【【未整理】 世界ブラボー日記】 2008.11.20 (Thu)

マケインと 『クリムゾン・タイド』


 
 先のアメリカ大統領選で敗れたジョン・マケイン候補が、敗北後の集会で映画 『クリムゾン・タイド』 ('95米) のテーマ曲 (ハンス・ジマー作曲) を流したのだそうです。

 核を搭載した原子力潜水艦の中、厳格な軍人かたぎの白人艦長と冷静で理知的な黒人副長が、核ミサイル発射の是非をめぐって対立するサスペンス・アクション。
 「叩き上げのベテラン」 ジーン・ハックマンと 「若きエリート」 デンゼル・ワシントンが、これ以上ないハマリ役の力演。なるほど、マケイン&オバマのイメージに置き換えてもぴったりですね。両タイプの対立構図はハリウッド映画の典型ですが、むしろ興味深いのは、両者の間で揺れ動く脇役たちの葛藤。これが巧かった。
 『Uボート ('81米)』 に 『レッド・オクトーバーを追え! ('90米)』 …、「潜水艦モノ」 は傑作が多いとされますが、閉塞した空間が人間関係を濃密にさせるのでしょうか。

 出動前、葉巻の煙を例に 「見えないものは信じない」 という艦長のセリフが印象的。
 戦争をおっ始めるいちばん上の人は、「見えない」 のをいいことに 「見える」 ように事実を ねつ造 するのが常ですが、それはさておきこのセリフは、そんな上の命令に忠実であるしかない職業軍人の限界も物語っています。

 監督は 『トップガン』 で有名なトニー・スコット
 兄リドリー (『エイリアン』『ブレードランナー』) をしのぐ大げさな作風にはちょっと苦笑いですが、『ザ・ファン』 とか 『エネミー・オブ・アメリカ』 とか、ぼくはけっこう好きです。本作はそんな 「男の骨太ワールド」 が見事に実を結んだ彼の最高傑作。
 だいぶ前ですが、本作をパロディにしたJRのコマーシャル (「あなたは間違っている!」) もおもしろかった。 (でも好きな人以外には何の印象も残らないタイプの広告)。

 それにしてもこの 『クリムゾン・タイド』、テレビの洋画劇場で放送しておけばタイムリーな話題になっただろうに、ぼくも含めて誰も気づかなかったんだな。マケインの自嘲気味なセルフ・パロディに一本とられた気分です。
 

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【【未整理】 世界ブラボー日記】 2008.11.18 (Tue)

ダリアの花束

 
ベランダの緑がすっかりさびしくなったので、花束を買ってきました。

今回は明るくかわいいのにしようと、イメージをふくらませながらいつもの花屋さんへ。

そこで、鮮やかなオレンジ色のグラデーションが目を引いたダリア

を中心にアレンジしてもらいました。


ほどよく焦がしたケーキに季節の果物を散りばめたようで、なんだか食欲もそそられる色合い。

枯れた秋色なら自家薬籠中…お手のものですが、あまい秋色もなかなかいいもんだ。


ついでに花びんの下のクロスも、手作りふうの刺繍が入った、温かく家庭的なやつに交換。

部屋が暖色系に包まれて、なんだか一気に眠たくなりました。


花びんは 「とりあえず」 で間に合わせたので、あした早めに起きて、ゆっくり選ぶことにします。

春はねむいが秋もねむい。 平和でよろしおすなあ。
 

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【クラシック音楽】 2008.11.15 (Sat)

『展覧会の絵』 めぐり

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 芸術の秋だから…というわけではありませんが、ムソルグスキーの組曲 『展覧会の絵』 を聴きました。
 晴やかで格調高い、冒頭のメロディはおなじみですね。
 もともと持っているCDは、エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団の盤。1974年。父から譲り受けたひと昔前の定番ですが、いま聴くとさすがに音も色彩感も古くくすんでいる。

 そこで新しいCDを買おうと、いろいろ試聴してみました。
 課題曲は、冒頭の ≪プロムナード≫ とラストの ≪キエフの大門≫。 やっぱりこの2曲なくして 『展覧会の絵』 は語れませんもんね。


