
2009/4/1 04:01
30年以上に渡って連載中の名作少女マンガ 『ガラスの仮面』 の単行本未収録部分の生原稿が、イギリスの大手オークション会社クリスティーズに出品されることが決まり、話題を呼んでいる。
『ガラスの仮面』 は、平凡な少女が女優としての才能に目覚めていく美内すずえ作の少女マンガ。1976年から 『花とゆめ』 誌(白水社)に不定期連載中で、時代を越えて幅広い層からの支持を集めている。
今回出品される内容は、ヒロインの北島マヤが舞台劇 『8時だヨ!全員集合』 に出演する回。
「志村けん」 役か 「加藤茶」 役かをめぐってライバルの姫川亜弓と熾烈な競争を繰り広げるシーンや、「いかりや長介」 役の師・月影千草から壮絶なしごきを受けるシーンなど計12ページ。
同作品のファンで、自身のブログに全巻レビューを連載している冷血漢の仕事虫nacchann0904さんは、「大変貴重な掘り出し物だ。特に (人気キャラクターである) 速水真澄が 「高木ブー」 の代役として舞台に立つシーンは、長いあいだ幻の名場面とされてきた。単行本化の際の補筆・改作が多い 『ガラかめ』 の葬られた歴史を、またひとつ塗り替えるものになるだろう」 と興奮気味に話す。
一方、作者の美内すずえ氏と出版元の白水社は、「詳細を把握していないのでコメントは差し控えたい」 としている。
オークションは来年4月1日エイプリル・フールの予定。
未収録の一部(写真提供・大都芸能) |
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