♯♯ ショルティ&シカゴ響 ('80)♯♯
 さすがは帝王カラヤンと覇を競った、20世紀後半を代表する巨匠。シャープでスケールの大きな演奏は、近代音楽の緒とされるこの曲にぴったり。シカゴ響が誇る黄金の金管<ブラス>の面目躍如だ。
 ただ、高い緊張感と完成度を保つ反面、人間的なメリハリ・抑揚が足りないのが残念。それでも ≪キエフの大門≫ は圧巻、圧巻。この大曲のベスト演奏。良くも悪くも、アメリカ的な迫力にあふれている。(★★★★★)

 結局これを買いました (写真)。『~5態』 と銘打たれた、ピアノ原曲&4つの編曲バージョンが入って2枚組2900円。ほかの 「4態」 は一度聴けばじゅうぶんだけど、お買い得です。


♯♯ デュトワ&モントリオール響 ('85)♯♯
 華麗なロシアものを得意とするデュトワさん。このCDもアンセルメ版を継ぐ 「定番」 とされ、ぼくも一番期待していたのだが、淡々と音を刻んでいるだけで拍子抜けした。
 全体的にバランスの良いスマートな好録音だが、デュトワさんらしい、もっと高らかにビビッドに輝かせる演奏を聴きたかった。上のショルティ版が良すぎたので厳しめですが、広くおすすめには変わりありません。(★★★★☆)


♯♯ カラヤン&ベルリン・フィル ('66)♯♯
 カラヤン何度目かの録音。
 冒頭からねっとり、もったりとしていて気持ち悪い。自分を立派に見せようとするこの人の悪いクセが鼻につく。これ1枚だけ聴くなら気にならないだろうが、こうして比べてみると、あぁダメだ。
 ピアノ原曲版 (ラザール・ベルマン演奏) も併録。(★★★☆☆)


♯♯ ゲルギエフ&ウィーン・フィル ('00)♯♯
 猛将ゲルギエフのワイルド感と、名門ウィーン・フィルの優雅さが代わりばんこに現れる、良くいえばスリリング、悪くいえば粗略で一体感のない味付け。カレーとクリームの2色パン。(★★★☆☆)


♯♯ トスカニーニ&NBC響 ('53)♯♯
 なんじゃこりゃ~!
 このデジタル精密機械の時代にあっては、笑ってしまうほどレトロで古色蒼然とした演奏。ターミネーターに戦いを挑むピノキオのよう。昔かたぎのガンコ職人が 「樫の木の歯車」 で奮闘する姿は、愛くるしくすら感じます。(★★☆☆☆)


♯♯ アンセルメ&スイス・ロマンド管 ('74)♯♯
 前述したわが家のスタンダード盤。
 長く愛着があるのであまり悪くは言えないが、この小ぢんまりとしたローカル感は、今日のグローバル時代にはちょっと苦しい。ただしそういうスケールより、相性のいいロシア&フランス文化の典雅な融合を楽しむには最高のお手本。ぼくもいつか戻ってこられたら…と思う。(★★★★☆)


 …ほかアバド、メータ、マゼール、ムーティ、シャイーなど現代のビッグ・ネームも乱読ならぬ乱聴。いずれも標準的で、持っていて損はなし。
 また、ピアノ原曲版は巨匠リヒテルあたりが重厚な演奏を聴かせてくれそうですが、ぼくはリヒテルぎらいなのでパス。ポゴレリチホロヴィッツ、新旧鬼才の演奏に期待したいです。



♯♯ エマーソン,レイク&パーマー ('71)♯♯
 最後は、ロック・バンドの≪EL&P≫がシンセサイザーにアレンジした異色作。
 「ギュルン、ギュルルン!」 サウンドが文字どおりプログレッシブで刺激的だった。 『太陽にほえろ!』 のアクション・シーンをもっと激しくした感じ (プログレ・ロックはほとんど知らないもんで、的確な例えが思いつきません…)。
 ライブ録音(…そう、ライブで聴いたら絶対楽しいと思う)。

 
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【全世界音楽】 2008.11.12 (Wed)

ウイスキーが、お好きでしょ

 
今日、ふたつ買い物をしました。

ひさびさに、大事に胸に抱えて家路につく…そんな買い物でした。

ひとつは≪サントリー・オールド・ウイスキー≫。通称 「ダルマ」。

もうひとつは石川さゆりベストCDより、『ウイスキーが、お好きでしょ』。


つくづく合うねえ、酒と演歌。たまらんねえ。年かねえ。


かのイチロー選手も 『天城越え』 を登場テーマ曲にしていましたが、

(さゆりさん本人がスタジアムで紹介されて知った。)

わが家でも日本酒なら八代亜紀、洋酒なら さゆり で決まりました。



本音を言うと、ほとんどウィスキーを飲まないので、

すこし苦みがある辛口の ≪オールド≫ は、あんまり得意じゃない。

でもそこが大人のたしなみ。なつかしい親父の味。


子供のころ、「大人へのあこがれ」 が詰まっていたサントリーのCMの数々。

その 「あこがれ」 に手が届いてしまった今、人生の半分は干上がったも同然。

夜な夜な酒をあおりたくなるのは、そんな寂しさを潤そうとしているのかもしれません。

 
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【ニュース&カルチャー】 2008.11.08 (Sat)

オバマ大統領誕生へ

 
アメリカ大統領選挙が終わりました。

演説の魅力で盛り上がる 「ショー」 はお開き。

バラク・オバマの真価が問われるのはこれからです。


しかしこのショーは、世界中の容赦ない視線と攻撃にさらされる、世界一過酷なショー。

そこで培われた経験は、並々ないものがあるはず。

世界のたいていのリーダーより優秀であることには違いないでしょう。

いま彼を茶化したり疑ったりする気が起きないのは、

それくらい自分自身の足もとの政治と、それを選ぶわれわれ国民の力が貧しすぎるから。



過去2回、ブッシュを支持したアメリカ国民の熱狂は明らかに間違いでしたが、

「あやまちを犯さないのが立派なのではなく、あやまちを犯したらすぐ改める…それが真の君子だ」

という教えもあります (たぶん 『論語』)。

彼らの過ちはあまりに大きく、いちど失われたイラクや地球環境は決して戻ってはきませんが、

その修正・再生能力はとてもうらやましく思います。


なお、この際 「初の黒人」 という出自にはこだわりません。

ぼくが考える究極の理想は、「全員男」 「全員白人」 でも何の文句も出ない社会。

適材適所、ほんとうにその場所にふさわしい才能であれば、人を背景で選り分ける必要はないからです。
 

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【東京ずまい】 2008.11.04 (Tue)

読書の秋、古本の秋

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毎秋恒例、東京は神田神保町の ≪古本まつり≫ に行ってきました。

今年のターゲットは 「中国史」 ものです。


じつは学生時代、連綿たる歴史書の数々を読破しまくった中国史マニア。

ここ数年はご無沙汰でしたが、『三国志』 の映画化 『レッドクリフ』 の話題に刺激されて、

中国四千年の知識がいま蘇りつつあります。


古代の人間関係を扱った学術書 (新品) でほしい一冊があったのですが、お値段1万3千円!

今日はあきらめて、ささやかにオペラの中古CD (ベルリーニ『清教徒』) を買いました。

(タンクトップ姿のうら若きジャッキーの写真集にも魅かれたが、さすがに恥ずかしくてやめた。)


店舗とワゴンの並びはひととおり頭に入っているので、勝手知ったるお店めぐり。

ただこの1年、派手な外装の外食チェーン店が増えたので少々戸惑いました。

行ったことない古本屋さんでも、つぶれるのは寂しい。

そして街のカラーが変わるのはもっと寂しい。


帰り際、観光客らしき外国人の老夫婦から、「ジンボウチョウはどこですか?」 と聞かれました。

(…というより、地図をのぞきこんでものすごく困った顔をしていたので、思わず助けてあげた。)

この古書店街が世界的に有名というのは本当だったんですね。
 
いっそ街ごと世界遺産にして、地球レベルで守るか…!?

 
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【このシネマ!】 2008.11.02 (Sun)

ラストで落ちた映画ベスト3!

 
 もの悲しい秋。シネマの秋です。
 最初はしれ~っと観ていたのに、最後の最後でズドンと感動させられた映画を選んでみました。(※ぜ~んぶネタバレなのでご注意あれ!)


 ★★ 第3位!『ニュー・シネマ・パラダイス('89伊)』 ★★
 幸か不幸か、いや不幸にも冗長な 「3時間完全版」 を先に観てしまいました。蛇足・余計なシーンが多くて、感動のラスト前にはもうウンザリ・・・。終盤、ヒロインとの再会シーンはいらんでしょ。初恋の成就にこだわる中年オヤジなんて気持ち悪い。・・・で、コンパクトな通常版を見直しました。これはこれで、はしょり過ぎでした・・・。

 ・・・が、ラストのエンニオ・モリコーネ! あんたの音楽は泣けた!

 本作の音楽は、メイン・テーマ曲と軽快な 「トトとアルフレードのテーマ」 が有名ですが、ぼくは第3の名曲 「愛のテーマ」 が一番好き。ゆったりとした序奏から、フル・オーケストラでどーんと盛り上がる職人芸はハフハフものです。
 もちろんあのキスの嵐、あのイタリア人らしい艶笑の美学にもスタンディング・オベーション!
 やってることはエロ本の切り抜きそのまんま!なんだけど、「しょうがねえオヤジだなあ・・・」と笑って懐かしむところに、ふたりだけのかけがえのない絆が伝わってくる。アジア人はもちろんユダヤやアングロサクソンには思いつかない、ラテン系ならではの人生讃歌!

 ・・・当時世界から忘れかけられていたイタリア映画は、この1本で甦りました。世界中の映画への愛を力にして。


 ★★ 第2位!『遙かなる山の呼び声 ('80日)』 ★★
 松竹提供、監督山田洋次に主演高倉健、倍賞千恵子・・・、名作 『幸福の黄色いハンカチ('77)』 の大ヒットを受けて作られた、いわゆる 「2匹目のドジョウ」 ってやつです。
 夫を失った女が暗い過去を背負う男と出会い、次第に惹かれあっていく物語。監督・演者のうまさはさすがですが、絵に描いたようにベタ~な松竹人情劇、少々鼻白みながら観ていました・・・。

 ・・・が、ラストのハナ肇! 泣けた! まさかあんたが出てくるとは!

 去りゆく兄貴分を気づかってのヘタクソな小芝居・・・、そんな男の不器用な友情に泣けに泣けました。対する健さんは、ここで泣くべきかこらえるべきか演技に迷ったそうですが、こらえていたものがドッとあふれる思い・・・あぁ分かります分かります。
 ぼくは 『ハンカチ』 より断然こっち派です。

 ≪名シーン・プレイバック≫
民子 「虻田さんがいろいろと・・・」
虻田 「ああ、あのバカが、いろいろ面倒見てくれてるわけだ。・・・・よかった、ほんとよかった!」



 ★★ 第1位!『逢びき ('45英)』 ★★
 後に 『アラビアのロレンス』 『ドクトル・ジバゴ』 など国際的大作を手がける デヴィッド・リーン監督初期の佳品。
 それぞれ家庭のある男女が恋に落ちる 「不倫もの」 の先駆けですが、ふたりのつつましい愛の振る舞いは、今となっては退屈と映るかもしれません (…でも、その繊細きわまる心理描写は絶品!)。
 むしろ、冒頭いきなり 「ラスト・シーン」 を置いて、ヒロインの回想形式で語らせる構成のうまさや、本作の代名詞となったラフマニノフ 『ピアノ協奏曲第2番』 のロマンティックな旋律のほうが強く印象に残ります・・・。

 ・・・が、ラストの旦那! 落ちた! まさかあんたが出てくるとは!

 誠実な 「よき夫、よき父」 には違いないが、どこか鈍感そうな彼。ただの置き物程度の役と思っていた彼が、妻の苦しみに気づいて言う、
「長い旅をしていたんだね。帰ってきてくれてありがとう・・・」
 嫁の 「浮気」 に気づいた第一声がそれです。普通ならそんなこと言えません。しかしその優しさが、かえって重くずっしりとのしかかりました。深い。これにはズドンとやられました。


 ・・・なお、すべての映画の中で永世不変のNo.1、殿堂入り名ラスト・シーンは、チャップリンの 『街の灯』 ('31米) です。言葉がなくても、目に見えなくても、ただ手の温かみだけですべて分かっちゃうんだねえ! それを見事に映像で表現したチャップリンはやっぱりえらい。不世出の天才です。
 この作品はラスト以外も素晴らしいので、あえて選外としました (…あっ、上の3作だってラスト以外も素晴らしいのよ!)。

 
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